合流、そして到着。
足早に火竜の山に向かい走り続けるステイン。
周りを警戒する事なく、先を行く家族を追いかけていた。そのスピードはとてつもなく速かった。何故なら、
「ケルピーとシトリン、暴れすぎじゃない?」
こっちに行きますと言わんばかりに森が切り開かれていた。そう言えば風属性の雷を扱うのが得意だったケルピーがシトリンに使い方を教えながら暴れ・・・いや、はしゃいでいるのだろう。そう時間が掛からず追いつけそうだが、既に常人なら3日分くらいの距離を進んでいる。通常なら火竜の山まで10日前後掛かるだろうが、これなら1日で着いてしまいそうだ。更に進むと声が聞こえて来た。
「シトリン。大分コントロールが上手くなってきたが、規模がまだ大きすぎる。無駄に広げる事は無いように練習を続けなさい。気孔と合わせればもっと強くなれるはずだ。気孔はステイン殿に習うと良い。」
「はい!お兄様!」
「凄い凄い!シトちゃんもっともっと〜〜」
どうやらケルピーがシトリンの訓練がてら魔力で森を切り開かせていたみたいだ。森が刈られ尽くすんじゃないかと心配したが、実はケルピーの浄化の力で切り倒した森の端々から新芽が出ていた。通常ではあり得ない速度で森は復活するだろう。ステインは足早にケルピー達の元に駆け寄る。
「ゆっくり行くんじゃなかったのか?もう火竜の山まで半分くらいのところまで来ているじゃないか?」
「おお、やっと来たか。ゆっくり話は出来たか?」
「お父様〜!お兄様から風の使い方を習いました!!」
「ステイン〜何処にいたの?皆んな一緒に行こうよ〜」
マイペースすぎる家族に思わず苦笑いするが、自分もこんなものかと思う。なんだか自分の事を考える事が増えたな〜と、自嘲してしまう。
「ちゃんと話せたよケルピー。シトリン、火竜の山までは訓練はお休みしなさい。山に着いたら見せてくれ。マリン、遅くなったけどココからは一緒にいくぞ。」
「うむ、人間は人間との繋がりも大切にせねばな。ステイン殿はそういう事が苦手に見える。」
「ええ〜お父様、私もう少し練習したいです・・・」
「わ〜い!!皆んな一緒、一緒〜〜〜〜!!」
一気に騒がしくなる。誤解のないように言っておくが、火竜の山までの道中は簡単ではない。魔国との国境にある世界有数の山で、その道中も通常なら上級の魔獣がいる危険性がある。しかし、超災害級といえるケルピー、更にシトリンの気配が魔獣を寄せ付けていなかった。弱肉強食の世界で危機管理のできない魔獣は低級クラスのみであり、上に行けば行くほど気配に敏感になっていく。よって、ステイン達の道中を邪魔するものは、ほぼほぼ存在しなかった。しかし、火竜の山ではこうは行かない。
「いいか、シトリン。森は生物がそれぞれの縄張りを持っている。そこに踏み込まなければ襲いはされにくい。けどケルピーもシトリンも普通の魔獣達からしたら化け物扱いだ。だから襲われない。けど、火竜の山は実はただの山じゃないんだ。」
「山じゃないんですか?」
「山に行くんじゃないの?」
ケルピー以外の2人が疑問を覚えている。ケルピーは火竜の山を知っていそうだ。
「火竜の山はな、山だけどダンジョンなんだ。山型の迷宮だ。つまり、ボスがいて、そこを守る為に魔獣を放つから、侵入者には誰彼関係なく襲いかかってくる。だから、魔法の練習は山で実践しながらの方がいいと思うぞ。その方が練習になる。」
「本当ですか?お父様!私、山に行って頑張ります!!」
「んん〜?よくわからないけど、マリンお山登り頑張る!」
「まあ、上級ダンジョンの変則型だから強力な魔獣も多いからな。ステイン殿と私がいれば問題はないだろうが、シトリンの訓練場としては丁度良いかもしれん。」
「まあ、普通の奴らは攻略できないらしいけど。俺たちはヤマタさんに会う為に攻略するしかないからな。」
「おお〜!私、頑張ります!強くなってマリンを守るのです!」
「シトリンはステイン殿の守護獣の筈なのだがな?」
「まあいいだろう?俺とケルピーを守る事態になったら今のシトリンじゃ何も出来やしないさ。それより、後ろでマリンを守ってくれていた方が安心できる。」
「はい!今はお父様やお兄様のような力はありませんが頑張ります!」
「シトちゃん頑張れ〜」
よくわかっていないマリンがシトリンを撫でながら応援する。ステインは無理のないようにな。と声を掛けると、休憩するか確認を取る。
「かなりのペースで進んだが、ココらで一休みしてから進もうと思う。このまま行っても火竜の山まで着く頃には夜だろうし、今のうちに休んでから進もう。」
「うむ、進んでも休んでも結果は同じならば、休んだ方が良いな。シトリンも余裕があるだろうが、マリン様はよく休まれないとまだ子供なのだしな。」
「はい!マリン、私の上で寝てていいからね〜」
「うん!シトちゃんフワフワだもんね〜」
結界を張り、小休止を取る準備をする。飲み物と、オヤツのクッキーを取り出し暫し休息とした。マリンはその間に寝てしまった。シトリンに任せ、ステインとケルピーは話をしていた。
「元々ヤマタさんは火竜の山になんて人目が付くかもしれない場所にいないはずなんだよな。目立ちたくないって昔言ってたし。」
「ヤマタノオロチだからではなく、我々調停者は目立つ役割は無い。本来なら陰から人類を見守り、少しばかり手助けとして行動するだけだ。より良い方に人類が進めるように世の環境を整えるのが役目である。しかし、調停者同士でも誰が何をしているかは分からぬので、会ってみなければ何も言えぬのだ。」
「それに、ケルピーの時みたいな事態になっていたらヤバイな。ヤマタさんが活火山で暴れたら周辺の山まで誘爆を起こしそうだ。そうなったら大勢の人が被害を受ける。」
「うむ、そうならぬよう、異常の出ていない今の内に会いに行っておくべきだろう。調停者が人類を害するなどあってはならない。」
「そうだな。結局、魔人について何もわかっていないしな。ヤマタさんなら知ってるかもしれないってのもある。」
「調停者が異常をきたす力を人間が持っているとは思えなかったが、私が狂ったのだ。警戒しておくのが良いよな。」
「ああ、取り敢えずシトリンの訓練も大事だが、最短で攻略をしようと思う。本気で行けば1日なんだが、氷結マントがあってもマリンの体力的に3日は考えている。」
「事は調停者に及んでいる以上、私も全力で力を出そう。」
とにかく行ってみなければ分からない事だらけである。という結論しか出なかったが、こういう意見交換はしておかないと今後の動きに関わるとステインは思っている。自分1人ならいいが、今は家族がいるのだ。迂闊な事はしたくなかった。
夜は火竜の山の入り口に結界を張りゆっくり寝てから突入という事で、そこから連れ立って出発する。
途中途中マリンに合わせて休憩を挟みながら進む。ケルピー曰く、マリンはステインの影響で成長が早まっており、その分睡眠時間が増えているらしい。よく眠り、よく食べていれば正常に育つらしい。
そんなこんなで、やはり人外の家族らしく、問題なく日が落ちる頃には火竜の山にたどり着く。雲の上まで伸びる山脈を見上げながら野営の準備を進める。
「!!?」
「む?」
「マリン!私の上にいて!!」
「はい!!」
巨大な気配がいきなり近ずいて来た。警戒するステイン達。すると空から降り立つ者がいた。
「グル!!ガアアアアアアアアア!!!!!!」
「あれは・・・」
「あの巨大さは・・・」
「マリン、離れないでね・・・」
「おっきいね〜」
巨大な火竜が突然ステイン達の前に現れたのだった。
なんとか更新できてます!明日も頑張ります!




