マインの実家と聖域への帰還と襲撃
ギルドを出てから、マリンと王都を回り、今回の依頼で得た金貨で気ままに過ごす。
マリンもなんでも興味を示すので、どこに行っても退屈はしなかったし、昨日の本屋で買った王都案内の本は昨日の夜に暗記したからマリンに聞かれて分からない事はない!!
「だ〜〜、しゅ、ステイン!ありぇ!!!」
「ああ、マリン。あれは噴水と言ってな、ここの噴水の像は聖女のイメージで作られたものらしいぞ〜」
「うう〜〜?」
と、言った具合にマリンに伝えていく。理解できた時はマリンが素直に頷き、良く理解できない時はうめき声を出している。人間でいうなら2歳くらいの幼児だから仕方ない。
そんな風に王都を回り、住宅街のとある一件の家に向かう。
マインの実家で、昔2年位お世話になっていた家だ。目的の家が見えると、ちょうど人が出てきた。
「叔父さん!!久しぶり!」
「ん?おお!!ステイン!!久しぶりだな!!」
叔父さんだった。家の中に向かって「ステインが来たぞ〜〜」と言うと、しばらくして叔母さんが出てきた。
「ステイン!!アンタ、全然顔出さないから心配したじゃない!!」
「ごめんごめん!色々忙しくてさ〜!あ、この子は今預かってる子供でマリン。マリン、マインのお母さんとお父さん。叔父さん、叔母さんだな!分かるか?」
「あい!みゃ、マリンでしゅ!」
「あらあら、可愛いらしいお子さんね!舌足らずなのが可愛いわ〜」
「おお、本当に可愛いな!女の子か?マインの小さい頃もこんな感じだったな〜」
などと話して家に入れてもらう。
マインは今やギルドで働く為、1人暮らししていて、この家には叔父さんと叔母さんしかいない。
同じ王都に居るからかマインは度々実家に帰って来ているらしい。
叔父さんは、馬車の業者をしていて、王都内の馬車などを任されている。お客さんや、観光客を乗せて回っている。利用者もなかなか多く、給料もまあまあもらってるらしい。
叔母さんは、普通に専業主婦だ!昔は冒険者をしていたらしいが、その辺りは聞いた事ないから分からない。
近況や、マリンの話を神というのを誤魔化しながら話し、皆んなで盛り上がると、玄関の方から「ただいま!」と聞こえた。バタバタ足音がして、リビングに飛び込んでくるマイン。
「ステイン!!あんた何してるの!?」
「何?って、マイン姉が叔父さん叔母さんに顔見せしとけって言ったんだろうが。」
「違うわよ!!ギルド!!大穴空いてたわよ!!!」
「ああ〜、あれは文句言われても知らんぞ?ゴリラに言ってくれ。」
「アンタね〜〜!!」
また、グチグチ説教か?今日は気が立っているから勘弁してほしいが・・・
「マイン、待ちなさい!」
「マイン、やめなさい。」
いきなり、叔父さんと、叔母さんがマインを止めた。
マインは昔から俺の姉であろうとしている。叔父さん叔母さんもそこは分かっているからか、普段はこんな風にマインがグチグチ言い出しても止めはしないのだが、今日はどうした事か、止めてくれた。
「マイン、アンタいつまでステインのお姉ちゃんのつもり?幼馴染でいるのは構わないけど、あなたは、姉じゃないわ。わかっているの?」
「マイン、お前も大人だ。ギルドで何かあったのかもしれないが、それは仕事の話だろう。だったら、ステインは冒険者で、お前はギルド職員として話しなさい。公私混同してはいけない。分かるね?」
「・・・・分かったわよ。」
渋々納得したようだ。だが、一応俺からも言っておこう。
「良く分からんが、何があったかはギルドマスターに聞けよ。俺は今日はもうギルドでの話なんかしたくないし、それでギルドをクビになっても別に構わない。俺がギルドに固執していないのは知っているだろう?むしろしがらみが1つ減るからクビになった方が嬉しいけどな。」
「・・・分かりました。明日、マスターと話します。」
不貞腐れたように返事をされたが、一応収まったらしい。さて、気不味いし帰るか!!
「叔父さん、叔母さん、今日は顔見せに来ただけだから俺は失礼するよ?王都はやっぱり俺には合わない。」
「そうかい?分かったよ。また顔見せに来ておくれ。」
「気をつけるんだぞ。ステイン、王都は嫌いかも知れんが、また来なさい。子守で困ったら家内に相談しにくるといい。」
「分かった。じゃあな。」
「・・・・またね。」
マインが何か言いたそうにしていたが、足早に立ち去る。どうもああいう空気は苦手だ!さっさと帰ってマリンのベッドとか配置しよう!
王都を後にして聖域まで帰る。マリンはまた寝てた。本当は叔母さんに子守の話を聞きたかったけどな〜。
また王都に行くのは面倒だし、魔導具でどうにか出来ないかな?ちょっと考えてみようかな?などと考えながら、世界樹の側に立ててある家の中に入って行く。
そして、その日はマリンのベッドやら服やら絵本などを整理し、ご飯を食べて寝た。その夜だった。
バチン!!バチッ!!バチバチッ!!!!
ガバッ!!と起きる。なんの音だ!?
こんな音聞いた事ないぞ?
マリンは!?
「しゅぴ〜」
あ、よかった普通に寝てました!!慌てて外に出る!
ここは聖域だ。普通、魔物は近づけないし、ここに住み着いてはじめての事だ。警戒を強める。
バチチっ!!バチッ!!!
まだ音がする。家に結界魔術を使い、音のする方へ近ずく。するとだんだん明るくなってきた。
「あれは・・・」
雷のような稲光を瞬かせている馬の様な魔物?いや、この気配は・・・
バチチチッ!!!バチン!!
「グル・・・グルワア!!!」
「おっと!!」
いきなり雷を打ってきやがった!!危ねえな!!!
「お前!!ヤマタさんと同じ、タイプだろ?調停者がいきなり攻撃するなんて!?」
「グルル〜ガウウェイ!!!」
苦しそうに鳴きながら辺りに雷を出す!!おいおい、嘘だろ!?
調停者が暴走しているのか!?
神の代理人とも言われる聖獣、調停者が暴走するなんて!!
驚きとともに、頭に語りかけてくる声が聞こえてくる。
《ステイン!!聞こえるか!?》
「どわ!!危ねえな〜!!で、聞こえてるよ!女神様!!!」
「グワッ!!!」
最高神様の慌てた声が聞こえた!雷を交わしながら返事すると、
《其奴は浄化の神の眷属にして、浄化の調停者じゃ!!魔人の影響で狂っておる!!!》
「魔人の影響!?調停者も狂うのか!?」
《本来ならあり得ん事じゃが、何か妙なのじゃ!!浄化の神が弱っている隙をついて何かが入り込んでおるようじゃ!!!》
「うお!!雷、多すぎるだろ!?」
《世界樹が倒れるとまずい!!ステイン!!》
「分かってるよ!!!」
さっきから無差別に雷を放って来ているんだ!家も世界樹もとっくに特別製の5重結界で閉じている!!
結界を張るのに気を取られていたが、結界を貼り終えればこっちのもんだ!!!!!
「『気孔術 』・『身体強化』、・・・『重ね奥義 獅子咆哮』!!!!」
気孔と魔術で強化したオーラを重ね打ち出す奥義。獅子が吼えるような音がする!!!同時に超衝撃波が駆け巡り、雷を消しとばす!!
「グワ!!??」
「夜中に近所迷惑だろうが!!!ぶっ飛んで黙れ!!!」
《す、ステイン!!殺すなよ!!!??》
「分かってる!!『気孔術 鋼』・『ファースト・ブースト』、『複合奥義 玄武』!!!」
ドカンッ!!!!
さっきよりどでかい音をさせ、馬を殴り飛ばした。
気孔術「鋼」、気孔の中にある硬気孔と呼ばれるモノをさらに進化させ、体の一部を超硬質化させる。さらに魔術『ファースト・ブースト』、これは魔術のブースト、速度上昇の魔法を、俺は段階を分けて設定していて、ファーストは一番下の強さになる。コレを複合させ、超硬くて素早いパンチを出すと、質量×速さ の法則でとんでもない威力が産まれる。ざっと、馬は1キロ位吹っ飛んだかな?
《想像よりも、お主、強すぎるじゃろ・・・》
「そうか?神に言われても嬉しくないし。それに殺すと不味いから手加減したぞ?」
《全能とまではいかぬし、お主に創造は出来ぬだろうが、こと、戦闘力という括りならお主ほど神に近づいたものもおらぬじゃろう。》
そうなのかな?最近、全力なんて出していないし、良く分からないんだよな。取り敢えず、馬を見に行くか。マリンは寝てるけど連れて行くか。また、何かあったらいかんしな。《聖域外まで飛んでおるから我の声は聞こえなくなるじゃろう。気をつけよ!》と神との通信範囲から外れる。
見つけた!!意識はないようだな?息はしてるみたいだし、治療する前にちょっと診てみるか。
はっきり言おう、俺は油断はしていなかった。だが、俺は突然出て来た影に体を貫かれていた。
やったバトルパートまで来ましたけど、表現が難しいですね!
お付き合いありがとうございます。




