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その頃の色々

ーーーケルピー・ハク・シトリンーーー


ステイン達と別れ、ダンジョンに突入したケルピー達は特に問題もなく進んでいた。

魔国にある上級ダンジョンであるが、下層が広がる洞窟型のダンジョンで最下層は81階となっている。

フロアボスが20層毎に配置されており、一般の冒険者のパーティでは最初の20層で躓く。

上級の冒険者でも40層のフロアボスに勝てるかどうかというレベルである。


ステインは勿論単体で最下層まで突破した事があるが、現在ギルドとして管理されているのは上級冒険者のレイドパーティでの61層までとなっている。


そして、ステインの家族であるケルピー達が今いる所も61層であった。


「くあああ〜・・・・なんだか暇だね〜」

「うむ。私達からすれば苦戦するモンスターなどいないだろうからな。」

「私はピクニックみたいで楽しいのです!」


地上の頂点に立つ魔獣のケルピー達は上級ダンジョンのモンスターやフロアボスを物ともせずに進んでいた。


60層のフロアボスさえ、出現してから1分保たなかったのだ。


ステインからのお使いでやってきているが、このままでは訓練にもならなかった。

ハクは眠たそうにしているし、シトリンは余りの暇さに油断していた。


ケルピーはそろそろ頃合いかと思い、2人に提案をする。


「2人共良いか?」

「どうしたの?」

「なんです?」


ケルピーは背に抱えたマジックバックからある物を取り出すと2人の前にゴトリと置いた。


「実はな、ステイン殿から上級ダンジョンをただ進むのは飽きるだろうと言われてな。私達の訓練にと預かってきた魔導具だ。」

「ステイン兄ちゃんから?」

「お父様からなのです?」


実は出かける前にこの様な状態になると思ったケルピーが、ステインに相談していた。

自由奔放なハクと、行動派なシトリンの2人が退屈するのでは?と。


それを聞いたステインが急ごしらえで作った魔導具が目の前にある首輪だった。


「ステイン殿曰く、この首輪は我等の力を封じ込める類の物らしい。詳しくは私にも分からないが、『聖気』を応用して作った新型の魔導具だと言うことだ。」

「ふおおおおお!!!ズルイズルイ!!僕も作るところ見たかったよう〜」


創造の調停者であるハクが目の前の魔導具の製作に立ち会えなかった事を悔しがっていた。

ハクは創造の調停者である為、ステインが作る物には興味を示す事が多い。


しかし、バタバタとした事件が多くまだ制作現場に立ち会った事が無かった。


「うう〜〜〜!絶対帰ったらステイン兄ちゃんから離れない!」

「私もマリンと一緒にいるのです!」

「2人共落ち着け。」


ケルピーが一旦場を鎮める。

ケルピーは何だかんだで皆んなをまとめる役割をしてしまう事が多い。


ステインはこういう時、皆んなに混ざって騒ぐタイプだから尚更しっかり者のイメージが強くなっていた。


「話を戻すぞ?これはな結局付けてしまうとステイン殿以外には外せなくなるらしいのだ。一旦付けたら能力を使う際に力を吸い取り空気中に霧散させてしまうらしい。つまり、100の力を出そうと思ったら10になる。」

「なにそれ!?」

「よくわかりませんが、凄いのです!」

「ちょうどいい位の階層まで進んだ事だし、此処から先は訓練がてらこれを身に着けて行こうと思う。良いか?」


ケルピーが2人に確認すると2人共頷いた。


お互いに魔導具を身に付けると重力が何倍にも増えたような負担を感じた。


「ぬ!!こ、これは!?」

「おおう!?ちょ、ちょっと!!」

「わふうう!!き、キツいのです・・・」


実はステインは『聖気』を利用し、ケルピー達の能力を制限するだけでは無く、重力を5倍に増やす仕様も加えていた。


「ステイン殿め!!やってくれたな!?」

「ちょっと!!これ、キツすぎない!?」

「お、お父様はやり過ぎなのです!」


ステインは単純に訓練に成れば良いと言う善意でやった事だが、ケルピー達からしたら拷問の様な魔導具だった。


ケルピー達はギャアギャアとステインの文句を言いながら先に進み始めた。


各々、ステインへと仕返しをする事を胸に秘めながら・・・・




ーーーステインーーー


魔国を出発して暫くした頃だった。


ステインは『聖気』を使用する感覚を掴む為に訓練がてら常時『聖気』を発動状態にしていた。


結果、通常状態のステインよりもとんでもないスピードで聖域へと辿り着いたのだった。


「ふう・・・」


ステインの予定では半日近く掛かるかと思われた聖域迄の道のりだが、三刻程で到着出来た。


軽く肩を回しながらステインは聖気を使用した後の身体の調子を確認する。


〈ステインよ。聞こえるか?〉

「お、エルアリアか!」


ステインが身体を解していると声が聞こえてきた。


〈ステイン、まずはスマヌな。影の男の襲来を知らせてやれなかった。〉

「なんだよ。気にするなって!皆んなで何とか出来たし大丈夫だ。」

〈うむ。そう言ってくれると助かるの。それでな、今回の事で分かった事があるのじゃ!〉

「どうした?」


エルマリアからの謝罪を受け取ると何か分かったらしいエルアリアが普段の調子に戻って話を進める。


〈実はの、魔人の関係者はもう1人居るようなのだ!〉

「!?」

〈我等が追っていたのがそのもう1人の方でな?魔人の気配を見つけたから天界より監視しておったのだが、その間に魔国にて男が暗躍しておったようじゃ。〉

「魔人の関係者はまだ居たのか・・・」


新しい情報を聞いたステインはその場で考え込む。


最近になり情勢が動いている帝国。


急に暗躍し始めた魔人。


何もかもが繋がっているわけではないだろうが、これだけ厄介な出来事が1度に起こっているのを無関係と決めつける訳にもいかないだろうと思った。


しかし、ステインが持っている情報では何がどうなっているか判断する事は出来なかった。


「情報が少な過ぎてなんとも言えないが・・・警戒はしておくべきか。」

〈そうじゃな。スマヌな。魔人の気を探る方法が有れば我等も動きやすいのだが、いかんせん、魔人の気を神は探れぬ。〉

「魔人の気を探るか・・・」


エルアリアの話を聞いてステインは考える。


(俺達が動くとしても限界がある以上、エルアリア達の協力もいる。しかし、魔人の気か・・・ん?)


〈どうした?ステイン?〉

「ああ。エルアリア。俺の中にある魔人の気は分かるんだろう?」

〈それはな。流石にこれだけ世界樹に近づいて居れば目の前で鑑定しているような物じゃからの。分からん方が可笑しい。〉

「じゃあさ、俺の中の魔人の気と、その協力者?の魔人の気は別物か?」

〈いや、同様の気配が・・・そうか!!〉

「そうだ。俺の気配を感知する装置を作れたらどうだ?魔人の気を探す道具にならないか?」

〈おおお!!創造神の奴に作らせよう!創造神!!どこにおるのじゃ〜〜〜〜!!〉


ステインの提案を聞いてエルアリアが騒ぎ出す。


その様子がマリン達を思わせてステインは笑顔を浮かべていた。


〈おっと。忘れておった!ステイン、お主にもう一つ言っておく事がある。〉

「ん?どうした?」


騒いでいたエルアリアがふと真面目な声でステインに語りかけてきた。


〈お主、聖気を手軽に使い過ぎじゃ。〉

「は?」


そう言われた瞬間であった。


メキメキッ・・・・!!!


「おおう!?ああああ!!!痛タタタタタタタタっ!!!!!????」

〈聖気は巨大な力じゃが反動があると言っておいたろうが!それをポンポン使いおって。〉

「おおお!!!」


身体を捻じられるような痛みに襲われるステイン。


ゴロゴロと地面を転げ回る。


〈少しくらいならまだ良いが、お主はまだ魔国で使用した時の反動が身体に残っているだろうに。その上でここまで聖気を使って強化して帰ってくればそうなる。〉

「〜〜〜〜〜〜!!!!???」


呆れたように言うエルアリアに対し、


痛みで声が出ないステインは涙目で世界樹を見上げる事しかできなかった・・・


大分間が空いてしまいました。


初めての投稿作品として力及ばぬでしょうが完結までは意地でも書く所存です。


皆様にはお付き合いして頂くと有り難く思います。


よろしくお願いします。

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