天界に来ました!そして新事実
またまた間が空きました反省します。
聞いたことのない声が聞こえた為、ステインは思わずエルアリアに声を掛ける。
「エルアリア、また神が来たのか?」
《ぬお!?ステイン、今はマズイ!》
《そうじゃ!ステインよ、今は黙って・・・》
《ステインだと!?》
とてつもない大声で叫ぶ男の声が響いた。
思わず耳を塞ぐ程の大きさだった。
《お、おお!!本当だ!ステイン殿だ!!》
《し、しまった・・・》
《や、厄介な・・・》
エルアリアとボルフガングが戸惑っている中、男の神はマイペースに自己紹介を始める。
《ステイン殿、俺は闘神と呼ばれている神だ!お前には家の息子が世話になった!》
「闘神・・・?そうか、ヤマタさんの・・・」
《おう!お前の様な友人が居てくれて嬉しかったぞ!彼奴も満足そうにしていた。》
「そうか。俺がもう少し強かったら間に合ったかもしれないんだが・・・」
《何を言うか!あの時のお前の全力を尽くしてくれただけで良い!お前の家族にも礼を言いたかったのだ!》
火竜の山での事はステインに自身の力不足と不甲斐なさを残していた。
自分がもっと早く着いていたらヤマタノオロチは力尽きる事は無かったかも知れないという想いが拭いきれなかったからだ。
《そうじゃぞステイン。お主は良くやっておる。》
《その通りじゃ。儂らの方こそ魔人には手を焼いていて済まないと思う。》
《そうだぞ!魔人には俺達も好き勝手されたからな!》
「もっと強くなりたいとは思っているが、魔人はとんでもないんだろうな・・・」
人類という枠組みで言えばステインは最強である。
しかし、先程も『魔気』を出して思ったが、今の自分では魔人にはまだ及ばない事も感じていた。
『聖気』を使いこなせていない今の自分では到底及ばないであろうと直感していたのだ。
「そのもう1人の魔人の眷属とでも言えば良いのか?ソイツも相当厄介な敵になりそうだ。出来れば今のうちに『聖気』を物にしておきたい所だが・・・」
《我等が調停者でもステインの相手はキツかろう。》
《そうじゃな。訓練相手が居らぬのは痛いの。》
《だったら俺が相手しようか?》
「《《はあ!!!???》》」
闘神の言葉に驚く他の面々。
それを気にせず闘神は続ける。
《いや、俺なら闘い専門だから相手にとって不足ないだろう?》
《そういう問題ではないわ!》
《そうじゃ!神が人間に直接手を貸すなどと・・・》
「いや、それ以前にどうやって組手するんだ?」
ステインが人間離れしているとしても天界に行けるわけではないし、神が現世に降りるわけにもいかないだろう。
マリンは今は例外として下界にいるが・・・
《そうか・・・いや、ステインなら天界に呼べば良くないか?》
《お、お主!!?》
《や、やめ・・・!?》
その言葉と共にステインが光に包まれる。
「おおお!?何だこれ!?」
《やめよ!闘神!!》
《い、いかん!!》
焦る面々を気にせず闘神は言う。
《がははははは!!ステイン殿!!天界に招待するぞ!!!》
バシュンーーーーーッ!!!!
そうして、下界からステインという存在は拉致された・・・・
「・・・んん・・・?」
気付くと周りが花畑に囲まれた場所に立っていた。
キョロキョロと周りを見渡すと、花畑の隅の一角に何かの建物と人影が見えた。
不思議に思っているステインだが、ゆっくりと近づいてみる。
すると、話し声が聞こえて来た。
「ーーーーーーじゃろうが!」
「ーーーーーー馬鹿者!」
「ーーーーーーです・・・」
誰かが大越で叫び散らしていた。
近くと、女性と老人の前で正座している若い男が居た。
女性は緑の髪を靡かせ、品のあるドレスに身を包んでいる美しい女性である。
ドレスは白いドレスだった。女性のスタイルの良さと美しい顔立ちに見惚れる男性も多いだろう。
老人は灰色のローブに身を包み、髭を蓄えた威厳のある老人だ。
白髪を伸ばして肩口まであり、老いを感じさせない佇まいは威厳のある物だろう。
但し、2人とも今は怒りに身を任せている為に、その面影達は無かった。
正座させられている男は鎧に身を包んだ大男だ。
顔立ちは端正な物で、金髪の若い男だ。
鎧の隙間から見える二の腕はがっしりとしていて、良く鍛えられている事が伺える。
通常であればその佇まいだけで殆どのものは気圧されるであろうと思われるが、今は女性と老人に怒られて縮こまっている為に凄味も無い。
ステインが近づいてきた事に気付いた3名がステインに目を向けると、ホッと息を吐いた。
何となく分かってはいるが、ステインが3人に確認する。
「エルアリアとボルフガングと闘神か?」
「そうじゃ。済まぬなステイン。この様な形で顔を合わせるとはな・・・」
「全くじゃ。この馬鹿者が済まぬ。」
「ステイン殿、済まなかった・・・」
その後、何処から出て来たのか屋根付きの矢倉?を出し、お茶を呑みながら聞いた説明によると、人間が天界に来る事は不可能らしい。
何でも下界と天界では空気中の成分?とか、色々構成している物が違うらしく、人間はその存在を保てない為に不可能とされているとか。
つまり、今回、無理やり俺を連れ出した闘神であったが、下手をしたら天界についた瞬間に俺はバラバラになって死んでいたかもしれないらしいのだ!
昔から闘神はその場のノリで行動する事が多いらしく、苦労しているとか・・・
その説明を聞いた時に闘神は脳筋だと確信した。
「で、何で俺は平気なんだ?エルアリアが何かしてくれたのか?」
「うむ。緊急措置でお主の神格を上げた。」
「本当は余り事象干渉する様な事はいかんのじゃがの〜。」
「むむむ・・・」
闘神は大きな身体を縮こませ申し訳なさそうにしていた。
けど・・・
「まあ本来なら会えないエルアリアやボルフガング、闘神に会えたんだ。俺も一度会ってみたかったから不満は無いよ。」
「おおお!ステイン殿、その様に思ってくれるか?」
俺の言葉を聞いて闘神が嬉しそうにする。
その姿を仕方なさそうに見るエルアリアとボルフガング。
それから暫く友好を深める様に雑談しているとエルアリアが思い出した様にステインに向かって話を振った。
「そう言えばステインよ、この機会に伝えておかねばならぬと思っておったんじゃがな・・・」
「何だ?まだ何かあったか?」
真剣な表情をしているエルアリア。
その表情からステインも身構えている。
「以前にお主が既に普通の種族では無いと言ったのは覚えておるか?」
「あ、ああ。『天魔人』とかいう訳の分からない種族だろう?」
「それじゃ。あれから調べてみたのじゃが、『天魔人』とは遥か昔、魔人になった者も同じ種族であったらしいのじゃ。」
「はあ!?じゃあ俺は魔人になっちまうのか!?」
「いや、魔人になった者は色々あって魔人に至ったのじゃ・・・お主はそうならんと思う。しかし・・・」
「うむ。エルアリアが言いづらそうにしておるから儂から説明しようかの。実はな、お主らは魔人が滅んでおると思っているが、実は生きておる。」
「何!?そうなのか・・・?」
「ああ、アイツはアイツで可愛そうな奴でな・・・流石に滅ぼすのは俺達でも躊躇してな・・・」
「そうじゃな・・・魔人とは元は人間じゃ。お主と同じ様に他の人よりも掛け離れた力を持った人じゃった・・・それが『怨み』を募らせ、『魔』へと至った。」
ステインは驚愕していた。
元は自分と同じような人間だった物が魔人に至ったという真実。
そして、その魔人はまだ生きているらしい・・・
「浄化の女神であるエルマリンがその力を使い果たす程の浄化の力で魔人を鎮めたのじゃ。そこから今のマリンとして復活したのじゃがな。」
マリンの尽力によって魔人は鎮められたらしい。
変わりに、マリンは子供の姿になってしまった。
そして、知られざる魔人の真実は今、現代の魔人候補ステインへと語られる・・・
次回も早めに投稿できるように頑張ります。
生意気ながら新作を考え中です。
構想段階ですが、出来上がり次第アップしていきたいと思います。
お付き合いありがとうございました!




