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捕まった!

また遅くなりました。

「うう・・・」


呻き声を上げながら目を覚ますと世界樹を見上げる形で寝転がっていた事に気付く。


「イタタタ・・・!身体がバキバキだ・・・」


ステインはゆっくりと身体を起こすと、身体の調子を確かめる様に腕を回す。

『聖気』の代償として身体に影響が出てしまい、気絶してしまってからどれだけ時間が経ったのかわからない。


立ち上がろうとすると足が震える。


極度の運動をして、筋肉痛になった様な痛みもあった。


「おおーい!エルアリア聞こえるか?」

《うむ。目覚めたか?》

「ああ、俺はどれだけ落ちてたんだ?」

《ふむ、2日というところじゃ。》

「おおふ!しまった・・・フェニとマリンが心配してるかもしれないな・・・」


どうやら丸2日も落ちていた様だった。


急いで帰らないとと思い、準備をしようとするステインにエルアリアが待ったをかける。


《ステインよ。暫し待つのじゃ。》

「うん?どうした?」


まだ用事でもあったのか?と、ステインが聞くと、初めて聞く声が聞こえて来る。


《フォフォフォッ!初めましてじゃな?ステイン。》

「誰だ?」

《創造神ボルフガングと申す者じゃ。宜しくの?》

「創造神・・・!?」


年寄りの声がすると思ったら創造神だった!

流石に驚くステイン。


《これ!ボルフガング!私が紹介するまで出て来るなと言うたろうが!》

《フォフォフォッ!自分で説明した方が良かろうて?》

《そう言う問題では無い!神が人間に信託を降すのじゃぞ!?それなりの手順があろうが!!》

《堅苦しい事を言うな。年寄りか?》

《お主の方がジジイじゃろうが!?》


ギャアギャアと言い合いを始める神々。

ステインは呆気に取られていたが、流石に煩いので話しかける。


「取り敢えず落ち着け!信託は頭に響くから!」

《う、うむ。スマヌ。》

《おお、すまんの。》


落ち着いた神々にホッと息を吐くとステインは改めて話す。


「知っているだろうがステインだ。創造神ボルフガングだったか?敬語とか苦手だからこのまま話して大丈夫か?」

《フォフォフォッ!かまわぬよ。》

「エルアリア。なぜ創造神がここにいるんだ?」

《うむ。お主が気絶する前に魔導具の話をしたであろう?》

「ああ、確か、俺の気を感じとる装置だったか?を作って魔人の協力者を探すってやつか?」

《そうじゃ。それをお主が気絶している間に創造神に造らせようと思ったのじゃが、肝心のお主の気を感じとるには実際に目の前で見ないとならん。と、このジジイが言うのじゃ。》

《装置自体は出来ておるのじゃが、肝心のお主の気を感じた事がないからの。儂もステインに会わせろと言うたのじゃ!》

「そう言う事か。」


どうやらエルアリアとボルフガングはステインが提案した装置を作ってくれたらしい。

だが、肝心の計測するべき目標を設定するには実際にステインに会って計測する必要があった様だ。


《余り神々が信託するのは感心せぬが、状況的に仕方ないと思ってな。しかし、寝ているお主の気を計測するだけで良いのではないかと言ったんじゃが・・・》

《戯け!神である儂が考え付かなかった装置を作ると言うのに本人に合わずしてどうする!》

《・・・・と、言うて言う事を聞かなかったのじゃ・・・》


疲れた様に言うエルアリア。

苦笑いしながらステインはエルアリアをフォローする。


「お疲れ様。俺達作り手はプライドがあるからな。エルアリアは分からないだろうが、俺はボルフガングが言いたい事もわかるぞ。」

《フォフォフォッ!流石はステインじゃ!》

《そんなものかの?》


それから装置について話を進めていった。


どうやらボルフガングは創造神と言うだけあって言われた装置を一瞬で創造できるらしい。

自身の想像力が及ぶ範囲ならば創造が可能と言う事だ。


今製作予定の魔導カメラ通信機能付きについても相談すると色んなアイデアをくれた。


小一時間ほど2人は製作話で盛り上がっていたが、流石に途中でエルアリアに怒られた。




《全く!本来の目的が先じゃろうが!!》

「悪い。今まで中々俺の話について来れる人が居なくて・・・」

《儂もじゃ。他の神は創造に興味がないのでついの・・・》


御機嫌斜めのエルアリアに謝りながらステインは世界樹の麓に移動する。


「で、俺はここで魔人の気を解放すれば良いのか?」

《そうじゃ。儂が作った測定器で天界よりその気の記録を取る。そしたら装置は完成じゃ!》

《ステインよ。くれぐれも解放しすぎるな。魔人に飲み込まれるぞ?》

「わかってるよ。『聖気』でカバーする。」


ボルフガングの準備が整った事を確認して、心配そうなエルアリアに見守られる中、ステインはゆっくりと己の中に意識を向ける。


精神世界で戦って以来、自身の中にある魔人の気、仮に『魔気』とする。

それをステインは操れる様になっていた。


しかし、未だ、『聖気』よりも『魔気』の方がステインの身体の中には多くある為、普段は取り出さない様にしていた。


エルアリアが言った通り、黒い男の様に魔人に取り込まれる事を危惧した為だ。


その『魔気』をゆっくりと身体の外に放出する。


叙々にステインの身体を赤黒いオーラが包み始めた。


「ぐ・・・!」

《ボルフガング!まだか!?》

《まだじゃ!!ステインもう少し頑張るのじゃ!》


今迄閉じ込められていた『魔気』が、開かれた扉から飛び出て来てしまうのをステインが必死に抑える。


このまま解放してはマズイ!と、ステインが抑えるが、『魔気』は暴れ馬の様にステインの身体から飛び出そう、乗っ取ろうとする。


苦しそうにするステインを心配するエルアリア。


それをわかっていながら励ますボルフガング。


時間の流れも忘れる程にステインは自身の事で精一杯になっていた。




《よくやった!もう良いぞ!!》

《ステイン!『聖気』を出すのじゃ!》

「ぐうう・・・あ、がああっ!!!」


バシュンッ!!!


身体に纏わり付いていた『魔気』を『聖気』の白いオーラで吹き飛ばし、身体の中に押し留める。


「はあ、はあ、はあ・・・」


大粒の汗を出しながら思わず膝を落とすステイン。

エルアリアが労う。


《ステイン、よく頑張ったのじゃ!ボルフガング!抜かりはなかろうな!?》

《うむ。ステインよ、お主の頑張りは無駄にせんかったぞ!!完成じゃ!!!》

「良かった・・・めっちゃきつかったぞ?魔人の力はとんでもないな・・・」


無事目的を達成出来たことに安心するステイン。

すると、今度はまた違う声が聞こえて来た。


《おう!何してんだ2人揃って?》

《ぬお!?》

《何でお前が此処に居る!?》

《何でっていたら悪いのか?》

《そそそ、そんなことはないのじゃ!ただ、今は魔導具作成をしていてな?》

《そうじゃ!儂が作業中は側に寄らぬ約束じゃろう?》

《なんだよ。この前壊した魔導具の事まだ怒ってるのか?謝っただろう?》


どうやら別の神が来た様だが、妙にエルアリア達が焦っていた。

どうしたのか?と思いステインが声をかけた。


が、これが決定的にステインが帰れなく事態を作ってしまう。



なんと、声を掛けられた新しい神が、ステインに気付いた瞬間、ステインを下界から天界に攫ってしまったのだった・・・

という訳で、神々降臨します!


次回も早めに更新できる様に頑張ります。

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