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帰ってきた聖域と信託と色々な目覚め

火竜の山から聖域へと帰って来た日は、色々あって皆んな疲れ果てており、食事と風呂に入って(デザートは皆んなで食べた)直ぐに寝てしまった。


翌日、目を覚ますとマリンも元気になっており、身長がまた少し伸びた様だった。


ケルピー曰く、


「無理な覚醒をされたが、マリン様の想いの強さに精神の強さが成長されたのだろう。精神と身体の成長は繋がっている。」


との事だった。

シトリンは気功や魔法を鍛えたいらしく、俺やケルピーを捕まえては組手を行っている。

慌てる必要はないのだが、


「お父様やお兄様みたいに強くなって、今度こそ全部を守るのです!だから、強くなりたいのです!!」


と、言っている。

ケルピーもそんなシトリンの相手をするのが自分の訓練にもなる様で、毎日魔法の訓練を行っていた。

俺が結界を張ってるからいいけど、結構派手に風の刃やら、竜巻やら使っている。

此処、一応聖域だからね?破壊しない様にね?


と、そんな事をしながら1週間が過ぎていった。




そろそろ、王都ギルドに報告がいるかな?と考えていると、世界樹から久々に信託がきた。


《やっと繋がったか。ステイン、聴こえておるか?》

「エルアリア!どうしたんだよ。何回か呼び掛けたのに全然返事がなかっただろう?」

《うむ、すまぬ。天上も色々あってな。お主等が火竜の山とやらに向かってから、天上にも魔人の影の様な化け物が現れての。数が多くて処理に手間取ったのだ。》

「天にもあの気持ち悪いのが出たのか!?」

「何と!?」

「大変なのです!」

「お姉ちゃん、大丈夫?」


流石に天界にも化け物を送り込める事に驚く。

魔人、想像より凄い力を持っている様だ。


《処理は済んでおる。安心せよ。闘神がヤマタノオロチをやられて怒ってな、暴れる暴れる!此方の被害も考えずに大技をポンポン放ちよるから天界を鎮めるのに時間がかかってな。お陰で信託をするまで時間がかかったのじゃ!》

「・・・闘神にはヤマタさんの事謝らないとな。」

《必要あるまい。お主の戦いは観ておった。闘神など涙を流しながら感謝しておったぞ。「息子の親友はいい奴だ!!最高だ!!」とか叫んでおったからな。》

「そうか・・・」


闘神や神々はヤマタノオロチやケルピー達調停者を子供の様に思っているらしい。

悔しかっただろうに、流石、神なのか慈愛に溢れる言葉である。


《そろそろか?ステイン。お主達が助けてくれた調停者のフェニックスと白虎が起きるぞ?》

「おお!!?」

「なんと!!?」

「お出迎えするのです!」

「鳥さん、猫さん、おはよー!」

「ピュ、ピュイ?」

「ニャ、ニャフ?」


エルアリアの言う通り、今まで眠り続けていたフェニックスと白虎が目を開けた。

ケルピーが駆け寄り、シトリンが尻尾を振りながら伏せをして待っている。マリンは寝かせていた寝床を覗き込む様にしていた。


「ピュ、此処は?妾はどうして・・・?」

「ニャ、僕、何してたっけ・・・?」


どうやら混乱している様だ。ケルピーに説明を任せ、その場を少し離れる。俺は神に話があった。


「エルアリア。俺の出生を黙っていたな?何が魔人の影響を受けた一族の血筋だ!全然違うだろう?」

《う、うむ。す、すまぬのじゃ!し、しかし、余りにも不憫な出で立ち故に言い出せなかったのじゃ!!許してくれ・・・》

「はあー、まあ俺も後でケルピーから聞いたけどビックリはしたな。怒ってはいないけど、どうせなら敵からは聞きたくなかっただけだ。」

《済まぬ。あの影の輩は恐らく魔人の精神の一部を取り込んだ者だろう。今、我等が行方を捜しておる。だが・・・》

「神と魔人は相容れないから調べるにしても時間がかかるって事か?」

《うむ、気配が掴みづらくてな。しかし、時間がかかると言っても少しじゃ。目星はついておる。》

「そうなのか?流石だな。」

《ステイン、その時は力を貸してくれるか?》

「ああ。勿論だ。だって、俺が行かなくてもマリンやケルピーに行かせるんだろう?だったら俺も行くさ!」

《苦労をかけるな・・・》

「良いって!それから一つ頼みがあるんだけど?」

《おう!なんじゃ!できることなら叶えてやるぞ!苦労をかけておるからな。》

「いやいや、神は地上に干渉したらダメなんだろう?じゃなくて、俺ももっと強くなっとかないとダメなんじゃないかと思ってな。何か手はないか?」

《ふむ、事人間に限れば既にステインに敵うものはおらんじゃろ?》

「人間はそうかもしれないけど、魔人はそうじゃないだろう?しかも、魔人の力に魔人の力は効果が薄いらしいし、俺の今の能力じゃ不足の事態になりかねない。」

《ふむ、ステイン、少しお主を『神眼』で覗いて良いか?》

「あ、ああ。構わないが?」


じっとしてエルアリアが話始めるのを待つ。

向こうではマリンがフェニックスと白虎を追い掛けながら遊んでいる。

仲良くやっている様だ。

と、しばらく眺めていたらエルアリアから呼びかけられた。


《これは・・・成る程な。》

「ん?何かあったか?」

《ああ、お主、既に人間辞めておった様じゃ。》

「はあ!?い、いや、そりゃ魔人の器だからか?けど、どこも変わってないけど!?」

《そうではない。お主は魔人に負けておらぬ。》

「ど、どう言う事なんだ?」

《うむ、恐らくなんじゃが、マリンが少しづつお主の魔人の気を浄化しているのは知っておるじゃろ?マリンの奴め、浄化するのは良いのじゃが、まだコントロールが上手くないせいか、浄化した気をよりによって聖気にしてしまっておる。》

「聖気?気功と違うのか?」

《比べ物にならん。聖気とは文字通り聖なる気じゃ。使い方を誤れば自身の身を削る程強力な力じゃ。本来なら人間が持てる力では無いが、ステインは本当に規格外じゃな。気功、魔力に続いて聖気とは・・・》

「なんだよ、どんな力なんだ?」

《聖気はな、自分の力じゃ無いのじゃ。聖気を持つ者は周りの気を取り込み戦う力や癒しに変換する。自身の聖気は変換に使うだけじゃから消費は少ない故、気功と違い出力も上がり、枯渇も起こしづらい。というか、本来なら聖気は浄化の女神しか持たぬはずじゃが・・・エルマリンめ、今度会ったら説教じゃ!!》

「成る程な。使えるように頑張ってみるか。で、俺が人間じゃないってのは?」

《間違いなく聖気のせいじゃが、お主の種族が「天魔人」になっておる。初めて見る種族じゃ!!神である我も訳が分からぬ!!》

「おおう・・・!!?」


なんじゃそりゃ!?と言いたくなる種族になっていた。

人間かどうかは元から怪しかったから気にしないが、なんだ「天魔人」?って!!

あやふやな種族になったな〜!!


《と、とにかく、恐らくじゃが、お主はまだどちらにも変化すると言う事じゃ!聖に傾くか、魔人に傾いていくのかは決まって居らぬ。無理だけはするでないぞ!!》

「わかった。」

《だいたい、お主と話してたら時間が無くなってしまった!》

「俺のせいか?」

《まさしく!・・・ステイン。真面目に聞け、お主は人間じゃ。人間として生きてくれ。我が不甲斐ないばかりに産まれた不備な命としても人間として生きて欲しいと願っておる。忘れるな。》

「・・・わかってるよ。ありがとう。エルアリアは母親みたいだな!」

《ほほほ!我が母か!良いな。その調子で我が子も家族に加えてやってくれ。フェニックスは我の娘じゃからな!》

「わかった。任せとけ。」

《うむ、長男として頼んだぞ!では、また連絡するとしよう。皆にも宜しく言っておいてくれ!》

「ああ。無理するなよ。」


エルアリアの気配が無くなる。

この間から情報がポンポン出てきて混乱しそうだから、頼りになる家族と話し合いをしよう。

新しい家族が出来るなら家もまた改造するか!いや、立て直して屋敷にするか?

どんな部屋が良いか、フェニックスと白虎にも聞かないと決められないけどな。


どんどん賑やかになっていく。

別れもあったが、新しい家族が増える。

ヤマタさんは俺にとって親友で兄みたいな存在だったのかもしれないな。と思う。


少しずつ増える家族と、賑やかになる家に困惑と歓喜が混ざり合った不思議な気分になる。


とりあえず、今日は歓迎会から始めよう!!


ステインはゆっくりと皆んなの方に歩いて行った。



新章いきます。よろしくお願いします。

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