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第二十八話 愛好会、始動

 放課後に活動する仲間が増えたことで、できる運動の幅は大きく広がった。


「一応、愛好会の道具はあるんだな」

「三年ぶりらしいけどな。バットやベースがあるだけ有り難いと思うか」


 光一と斎藤の二人が向かったのは職員室。表向き野球愛好会として活動するために許可を貰いに行ったのだ。許可自体はあっさりと出た。教師からしたら、下位クラスが誰も使わない旧グラウンドで青春を軽く味わうくらいいいだろうとしか思っていないのだろう。

 とはいえ、正式に認可されたおかげで、かつての愛好会が使っていた道具も使ってよいという許しももらえた。


「でもいいのか? 野球やりたいってのは俺の願いだけどそれに付き合う必要はないんだぞ」

「俺はアルマに慣れるための運動ができればいいからな。ついでだ、ついで」


 斉藤からすれば、腐りそうになっていた自分に野球をやる機会を作ってくれただけでも十分なのに、目の前の光一は当然のように愛好会設立まで手伝ってくれた上に入会までしてくれたのだ。

 ついでと言われ、ここまでつき合わせたことを悪いなと感じていたのだが、


「……それに、野球は嫌いじゃないんでね。さ、いこうぜ」


 それを気取られたのか、本心から言っていたのかは分からなかったその言葉で、


「おう、そうだな」


 斉藤も変に気を使うの止め、旧グラウンドに向かうのであった。










 愛好会が発足してから半月ほど時間が経った。相変わらずメンバーは二人だけ。斉藤は何人かに呼びかけもしてみたが、成果はなし。


「アンタらまだあの愛好会続けてるの?」

「山崎か、野球同好会のことなら続けてるぞ。まだ二人しかいないがな」


 放課後、斉藤が荷物をまとめていると、山崎から話しかけられた。入学当日のあの日以来、ほとんど話したことがなかった


「よく続けられるわね、続けたところで意味があるわけでもないのに」

「まあそう言うなって、なんだかんだ楽しいぞ」

「ふーん……」


 山崎は、斉藤の机の上に座り、何やら考え込むような仕草をすると、


「ねえ、どんな活動してるのか見学させてよ」

「はあ? まあいいけど、見学して楽しいもんじゃないぞ」

「いいからいいから、今日暇なのよね。暇潰しにくらいなりそうだし」

「わーったよ。今から行くからついてこい」


 半ば強引に愛好会の活動に首を突っ込んできた。斉藤は断ろうかとも思ったが、見学を通じて彼女が他の生徒に愛好会を広めてくれるかもしれない。そう考えると、渋々ながらも受け入れざるを得なかった。それに、


「そういえば、アイツはどうしたのよ。姿が見えないけど」

「光一のことか? アイツなら、今日は怪我してるから休むってよ。明日には来るらしいがな」


 見学とはいえ、人がいた方がやる気になるのだ。




短くてすみません。切り方の都合上こうなってしまいました。

その分次は早めに投稿します。

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