真実の物語 ーー神々と魔人ーー
破壊神が世界樹へと辿り着いた事には天界の神々も気づいていた。
また、破壊神が地上に降りた為に起こった魔人の事も把握していた。
しかし、手を出す事はやはり出来ずにいた。
1柱の神がその力を封印し、生まれ変りという手段を使ってまで下界へと降りたっただけで魔人の様な存在を産み出したのだ。
これ以上神々の手を下せばどうなるか分からなかった。
しかし、確かに人間にはどうしようもない事態では在るだろう。
神々でさえ地上を諦めかけていた頃、破壊神は世界樹へと辿り着いた。
そして、神託の力で持って神々に懇願する。
破壊の力を持った魔人を完全に打ち消す方法をーーー
神々は驚きながらも破壊神の提案を受け入れた。
しかし、その方法を持ってしても地上には何かしらの影響が出る事はわかっていた為、準備の為に今暫くの時間が必要であった。
そこから1年余りは魔人に地上は蹂躙されていく。
破壊神は少しでもその影響を抑える為に、改めて『魔王』を名乗り、魔人と戦っていた。
そうして、神々が地上における破壊神の影響を喰い止める準備が終わった頃、破壊神は魔人と一対一で相対していた。
その場所こそが霊峰 天上山である。
余談だが、ステインがヤマタノオロチとであった霊峰はこの時の破壊神と魔人の戦闘の影響により、巨大な山として誕生、ダンジョン化したのだ。
そして、破壊神と魔人はお互いの限界を超え闘い続け、とうとう破壊神が倒れる。
その瞬間であるーーー
2人を神々が準備した結界が包み込み、外界との接触をほぼゼロにした。
そして、その瞬間、破壊神はとある行動に出た。
魔人を抱きしめたのだーーー
その時の様子を神々はこう言う。
『不思議な空間だった。魔人は不思議と抵抗しなかったのだ。まるで、親が子を抱くように。穏やかな瞬間であった。』
破壊神は涙を流し、小さく『すまん。』と言った。
破壊神の身体が光の粒子に変わり、魔人を飲み込む。
破壊神が考えた魔人対策は、自身の魂ごと魔人を破壊するというものだった。
神々は不滅と言えど、この様な魂ごと消えてしまえば復活は出来なくなる。
しかし、地上を、そして、人を愛していた破壊神は、自身の身勝手で産まれた魔人を破壊する事に躊躇いはなかった。
そうして、大昔における魔人と破壊神の語られる事のない物語は、神々だけが見守る中、静かに幕を下ろしていくのだったーーー
間を開けすぎましたが更新しました。
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