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歪んだ歯車  作者: 村上蘭
10/12

これで終わり?の先




 

 夢の中で、浩一は大きな歯車に挟まれ苦しんでいた。


やがて、歯車が大きな力でいきなり歪みはじめて浩一


の身体を押しつぶすように回転し始めたのである。肉


体は、捻じ曲げられ内臓は飛び散りその四肢がバラバ


ラになったところで眼が覚めた。




「嫌な、夢を見たな・・・」



 浩一が、キャバクラを出てアパートの自分の部屋の


床に就いたのは夜明け前に近かった。時計を、見ると


時刻はもう午前11時を過ぎていて飲み過ぎのせいであ


んな夢を見たのかなと思いつつもトイレを済ませ台所


に行きコップ一杯の水を乾ききった喉に一気に流し込


んだ。まだ、アルコールが身体中に残っている様で二


日酔いの頭でパソコンの前まで来て起動のスイッチを


押した。




「どれどれ、今日はどのくらい増えて居るかな」




 そんな、呑気なことを言っていた浩一だったがパ


ソコンの画面を見て言葉を失ってしまい呆けた人の


様にあんぐりと口を開けたままになってしまってい


た。




「何だよ、何なんだよこれは」




 浩一が、唖然となり呟いたのも無理なかった。昨


日まで、留まる所を知らない勢いで上昇していたビ


ットコインが何という事か一晩で大暴落を起こして


いたのである。




「嘘だろ、こんな事ある筈が・・・」




 浩一は、そう言いながら急いでほかのコインの相


場も見てみたがビットコインに引きずられでもした


のかほとんど同じく大暴落を起こしていた。浩一が、


この一週間で増やし続けた資産はものの見事にその


価値を無くし雲散霧消していた。浩一の、顔から血


の気が一瞬にして引き今は何も考えられなくなった。


その顔は、変に歪み顔面蒼白となってしまい浩一は


パソコンの画面を食事も忘れてずっと見続けていた。




「相場は、一度落ちても必ず復活して又上昇する筈


だ」




 浩一は、そう考えて寝ずにパソコンの画面を見て


いたわけだが無情にも大暴落を起こした仮想通貨の


相場は中々元には戻らずそれどころかますます下降


線をたどっていた。実は、この時の浩一の考えはあ


ながち間違いではなく時を置いてビットコインはこ


の時の暴落して損をした分を簡単に取り戻す位に跳


ね上がって行く訳だがそれはまだ当分先の話である。


しかし、この時の浩一はとことん運から見放されて


いたものらしくそれをひたすら待ち続ける時間は無


かった。闇金から、借りた金の返済期日が明日に迫


っていたのである。




「どうする、時間がないぞ何か考えろ、考えるんだ」




 結局、良いアイデアは中々浮かばず時間だけが刻


々と過ぎて行った。そして、借金返済の当日の朝を


迎える事になった。浩一が、必死になって出した結


論は借金取りから逃れる一番シンプルな方法それは


居留守を使う事だった。夜になるのを、待って逃走


を図る簡単に言えば踏み倒しである。兎に角、時間


を稼ぐことを浩一は考えていた。きっと、逃げ回っ


てる間に俺の持っている仮想通貨が必ず復活して闇


金の借金くらい簡単に返せる様になる筈だ。いや、


きっとそうなる。資産が、減ったと言っても買った


仮想通貨のコインの数は変わらない相場さえ元に戻


ればいやそれ以上に上がれば一瞬にして俺の資産は


取り戻せるはずだ。浩一が、そう思った時コンコン


とドアーをノックする音が聞こえた。




「おはようございます。阿久津金融ですが、いらっ


しゃいますか」




 ドアが、何回も叩かれたが当然居留守を使ってい


る浩一は返事をできる筈もなく部屋の隅っこで阿久


津金融の社員があきらめて帰るのをひたすら耐えて


待っていた。




「おかしいな、こんな朝っぱらからどっかに出かけ


たとも思えんが」




 少し、関西訛りが入ったドスの利いた声が聞こえ


て言た。




「おい、お前はここで見張って居ろ俺は社長にこの


ことを報告して来るからもしかしてあの野郎バック


レやがったかもしれん?」




「はい、解りました」




 ドアの、外のこんな会話を聞きながら浩一はとに


かく物音を立てない様に身をすくめていた。生きた


心地の、しない時が過ぎて行き二時間ほどしたらや


っとあきらめたのか奴らの気配がしなくなっていた。


浩一は、そっとカーテンの隙間から外をのぞいてみ


ると案の定裏手の露地に一人立っていた。多分、階


段の下あたりにも見張りがいると思われた。




「さて、どうする結局夜が来るのを待つしかないか」




逃げる、準備は既に出来ていてパソコンの類は天井


裏に隠した。これは、仮想通貨の相場が元に戻った


時の為で後は逃げているときの食糧費これだけは何


とか確保しておいたが問題は奴らの眼をかいくぐり


どう逃げおおせるかだった。浩一は、その一番大事


な所の作戦はまだ考えていなかった。時だけが、過


ぎて行きやがて夕方になり闇が辺りを包みはじめて


やっと浩一の頭にある考えがやっと浮かんだのだっ


た。






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