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バっさんとバっさんの家族とギルドの依頼

マリンを抱きながら王都をゆっくり回り、マリンの興味を引くものを買い漁る。

服は買ったし、ベッドも買った。ベビーベッドを始めて知った!俺もマリンもなんだか感動してしまった。もうちょっと世間に目を向けておくべきかな〜?マリンが興味を持った事を説明できないのはカッコ悪くないか?カッコ悪いよな?良し、本屋に直行して王都案内とか常識っぽい情報の載ってる本を買い漁ったる!

あれ?マリンさん?絵本に興味があるとな?良し、店主、絵本金貨1枚分寄越せ!何?そんなに種類がない?じゃあある分だけくれ!ついでに常識を学べそうな本も!みたいな感じで買い物兼お散歩してたら夕方になっていたので、普通の住宅街からちょっと離れにある貴族街に向かう。


バっさんの家は貴族街と住宅地の丁度中間位にある。そこそこデカイ家に住んでいる。王国兵士長といえば準男爵位の権力?があるらしいが、バっさんは権力に興味無いしな〜。まあ、だから兵士長なんだよ。騎士じゃなくて兵士長なんだよ。


王国は騎士と兵士をしっかり分けて考えている。騎士とは国が持つ兵器みたいな位置どりで、国外向けの兵力。兵士とは王都内を取り締まる兵力となる。勿論、有事の際には兵士も王国外に派遣される事もあるらしい。実際、7年前の隣の帝国との小競り合いの時はバっさんも戦場にいたし、その時に初めてバっさんと知り合ったんだ。で、何だかんだありまして今でも仲良くしてくれている友人だったりする。


という事をマリンに説明しながら、今から会いに行くぞ!と言う。「うにゃ!」と元気よく手をあげる姿はなかなか可愛いのではないのかな?とやり取りしてましたら、着きました!


門の前に立ち、呼び鈴を鳴らす。『は〜い、どちら様?』と魔導呼び鈴から聞こえて来た。


「ステインだけど、バっさん居ますか?」

『まあ!!ステイン!?ちょっと待ってね!』


魔導呼び鈴からバタバタ音が聞こえたと思っていたら家の扉が開いて、バっさんと同じ年頃の女性が出てくる。


「ステイン!久しぶりじゃない!入って入って!!」

「お邪魔しま〜す。」


家に招き入れながら女性が家の中に声をかける。


「あなた!ジェシー!コール!ステインが来たわよ!」


バタバタと3つの足音が聞こえたと思ったら、バっさんと10代後半の女の子と10代前半の男の子が飛び出してくる。


「「「ステイン!!!」」」

「バっさん、ジェシー、コールお邪魔するぞ〜」

「あ〜い!」

「「「「こ、子供!!!???」」」」


マリンと一緒に挨拶するとバっさん一家は驚きの声を上げた。相変わらず仲の良い家族だな!ちなみに、最初出迎えてくれた女性がバっさんの奥さんで、ステファニーと言う。元貴族の三女らしいが詳しくは知らない。バっさんと恋愛結婚して今でも夫婦仲は良好らしい。因みにバっさんは筋骨隆々の浅黒の筋肉大男だが、ステファニーは、細身の女性で、身長はそこそこあり、金髪ロングのスレンダーな体型だ。ジェシーと呼ばれた女の子は確か王国学園の三年だったかな?結構優秀らしいけど今年卒業じゃなかったかな?見た目は母譲りの金髪を肩くらいで切りそろえている。ステファニー同様スレンダーな体型で男にもモテるらしい。コールと呼ばれた男の子はジェシーと入れ替わりで王国学園に入学する予定らしいが、バっさんに剣術を習っているらしい。たまに勝負を挑まれたりするけど毎回ボコボコにしてやっている。バっさんの家は『やるなら何事も全力で』が家訓らしいので、遠慮はいらない。これまた金髪の短髪で身長はまだ伸びるだろうが、ステファニーと同じくらいある。将来はバっさんみたいになるだろう。


「訳あって一緒に暮らすことになったマリンだ!よろしくな!」

「みゃ、マリンでしゅ!」


家に入れてもらい挨拶するとアレコレ聞かれて、ステファニーは急いで食事の準備をしに行き、ジェシーは手伝いに行き、コールは勝負をふっかけてきたので、庭に出てボコボコにした。その様子をバっさんは見てコールに指導してる。マリンはコールを吹っ飛ばすたびに拍手して喜んでいた。楽しそうでなによりです。


「あ〜今日こそステインに一撃でも入れたかった〜」

「わはは!ステインに一撃入れるなら俺より強くならんと無理だぞ?」

「そうね、私の知るステインなら竜種を討伐出来る位になれば一撃位入ると思うわよ?」

「コールは突っ込むだけだからね。もっと頭を使いなさい。」

「しゅ、ステイン、つおい!」

「お〜ありがとな〜マイン!!」


ワイワイいいながら食事を取る。バっさんの家族はみんな俺を迎えてくれるいい人揃いだ。俺はこの賑やかな家族が結構気に入っている。





「しゅぴ〜〜〜」


食事を終えて、ゆっくりしているとマリンが寝てしまったので、ステファニーにお願いして客間に寝かせてもらう。二児の母だけあって子供を扱うのはお手の物みたいだ!今度子守の話を聞かせてもらおう。マインとこの叔母さんにも明日聞こう。という事で、バっさんと2人、魔水晶の話をする事にした。仕事はしないとね?


「じゃあコレが新しい魔水晶だ。」

「ふむ、まあ当然だが見た目はあまり変わらんが、何が変わったのだ?」

「この間の事件があったろ?今度も同じ事があるといけないから今回の魔水晶にはまず、『魔力探知』と、『単体魔力反応』を新しく付け加えてみた。」

「『魔力探知』は分かるが、『単体魔力反応』とはなんだ?」

「簡単に説明すると『魔力探知』でまず周囲の魔力を読み取り、不審な魔力反応がないかを探知できるようにしてみた!で、不審な魔力を見つけても対策できなきゃ意味がなかろう?だから『単体魔力反応』という新しい探知方法を造って、回路にし、魔水晶に組み込んだんだ。コレを入れると、魔水晶から大体、半径5センチ位の見えない膜を創り出し、対象以外の魔力がある時に魔水晶が反応しなくなる。という具合にしてみた。」

「つまり今回のように複数人の魔力を感じると作動しないという事か?」

「そう。まあ書類はいつも通り作ってきてるから、後は錬金術師協会に持っていけばいつも通り導入してくれるだろ。その辺は任せた。」

「毎度のことながら、ステインの名前は出さないという事で良いのだな?」

「ああ、人が群がるのはうんざりだ。」

「まったく、発表すれば地位も金も思うがままだろうに。」

「知ってる人だけ知ってるだけで充分さ!面倒は嫌いだ!」

「わかった。感謝する。」

「おう。」


バっさんの良いところは、しつこく無い所と、サッパリした性格だろうと思う。いつも不必要に俺の事情に踏み入ってこないし、聞いてこない。だから信用してるし、話せる事は話すようにしている。


「今回は王都にしばらく居るのか?」

「ん〜何日かは居ることになると思うけど、ギルドから依頼の呼び出しが入ってて明日ギルドに行って依頼を確認しないと細かい所はわからないかな?」

「ふむ、ギルドからの依頼か、マイン嬢がステインを探していたのはその為だったのか。」

「あ〜依頼もだろうけど、あっちもたまには顔出すように説教されたよ。」

「はっはっは!ステインは周りをもう少しみると良い!意外とお前の心配をしている人は多いものよ!」

「・・・そんなものかね〜」





バっさんと別れて客間に行き一晩お世話になった。次の日、朝食をご馳走になり、お礼を言うと、ギルドに向かう。ギルドに近づくとマインが待っており個室の待合室に直行させられる。


マリンと遊びながら待っていると、ギルドマスターと依頼人らしき人が入って来た。


(こいつは・・・)


黒いマントに仮面を被った人物は髪が白髪で腰くらいまであり、耳が尖った形をしており、肌は赤黒く染まっていた。


「お初にお目にかかる。見ての通り魔族の出身で、魔国より来た名前は・・・デウス=エレス=L=ヴァイアンという。長い名前なのでデニスとでも呼んでくれ。」


相変わらず魔族の名前は無駄に長いな!覚えきれないから、普通にデニスでお願いします!


「ステインだ。」

「今回の依頼は魔国と王都よりステインに指名が入っている。ギルドマスターの俺は立ち合いだな。依頼内容に不備がないように双方理解を頼む。」

「了解した。」

「わかった。」


デニスと俺はギルドマスターの元、依頼の話をする。


「今回の依頼は、魔国と王国の間にある火山の調査だ。国境となっている火竜の山はわかるな?あの山で最近、ドラゴンが目撃されたのだが、そのドラゴンが通常の火竜ではないみたいなのだ。」

「ふむ、あの山は火山が生きている筈だから、火竜以外が棲みつくとは考えずらいが、火竜の亜種か、それとも………」

「危険な調査の可能性が高い。本来なら、王国騎士や魔国憲兵が調査するべきなのだが、国境となっている地点で何かあれば国際問題になる可能性が高い。そこで、魔国側からと、王国側から腕利きの冒険者を雇い、合同調査をする事になったのだ。」

「…………おい、マスター。これ、マスターが俺をデニスに推薦したろ?」

「王都にお前以上の冒険者なんかおらんだろうが!こんな危険な任務普通のやつで行けるか!」

「俺が面倒くさい事嫌いなのは知ってるよね?今、俺はマリンで手一杯なの!」

「ステイン殿、その赤子は貴殿の子供か?」

「一昨日からウチの子になったマリンだ!俺の子供じゃない。預かっただけだ!」

「アイ!みゃ、マリンでしゅ!」


マリンはまだこんなにちっさいのに会話の内容を理解している節がある。ちっこくても神の子だからな〜。

しかし、調査依頼とか、1日、2日で終わるはずが無い。超面倒くさい。と考えていたら閃きました!そうか、火竜の山か!火竜の山ならあれが使える!


「よし、依頼を受けようじゃないか!!!」

「お、おう、やけに素直に受けたなステイン。」

「おお、ありがとうステイン殿!」

「おう!任せろ!」

「では、ステイン殿。出発の日取りだが……」

「ほりゃ!!!!!」


掛け声とともに魔法を使う。今回俺が使ったのはオリジナルの『遠視映像魔法』。昔に作った魔法だが、欠陥魔法だったので、最近は使ってなかった。名前の通り、遠方をスクリーンの様に映し出す魔法なのだが、何処でも見れるわけではない。遠視するための地点に、魔水晶を仕込み、更に魔水晶にこの魔法専用のカメラを仕込む必要がある。カメラの材料が特殊すぎて、コスト的にボツにした魔法だが、今回は昔の俺を褒めてあげたい!!何故なら、この魔法の実験場として使っていたのが、火竜の山だったのです!!!!という事で、今目の前に火竜の山がスクリーンとして映し出されています。


「「・・・・・」」

「何処にドラゴン居るのかな〜?」

「な〜〜〜?」


なんか目の前にいる2人は固まっているがマリンと一緒に画面を動かしながら火竜の山を見ていくと、火口付近で見つけました!!!これはドラゴンじゃありません!災害級魔獣『ヤマタノオロチ』さんです!


「はい!ヤマタさんでした!調査終わり!」

「り〜〜〜!」

「「いやいやいやイヤイヤ!!!」」


依頼終了です!

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