浄化の女神とステイン
《じょ、浄化の力じゃ!!》
「浄化の・・・じゃあマリンの力か・・・」
狼と馬に埋もれて寝ているマリンを見ながら何が起こったのか女神と話していた。
貫いた部分は治っており、毛質も禍々しいものから煌びやかな毛質になった狼と馬。貫いた胸から出てきた何かを俺は握りしめていた。
「なんとかカケラだけ握りしめたが、コレは一体なんなんだ?」
《魔石の様にも見えるが、『神眼』を弾くところを見る限り、魔人の力を持った何か。だろうな。》
「魔人か・・・」
カケラを握り締めながら、魔人について考えを巡らせる。
恐らく何かが起きているのだろうが、魔人は神が討伐したはず。なら、魔人に連なる何かが良くない事を起こそうとしているのか?
考えを巡らせていると突然マリンが光りはじめた!
「マリン!!」
《おお!!大丈夫じゃ!!ステイン、あれは神気じゃ!!》
「神気?」
光が何かを形作っていく。
《おおお!!!じょ、浄化の女神!!?》
《お久しぶりです。最高神のお姉様。そして、初めまして、ステイン。》
「浄化の女神!」
見たこともないような綺麗な青い髪をなびかせ、白いドレスを着た女性が現れた。
《まさか、たった数日で写し身を作り出せるようになるとは!!》
《私にも意外な事に、かなりの速さで回復しております。ステインのおかげですね?》
「いや、俺は何もしていない。マリンと遊んでいただけだ。」
《それで良いのです。私は浄化の神、平穏で、幸せな生活。汚れのない世界が何よりも力になるのです。》
《うむ、加えて名付けをした事によって、お主らは繋がっておるからの〜。ステインの力を吸い取っておるのだろう。》
「俺の力を?」
《はい、ステイン。貴方も少なからず魔人の気に当てられた人間です。その魔人の悪しき気を浄化し貴方に返しているのです。まあ、小さな私は無意識に行なっているみたいですが。》
くすっっと笑いながら浄化の女神が伝えてくる。そんな事をしていたのか?全く気づかなかった。
《ステイン、お姉様。私はまだ力を十全に使えるわけではありません。今回の件は、私の調停者に後で確認をして頂きたいと思います。》
《うむ、本来の姿に戻ったお主の調停者ならば協力してくれよう。》
《はい、この子、ケルピーは本来大人しく優しい子です。協力は惜しまないでしょう。》
「まあ、流石にコレは放置出来ない案件だしな。」
《すまぬなステイン。このような事態になるとは思っておらなんだ・・・》
「普通なら断るところだがな。浄化の女神が俺の魔人の気を浄化してくれていたんだろ?その分の借りを返すだけだ。」
《ステイン・・・小さな私を守ってくれてありがとうございます。マリンという名前、気に入っていますよ?是非、私もマリンとお呼びくださいね♪》
「分かった。けど、そうだな、子供のマリンと大人のエルマリンってのはどうだ?」
《ほう!我のエルアリアからエルを取ったか!!》
「ダメか?姉様とか呼ばれてたし姉妹っぽくて良いかと思ったが?」
《素晴らしいです!ありがとう!ステイン♪》
エルマリンの光が弱まってきた。恐らく写し身の限界だろう。
《限界ですね。ステイン、小さな私は今回の浄化で成長しました。体は小さいですが、言葉や思考は普通に行えるようになるでしょう。ただ、十全に浄化を行うにはまだまだ力が足りません。ですので・・・》
「ああ、マリンは守る。何だかんだマリンが来てから俺も楽しいんだ!だから、また会おう、エルマリン!」
《我も神界で待っておる!!》
《はい、またお会いしましょう・・・》
光が消えていきマリンが俺の腕の中に収まる。ちょっとだけ重くなった気がする!身長もちょっと成長してないか?
「す〜、す〜・・・」
「まあ本当に疲れた!女神様、俺も休むよ。」
《うむ、我も声を届けすぎた。しばらく休むとしよう。何かあれば知らせるが良い。》
「ああ、ありがとう。」
狼と馬、ケルピーだっけ?に毛布をかけてやり、俺とマリンは家の中に入り深い眠りにつくのだった。
一応、一部終了です!




