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さて、またまた王都ギルドで大騒ぎ!

それから、氷の結晶を採取したケルピーが帰って来て氷結マントを完成。準備が整った所でギルドカードの通信を開く。そこには、こう書かれていた。


ー火竜の山の調査、協力について要請。返答を求むー


と表示されていた。ギルドカードに魔力を通し、返信を行う。


ー個人的にヤマタノオロチと会う予定ができた為、了承するー


と、ステインは返した。



ステインはこの返信が元で王都ギルドにてまた騒ぎになる事を知らなかった。




翌日、出発の準備を整えて、ステイン、シトリンに乗ったマリン、ケルピーで王都に向けて走り出す。ステインはこの移動中にシトリンの上のマリンに結界を張り、ケルピーは周辺を警戒しながら進んでいく。過保護な2人の兄により、妹達は楽しそうに駆け回り、また笑顔を見せていた。


人外のステインと神の代理人とも言える調停者の鉄壁の守りにより、特筆することも無く王都に着く。ケルピーとシトリンには小型化してもらい、シトリンはマリンの頭に、ケルピーはステインの肩に乗っていた。入国手続きを手早く済ませ、ケルピーとシトリンにペットの振りをして貰いながらマリンと手を繋ぎ、ゆっくりと王都を歩いていく。


今回は王都巡りでは無く、ギルドに直行する。ギルドの扉を開け、中に入ると、周りの喧騒が一瞬で静まる。その様子が不思議だったケルピーがステインに尋ねてきた。


「ステイン殿、何故か皆が此方の様子を伺っているのだが?何かしたのか?」

「・・・さあ?」

「えとね、こないだ、ステイン、壁をば〜〜〜〜んってして、意地悪した人やっつけてた!」

「流石お父様!!」


誤魔化そうとしたステインを遮るようにマリンが答える。ノリの良いシトリンも盛り上げる。その様子を見ていたギルド内の人々は思考が一致した。


((((人語を喋る動物なんて居ないよな!!??))))


と、折角のペットの振りも一瞬でダメにするステイン一家。今後の騒動に思いを馳せ、冒険者は次々とギルドから逃げ出し、ステイン達とギルド職員のみが広間に残っていた。


「ふむ、思わず喋ってしまった。済まないな、ステイン殿。」

「あ!私も!?御免なさいお父様・・・」

「まあ、仕方ない。」


マリンの頭の上で落ち込むシトリンを撫でながら慰めると、ステインは宣言する。


「ここの王都ギルドは無茶苦茶しても許される。自分達らしく行動すれば問題ない!」

(((許されねえよ!!??)))


ギルド職員の心が1つになった。ステインが破壊した壁は、今は修復されている。しかし、修復するためにギルド職員達は日夜徹夜する羽目になったのだ。恨みがましい視線をステイン達は意に介さず飄々としていた。


「頼むから少しは自重してくれステイン。」

「ステイン殿、暫く振りである。」


ギルドマスターのオウルと、魔国の使者の長い名前の男!・・・デニ?デシ?デル、デニス!


「いま、私の名前を思い出しましたね?」

「コイツは・・・ステイン!取り敢えず個室に行くぞ!ここで話すと刺激が強そうだ・・・」


ケルピーとマリン、シトリンを見ながら溜息を吐くオウル。どうしたんだ?と思いながら個室に通される。


「さて、先ずは其方の魔獣はどうしたんだ?」

「物凄い力を持った魔獣ですよね?ステイン殿、教えて下さい。」

「ああ、紹介しとこうか。俺の肩にいるのがケルピー。浄化の女神の加護を受けた、浄化の調停者だ!で、マリンの頭の上にいるのがハイ・フェンリルが進化して守護獣になったシトリンだ!俺の家族になった。」

「「・・・・・・」」


口を開け呆けてしまったオウルとデニス。暫く待っているとハッと意識を取り戻した。


「す、ステイン!?こ、こちらはちょ、調停者様だと!!??」

「見た目は可愛らしいですが災害級のハイ・フェンリル!?しかも進化?守護獣?」


どういう事だ!!と質問される。ステインが起こった事を説明していく。と、また口を開けて2人が止まっていた。その間にシトリンが言う。


「お父様!!私はハイ・フェンリルを卒業しました!!進化して今はマザー・フェンリルです!」

「ええ?そうなの?ケルピー、うちの妹達が天才すぎて怖くないか?」

「正しくステイン殿の妹として成長しておるな。マリン様に至っては通常の2倍は早く成長されておる。」

「マリン、褒められた?褒められた!?」

「あ!私も褒めてお父様〜」


騒いでいるとオウルとデイルが戻ってきた。


「また、ステインは新事実や発見を次々と・・・」

「今度からステイン殿のやる事は何があっても理解はせずに受け入れているだけの方がいいみたいですね・・・」

「ああ、デニス殿、これ以上聞き出すのは諦めよう。聞きたくない。」

「ええ、同感です。これでは魔王様もお手上げなはずです。」


失礼な事を言われている気がするが、まあいいか。それより、今回はあまり時間を取られたくないから以来の話だけ進めよう。


「ちょうど、ヤマタさんに用事が出来て、火竜の山には行く予定だから依頼はついでに受けれるが?」

「そうか・・・その用事が気になるが、王国と、魔国は国に害がある事がない限りは手出ししない。と伝えてくれるか?」

「わかった。」

「それから、王国から1名と魔国から1名の証人を連れて行ってくれ。」

「あ、それは無理。足手まといだし、邪魔だからな。」

「ステイン・・・」

「一応、魔国でも腕利きの者を連れてきましたが?」


オウルが落ち込み、デニスが慌てて説得を試みる。が、ステインはやりたくない事はやらない人間だ。断固拒否である。なぜなら、


「俺達は火竜の山にピクニックに行くんだ!家族団欒を邪魔するな!」

「「火竜の山でピクニック!!??」」


常識を疑う事を言うステインは明らかに人外であった。そして、隣で頷いているケルピー、手を振り上げピクニック〜!とはしゃいでいるマリンとシトリン。非常識一家である。今、この場に止められる者はいなかった。

話は終わりだと、ステイン達が個室を後にしてギルドから帰ろうとすると、騎士風の男が1人立ち塞がった。


「貴様がステインと言うものか?」

「よし!皆んなご飯食べたら出発するぞ〜!!」

「わ〜〜〜い!」

「お父様お父様!!私はお肉が良いです!」

「シトリン、肉ばかりではダメだぞ?」


声をかけてきた男を普通に無視して去ろうとするステイン達。無視された男は顔を真っ赤にしてステインに詰め寄る。


「き、貴様!!勇者だなんだと呼ばれ調子に乗っているようだな!!!」

「・・・・・あ、騎士に擬態したオーロラカメレオンがいる。」

「誰がカメレオンか!!?」

「最近はゴリラといい、カメレオンといい、生物の成長は目覚ましいな。」

「ステイン、この人じゃま〜〜」

「お父様、この男、確かにカメレオンみたいな顔です!」

「人間も愚かな者が増えてきたのか?」


ステインに便乗してそれぞれ思い思いの言葉で騎士風の男を煽るステイン一家をギルド職員が驚愕の目で見る。騎士風の男は体から怒気を発しながらさらに言う。


「私が誰かわかっておらぬのだな?私は王国騎士団第3部隊隊長の・・・」

「知らん。お前はカメレオンで充分だ。」

「カメ!」

「虫では?」

「我らからすれば赤子だな。」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

「待て待て!!何をしている!?」

「誰ですかこの人は?愚かな。」


更に相手を煽るステイン達に掴みかかるようにしていた男を止めるようにオウルとデニスが出てくる。


「この無礼な下民に格の違いを見せてやるのだ!邪魔だ!!ギルドマスター!!」

「バカな事を!貴様如きがステインに敵うわけがなかろう!!王国騎士団は何を考えている!?」

「じゃあ、面倒だからオウルに任せて俺達は食事に行くぞ?小蟻に邪魔されたからな。」

「ステイン!大きな蟻さんだよ?」

「マリン、大きいだけで小さな蟻です。」

「マリン様、器の小さな蟻を相手にしてはいけません。」

「ちょっと黙っててくれないか!?ステイン!!」

「ああ、もうこのあいだの二の舞でしょうね・・・」

「もう我慢ならん!!」


騎士風の男が剣を抜く。ギルド職員は息を呑み、オウルは止めようと動き出し、デニスは諦めた顔をしていた。


「お父様!オモチャを振り回す虫がいます!噛んでいいですか!?」

「ステイン殿、マリン様に刃を向ける愚か者を滅して良いか?」

「ステイン、カメさんがナイフ持ってる!料理かな?」

「皆んな、ダメだぞ〜。こう言うのは殴るだけだ。ふん!!!」


騎士風の男が剣を抜くやいなや、思い思いに余裕を見せるステイン達。一瞬で剣を折り、ステイン、ケルピー、シトリンが威圧を始める。


「す、ステイン!そのご家族も!!か、勘弁してくれ!!威圧で死人が出る!!!」

「これは・・・確かに、足手まといが増えるだけだな・・・」

「アバババババババーーーーー!!!!」


ギルド職員が気を失い、オウルが止め、デニスは同行者を付けるのを諦め、騎士は泡を吹いて倒れる。正に無双である。しかも、実際には手を触れてもいない。オウルや、デニスでもなんとか意識があるだけで指一本動かせない程の圧を3人が出している。


「ステイン・・・お腹すいた〜〜〜」

「む?いかん、ステイン殿。マリン様に食事を摂らせねば!」

「お父様〜私もご飯食べたいです!」

「おお、無駄に足止めしたな!行くか!!」


動けぬ人々を置いて、ステイン達が去っていくのを止められる者など誰もいなかった。

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