作戦準備します
「よーし!じゃあ皆んな頼んだぞ?」
「任せておけ。」
「僕も張り切っていくよ〜」
「私も頑張るのです!」
ステインは今、ケルピー、ハク、シトリンを連れて魔国にある上級ダンジョンの入り口にいた。
「妾は居残りですわね。マリン様とお留守番しますわ。」
「フェニちゃんは行かないの?」
「マリン。ここは洞窟型のダンジョンだからフェニは空を飛びづらいだろう?」
「そっか〜!」
マリンとフェニは地上に残る。
今回はステインが思いついた方法を実現する為に二手に別れることにした。
ステインが考えついた方法とは?
実に単純で、火竜の山に置いていた魔導具『魔導カメラ』を量産改良し、各国に配るというものだった。
魔導カメラの材料としてイビルアイというモンスターの目玉がいるので、ケルピー達は上級ダンジョンの奥で狩りを行う。
その間にステインは魔王に借りた部屋で他の準備を行う予定だ。
魔導カメラについて説明すると、設置したカメラの映像を見る魔導具だが、実はかなりややこしい。
まず、カメラに魔力の登録を行い、登録した魔力の持ち主が特定の魔法を使うと映像が映し出される。
魔力の登録を一個のカメラに行うのがまず労力がかかる。
更に、映像を映し出す魔法がステイン以外には使えない。
そして、映像機能だけしかない為、通信機能を追加する必要がある。
問題点は多いが、クリアできれば各国代表が自国にいながら通信で会談を行える。
それらの研究をステインは残って行うのだ。
「では、行ってくる。」
「イビルアイって一番下層の方だよね?」
「私も行ってくるのです!」
「気をつけてな!」
「頑張って下さい。」
「行ってらっしゃーい!」
見送るとケルピー達は競争するようにダンジョンに飛び込んでいった。
マリンが満足するまで手を振って見送っていた。
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魔城に戻ると魔王が待っていた。
魔王の執務室に案内されると、魔王は手を止めてステインに向き直る。
「戻ったか。ステインに言われていた道具類は準備してあるぞ。直ぐに準備にかかるのか?」
「流石だな。俺は今から研究に入るつもりだけどマリンとフェニはどうする?」
「妾達は特に予定はありませんわね。」
「あ!!宿屋のおじちゃんとおばちゃんは?」
ステイン達と一緒に魔城に留まっていた宿屋の夫婦は今どうしているのかをマリンが聞いてくる。
実は魔族の夫婦も暫く魔王の心遣いで魔城に留まっていたが、一般の魔族に魔城は敷居が高い為、自分達が住んでいた街に帰って行った。
その事をマリンに伝えると落ち込んだ様子になった。
たわいも無い話をしていると、魔王の部屋の外から騒がしい声が聞こえてきた。
バアアアアアンッ!!!
大きな音を立てて魔王の部屋に入ってきた大柄の魔族。
部屋にいるメンバーを見渡すと、ステインを見てニヤリと笑った。
「そなたが英雄殿か!一眼会いたいと思っていた!!私は魔族四天王のゼンと言う。よろしく頼む。」
「ゼン・・・ノックくらいしろ・・・」
「すみません。魔王様、ステイン殿。止めたのですが・・・」
ゼンと名乗った魔族の背後から疲れた様子のデニスが顔を出した。
魔王は仕方のないヤツめ。と呟きながらゼンに何用か聞く。
「ゼンよ、ただ会いたいだけで貴様は来ぬだろうが?」
「流石魔王様!そうです!私はステイン殿にお願いがあって参った!」
「お願い?」
そう言うと、ゼンがステインに頭を下げる。
「ステイン殿!英雄に違わぬ力、お見それいたしました!つきましては、少しで宜しいので一手御教授願いたい!!」
「・・・俺がか?」
「ゼン、ステインは我が友として滞在して貰っている事は知っているな?」
ゼンの言葉に魔王の雰囲気が変わった。
客人として来ているステインに戦いを教えてくれと言う事は礼儀としては無いからだ。
魔王の威圧を受けたゼンは怯まず口にする。
「誠に失礼ながら!しかし!!私は、私達はもっと強くなりたいのです!魔国に危機が迫っている中、魔王様だけを残して逃げる事態は二度と起こしたく無いのです!何卒!」
「ゼン・・・」
ゼンの言葉に魔王も雰囲気を抑える。
自身の欲求を満たすためではなく、魔国と魔王を想っての行動だったからだ。
様子を見ていたデニスも仕方ないと呆れ顔でゼンを見ていた。
ステインは少し考えてゼンに応える。
「悪いが俺は今から魔導具制作をしなければならない。これは今後の国交に関わる開発だ。魔王と話し合って決めた事なんだ。」
「そうですか・・・」
「俺が相手するのは難しいから、フェニ!」
「なんでしょう?兄上。」
「フェニが魔族達を鍛えてみないか?マリンも戦いを見学するのは好きだろう?」
「うん!危なく無いなら楽しいよね!フェニちゃん。かっこいい所見せてね!」
「・・・仕方ありませんわね!妹にそう言われたからには手加減しませんよ!」
マリンの言葉にヤル気を出すフェニ。
基本的にウチの家族は下の子に甘い。
しかし、ただ相手をさせてもフェニの為にならないので条件を付ける。
「フェニ。最初の一戦は何をしても良い。力を見せつけなさい。だが・・・」
「兄上?」
少しワザとらしく溜を作る。
「2戦目からはずっと初級魔法のみ。しかも空を飛ぶのも禁止だ!」
「ええ!?」
フェニが驚く。
それもそのはずだ。
この条件ではフェニは本来の十分の1も力を出せない。
「いいかフェニ。これはお前の訓練にもなる。逆境を覆すには経験が全てだ。普段からキツイと思うギリギリのラインを攻める。そして、考えを巡らせて戦う癖をつけなさい。フェニはきっとそう言う戦い方が合っている。」
「兄上・・・!わ、分かりましたわ!魔族の方!手加減はお互いに無用でしてよ!」
「は、はい!神鳥様にお相手して頂けるのならば!」
黙って聞いていたゼンが緊張しながら返事をする。
フェニとマリンはそのままゼンと出て行った。
残った魔王とデニスに向かい話しかける。
「魔王、デニス。ウチの子達を気にかけてくれるか?」
「それは勿論だが?」
「改まってどうしました?」
ステインは真面目な顔をして言う。
「俺は一度住処に帰る。用意して貰った道具だけじゃ足りない。マリンを連れて行くと時間が掛かるから1人で戻る。往復1日半もあれば十分だ。」
「成る程な。だが、フェニ様が居れば早く帰れるのでは無いか?」
「それも考えたけど、フェニはフェニで折角の訓練の機会だからな。ゼンだっけ?彼が来なければ一緒に帰っていたがな。」
「わかった。任せておけ。」
「承りました。」
魔王とデニスが頷くのを確認した後、ステインは部屋を後にし、フェニとマリンにバレないように準備して魔城を後にした。
人の気配が無くなった地点まで歩くとステインは己の力を入れる。
ステインはステインで一人で行動したい理由があったのだ。
白いオーラを纏うと一気に力を解放する。
ズゴンッ!!!!
地が爆裂すると共に、ステインの姿は一気に見えなくなった。
そして、ステインが一人で行動して3日後。
「あ、兄上がーーー!!」
「す、ステインがーーー!!」
フェニとマリンがベッドで涙を溜めながら叫び。
「「帰ってこない〜〜〜!!」」
木霊するマリンとフェニの叫びが魔城に響き渡っていた・・・
飛び飛びになりました。
仕事が落ち着いたら連続投稿に戻したいと思います。
お付き合いいただき有難うございます。




