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影獣と王

『魔王』


ケルピー達が戦いを続けている頃、魔国では魔王を中心に四天王が今後の対策を話し合っていた。

魔王、デニス、ゼン、更に2人の魔族、氷結の武将コキュートスと、断崖の武将タイタンである。

魔王は四天王を見渡すと、重い口を開く。


「状況は?」

「はい、魔城と首都を中心に化け物がいる範囲は既に避難を終えていますが、物資も十分ではない状況。更に化け物は数を増やしていると。兵も消耗が激しく動ける者は僅かです。」

「対策は・・・いや、愚問か。こちらの攻撃で有効打はありそうか?」

「正直言って思い当たりません。」


魔王の質問にデニスが答えて行く。

他の四天王は己の不甲斐なさに口をつぐむ。

既に皆、戦い疲弊しきっていた。

魔王は結果が分かっているからか反論もせず聞いている他の四天王を見やる。

そして、決意を固めると四天王たちに言う。


「では、現状の手を伝える。我が残って戦う間に四天王は領民を連れ王国に逃げよ。」

「「「「!!!!????」」」」


魔王の宣言に四天王は驚く。

しかし、魔王は冷静に伝える。


「奴等の狙いは我だ。我が囮になる。いや、我しか務まるまい?その間に友好国である王国に逃げよ。人間でも王国の国王ならば皆、信用できよう?」

「魔王様、しかし・・・」

「ならば、他の手が思いつくものはおるのか?」

「「「「・・・・・・・・」」」」


四天王は黙り込む。

現状既に四天王を含み、魔王も影の化け物と交戦し既に打つ手が無くなっていたからだ。

四天王の技と、魔王の魔法は吸収され、ましてや謎の光線に兵は焼かれていた。

唯一、魔王のみが魔力を使わずに何とか肉弾戦で戦えるのみなのだ。


化け物は魔王達が打つ手が無くなるのを待っていたかのように今は攻撃をやめていた。

魔王とデニスはあの時現れた影の思惑通りになっている気がしてならなかった。

その為、魔王は決意した。

思惑に乗ってやる。しかし、只でやられている訳にはいかないと。


「我も死ぬつもりはない。安心せよ。王国に行き『奴』に助けを頼め。デニスは分かろう?」

「・・・はい。私が知る中で最強の人間ですから。」

「我もそうだ。我の友にして『魔王より魔王』だからな!それまでは意地でも生き延びてみせる!!よいか!?我らは負けるために引くのではない。勝つためにここは民を逃がすのだ!!」


魔王の決意に四天王は膝を付き、民の退避の準備を進める。


魔国より民を連れた四天王が出たのは、ケルピー達が戦いを終えるのと同時だった。



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『ケルピー・フェニックス・白虎』


ケルピー達は魔族が避難を開始した頃、それぞれの戦闘を終えて、元の荒野に集まっていた。


「2人とも問題は無かったか?」

「ありませんわ。」

「僕も。楽すぎてがっかりしたよ?」


お互いに問題がないことを確認しあい、辺りに気配が残っていないかを確認する。


「取り敢えずこの辺りは落ち着いたようだな。」

「そうですわね。数だけは揃っておりましたからね。」

「面倒だっただけだね?」

「ふむ、そこまで消耗は無さそうだが油断は禁物であろう。今のうちに少し休むか。」

「ええ~~~!?先に行こうよ?」

「ハク。相手は正体不明の敵なのですよ?休めるときに休むのも必要です。我慢なさい?」


ケルピーの提案に異を唱えるハクをフェニが抑える。

ケルピーが体を休めると2人も同じように休み始めた。


「2人とも敵をどう思った?」

「そうですわね・・・ステイン兄上から話を聞いていた通り厄介ではありましたが?」

「話に聞いていたよりは手応えがなかった気がするよ。」

「私もそう思う。火竜の山に居た個体はもっと気配が強かった気がするのだ。」

「妾達は見たことがありませんから其の辺りは何とも言えませんが?気になることでも?」

「僕達が強くなったからじゃないのかな?」


ケルピーが戦いながら気になっていた所を2人に話す。

確かに2人は化け物に遭遇するのが今回初めてである。


ならば、自分が感じる違和感が正しいのかもしれないと、ケルピーは考えていた。


「私たちも強くはなっているはずだが、どうにも腑に落ちん。化け物たちは私たちを相手にする気は無かったのではないか?」

「どういうことです?」

「ん?」

「いやな、私たちが来ているのに感ずいているのであれば、もっと戦力を投入したのではないか?訓練する前の私たちでも今回の敵くらいならば問題なかろう?私たちを操ったことがある者が戦力差を見誤るか?私ならもっと戦力を投入するか強化した化け物を送り込むがな・・・」

「なるほど。では、ケルピー兄は他に狙いがあるのでは?と思っているのですね?」

「そうなのかな~?」


ケルピーの言葉にフェニは自身も考え込む。ハクはこういう事は苦手だから2人に任せてのんびりし始めた。

それを見たケルピーはハクに警戒を頼むと、フェニと考えを交換し合う。


「考え過ぎならば良いが、何か敵の狙いがあったとするならば警戒は必要だ。だが・・・」

「そうですわね。考えが読めぬ以上、今何かを対策するのは難しいかもしれません。」

「うむ。しかし、単体行動は今後控えるべきかもしれぬ。固まって動くのが得策であろう。」

「同意ですわ。バラバラに狙われた時に一人でもまた操られたら厄介ですものね。」

「此処には今、ステイン殿とマリン様が居らぬからな。操られた時に対策が取れぬ。」

「ええ。魔国までそう距離は残っていませんし、此処からは一気に魔国の城まで抜けてしまうのが良いかもしれません。」

「魔王とやらに会えば後はステイン殿の名前を出せば信じてくれるだろう。休憩が終わったら次は敵を振り切りつつ駆け抜けよう。」


今後の動きを決め、ゆっくりと休んでいる時だった。


「誰かと思えば、調停者の皆様方ではありませんか?」

「「「!!!???」」」


急に気配が現れた。

ケルピー達は一気に警戒を高めると臨戦態勢に入った。


「何度目か分かりませんが言っておきますよ?この状態の私は戦闘力はありませんよ?」

「貴様は火竜の山に現れた!!?」

「此奴は?」

「誰?」


ケルピーは見た覚えがあるが、フェニとハクはあの時操られていたし、記憶が曖昧でハッキリとは覚えていなかった。


「コチラの用意した戦力が居なくなったと思えば調停者が来ているとは・・・『魔人の器』は来ていないのですか?」

「ふん!教えてやる義理は無かろう?」

「そうですね。取り敢えず今日は貴方方が狙いではないのでね。ココは引いてくれませんかね?」

「巫山戯たことを!妾達が言う事を聞くとでも?」

「思いませんね〜〜。仕方ありませんね。では、また魔人の『怨念』を打ち込んで上げましょうか?」

「そんな気持ち悪い物はいらないよ!」

「クククッ・・・!!愚かですね!貴方達が私の作った影獣に勝てると思っているのですか!?」


影の男が言うや否やまた化け物が溢れてくる。


「僕たちに化け物はもう勝てないよ!!さっきも楽勝だったし!!」

「そうですか?では、遠慮は入りませんかね?」

「ふん、いいから掛かって来るがいい。貴様の狙いを洗いざらい吐かせてくれる!」

「ククククク!!良いでしょう!!あの化け物の器と女神が居ない貴方方がどこまで出来るか見せて貰います!!」

「胡散臭い喋り方ですね!貴方自身が妾達の目の前に立ってから偉そうになさいな!?」

「お断りですよ。調停者の前に出たら殺されるでしょう?」


化け物が影が話しの合間に集い始める。

先程よりも気配が濃くなって行く。


「調停者を相手に普通の影獣では申し訳ないので取って置きをプレゼントします!!」


影の男が宣言すると、黒い影の化け物が集まりきり、異様なオーラを放ち始める。


「なんと!?禍々しい!」

「これは!?」

「さっきの雑魚とは全然違うよ!?」


オーラに押されるように身動きが取れないケルピー達。


「ハハハハハハハハハハッ!!特とご覧なさい!これが私の最高傑作にして影の王『影獣王えいじゅうおう』です!!!!」

「グ・・・オオオオッ!!!」


巨大な異形の巨人が立ち上がる。

地に響くようなうねり声をあげながら、赤い一つ目を光らせていた。


「なんと巨大な!?」

「いけませんわね、今までの化け物とは格が違います!」

「ヤバイかもね。本気でいかないと!!」


気を取直して巨人に立ち向かうケルピー達。


影の男は笑いながら言う。


「魔人の力に溺れてしまいなさい!神の調停者よ!」


宣言と共に姿を消す影の男。



ケルピー達と影の王の戦いが始まる。










思ったよりまとめきれず、長引きそうな気がしてきました。


そろそろ主人公に入りたいですが、次回も戦いです。

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