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フェニと魔国兵の訓練

時はフェニとマリンが訓練に行くところまで巻き戻る。


ゼンと一緒に訓練場に向かい立ち合いを行なっていた。


フェニはステインの言いつけを守り、初戦のみ全力で戦った。

ゼンと部下の兵100名をまとめて炎で吹き飛ばした。


何度も言う様だが、フェニも調停者である。

並の魔族では束になっても勝てる訳は無いのだが、フェニの見た目は炎の様な赤い翼を持つ唯の鳥にしか見えない。

その為、

訓練場に来た時に事情を知らない兵はフェニを侮っていた。

ステインが初戦のみ本気で。と言った理由が分かったフェニは格の違いを見せ付けた。


結果、今ゼン達は身体から煙を出しながら倒れ込んでいた。


「妾を侮るからですわ!」

「フェニ凄い凄い!!」


自慢げな顔をするフェニと、興奮するマリンの声のみが訓練場にこだましていた。


「ご、ごふ・・・い、生きてる・・・?」

「しょ、将軍・・・あ、あの方は・・・?」

「もし貸して・・・」


意識を取り戻したゼンと兵達が煙を吐きながら目を覚ます。


「あ、あの方は、魔国を救った英雄殿の、家族。し、神鳥様じゃ・・・!」

「え、ええ・・・い、言っといて、下さいよー」

「し、死ぬかと、思った!」


フェニの正体を聞いた兵達がゼンに詰め寄ろうとするが、フェニの炎で吹き飛ばされたダメージから身体が動かない様子であった。


「分かれば宜しい。さて、これでは訓練になりませんわ。妾の訓練がてら治療します!」

「フェニ、治療魔法も覚えたの!?凄い凄い!!」


はしゃぐマリンの様子に気を良くしたフェニが順番にゼン達を治療していった。


余談だが、治療が終わった兵士達からゼンは詰め寄られ、その言葉足らずな行動に対するクレームを吐き出していた・・・




「と、言う訳でフェニ様には我等の訓練に参加して頂く!舐めた行動は慎む様に!」

「それは連れて来る前に言ってくださいよ!」

「俺らはまた将軍が訓練用の魔獣を連れてきたのかと思ったでしょうが!」

「お陰で神鳥様のお怒りで、もう少しで火炙りですよ!?」


改めてゼンが説明すると兵士からはクレームが出た。

どうやら普段からゼンは魔獣を連れて来る様な事があったらしい。

だからフェニを見て侮ってしまったのだ。


「魔族の兵士さん達は元気だね〜」

「そうですわね。」


ギャアギャア言い寄られるゼンを眺めながらフェニとマリンは休んでいた。


いつ終わるのかな〜と思っていたらデニスが訓練場にやって来た。


フェニとマリンを目に止めると近づいて来る。


「お二人共お休みのところ失礼します。」

「どうしたの〜?」

「何か御座いましたか?」

「実は・・・・」


そこからデニスからステインが2人を置いて出掛けた事を聞いた。

デニスの説明ですぐ帰って来ると言う事だったので仕方ないと思った2人は余り気にせずに訓練を続ける旨を伝える。

それを聞いたデニスはほっと息を出し、その場を離れていった。


その間に兵士達の話も終わった様でフェニの方にゼンと兵士が集まる。


「神鳥様。お待たせしてすみませぬ。」

「終わりましたか?では、魔国の兵の皆様。妾はフェニと言います。少しの間ですが皆様と訓練させて戴きます。お願いしますね?」

「「「「「はっ!!!!」」」」」




それから日が落ちるまでの間、フェニとゼン達は立ち合いを続けた。

途中、マリンが寝てしまったが、様子を見に来ていた魔王がメイドを1人付けてくれた。


フェニはステインの言う様に初級の呪文と自身の身体能力のみで戦った。

それでも並の兵士では手も足も出なかったが、ゼンとはいい勝負をしていた。


途中、魔王共模擬戦をしてみたが、初級の呪文では魔王の呪文に力負けしてしまう事さえあった。


ゼンには身体能力で拮抗され、魔王には魔法で拮抗される状況に、フェニは自身の考えうる戦法で戦い続けた。


フェニはステインがフェニに条件を付けた理由が分かった気がした。


フェニだけではなく、調停者であるケルピーやハク。また、フェンリルの上位個体のシトリンは並の人間や魔族、魔獣では敵にもならない。


魔人の軍勢の様な特殊な敵以外では苦戦する事がないのだ。


ケルピーが雷を放てば魔獣は焦げ落ちる。

ハクが跳びつけば人間は引き裂かれる。

シトリンが吠えるだけで魔獣は逃げるだろう。


皆んなが皆んな、一騎当千の者達ばかりなのだ。


結果、大抵の敵を一撃で葬れる状況が、フェニ達の行動を一撃必殺に持っていってしまう。


先の戦いの前に訓練で作った技も皆んなが一撃で敵を仕留める技ばかりだった。


そして、魔人の軍勢には通じてもあの影の男の様な者がまだいるかもしれない。


自分達の最大火力が通じなかった場合、今のフェニではその時点で打つ手無し。

負けてしまうのだ。


だからステインは考えろと言ったのだ。


フェニは戦闘中も考えを巡らせ、ステインならばどうするか?どう考えるのか?

それを意識して模擬戦を行う様になっていた。



「はあ、はあ、はあ・・・・」

「フェ、フェニ様。さ、流石に私も魔力がもう無い。」

「わ、私も、もう、腕が上がりませぬ・・・」


フェニの息が完全に上がる頃にはゼンと魔王も限界を迎えていた。


「え、ええ。2人共、良い訓練でした。感謝致します。」

「い、いえ。私も先の対戦では助けて貰うだけでしたから、いい特訓になります。」

「わ、私も、もっと精進します。」


夕日が登る頃には訓練を切り上げた。


それから、魔王が連れて来てくれたメイドがマリンの食事やお風呂などの世話をしてくれた。


マリンはステイン達がいない事が寂しいのか、大きくなったフェニの背中にしがみつく様にして眠りについた。


マリンがスヤスヤと寝息を立てるのを聞きながらフェニは今日の戦闘を思い返す。


どの様な戦法を今後身に付けていくべきなのか?


自分に足りない事とは何なのか?


フェニは自身が寝るまでの間も考え続けた。


その時、ふと思った。


あれ?ステインも一撃必殺タイプじゃないか?と。


ステインが帰ったら訓練で見せて貰おうと思っていたら眠りについていた。





そして、次の日も色々な人物との模擬戦を繰り返し、マリンはその光景を楽しそうに応援しながら見ていた。


ただし、その後、ステインが帰って来ないことによってフェニとマリンが大騒ぎする羽目になったのだった・・・

遅くなりました。


今回の章は色々な視点が混ざってしまいます。


わかりづらい点もあると思います。

頑張って続きを明日中には更新したいと思います。


お付き合いありがとうございます。

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