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5話 聖剣と魔剣と温泉

「そうそう『魔力操作』を覚えたなら、『魔力感知』も覚えられるはずだ。自分の魔力と外の魔力の違いが分かれば覚えられるだろう。聖力や神力も同じやり方で覚えられる」


 言われた通りに集中して魔力の違いを感じ取る。

 すると、自分の体を循環している魔力とは違う、空気と同じように漂っている魔力を感じ取れた。


〈『魔力感知』、『魔力探知』を獲得しました。『神核意思エーア』とリンクできますがどうしますか?〉


 そうなのか?だったら頼む。


〈了解しました。リンク完了。それに伴いマップの作成が可能となりました。マップを表示します〉


 目の前にステータス画面と同じようにマップが表示された。

 今はまだ何も表示されてないが、感知系スキルや探知系スキルで自動的に作成されていくらしい。

 試しに使ってみると周辺の地図が自動的に作られる。

 これは便利だな。

 

「かーさま、私もできたよ!」


 シアが神力を使って【火球ファイアボール】を発動できたようだ。フェリルに褒められてうれしそうにしている。

 魔力と同じように聖力、神力のスキルも覚えておく。

 それぞれのスキルによって作られたマップを見ていると魔力と聖力で1つずつ反応しているものがあった。


「なあフェリル、あっちの方向に何かあるのか?」

「たしか、聖剣と魔剣があったはずだが。それがどうかしたのか?」

「新しく覚えたスキルを使ってみたらちょっと気になってさ」

「気になるのなら行ってみるか?」


 ということで早速行ってみることにした。

 狼型のフェリルに乗ってそこへ向かう。ちなみに背中はとても気持ちよかった。


「これが聖剣だ。勇者しか抜けないとされている」


 それなら俺は抜けるかもしれないな。

 試しに抜こうとしてみると、あまり力を入れることなくあっさりと抜けてしまった。

 銘はエクスカリバーとなっていた。聖なる光を剣の形に圧縮して攻撃できるらしい。

 魔剣のほうも同じであっさりと抜けてしまった。

 魔剣のほうの銘はクラレントで、エクスカリバーと同じ能力だが、属性は闇になっている。


「さすがだな。両方ともに認められるとは」

「認められる?」

「ああ。聖剣や魔剣のような特殊な力を持った剣や、長い年月思いを込められていたり、思いを込めて作られた剣とかには意思があることが多いのだ。その意思が拒めばたとえ資格を持っていたとしても扱うことは出来ないんだ。まあ、無理矢理支配して扱ったりする者もいるがな」

「へぇ」


 そう考えながら剣を握ると、小さいが確かに「この人に使われたい」という思いが伝わってくる気がした。

 感覚が確実ではなかったせいか、スキルは得られなかった。


「試しに振ってみるといい」


 そういわれたので右手と左手でそれぞれ持って試しに振ってみる。

 

〈スキル『剣術』、『二刀流』を獲得しました〉


 スキルを使った状態で振ってみるとさっきよりも振りやすくなっていた。


「いいところにギガントブルが来たな。戦ってみたらどうだ?」


 周りに大きなイノシシが現れる。

 鑑定してみるとレベルは30だがステータスは自分の1000分の1くらいしかない。

 一匹が突進してきたので、試しにエクスカリバーの能力を使って剣の延長線上に光の刃を作り出して首を切り落とす。

 あっさりと切り落とせたが、また一匹が突っ込んできたので次はクラレントの能力を使って首を切り落とす。

 流石に怖気づいたのか他のイノシシは逃げて行った。

 やはり聖剣と魔剣だけあって切れ味はものすごくいいみたいだ。

 能力も剣が届く範囲が広がるから巨大な相手に対してはかなり便利だ。


「さすがだな。戦い方は素人だが筋はいいな」

「今まで戦ったことなんてないからな」


 そんなことをしていた間に時間が経っていたようで、もう夕方になっていた。


「そろそろ日が暮れるな。家に帰るとするか」

「お風呂入るー!」

「お風呂があるのか?」

「ああ、立派な温泉がな」


◇◆◇◆◇


「ふう」


 ゆっくりと湯に体を沈ませる。丁度いい温度で、気持ちよく湯につかる。


「とーさま、後で髪洗ってー」

「ああ、いいよ」


 シアと一緒に入ってはいるが、妹のせいで慣れてしまっているのであまり気にならない。

 だが、裸のままではさすがにあれなのでたまたまあったタオルを巻いてもらっている。


「待たせたな、シエラが入らないとうるさくてな。皆で入ったほうが楽しいし仲良くなれるというのにな」

「男と女で別れて入りましょって言ってるの。そこまで仲良くもないし、気まずいし」

「私たちは一緒に入ってアカツキは一人寂しく入れというのか?それに仲良くなるために一緒に入るんだろう?」

「はあ、これは何言っても駄目ね…。あまりこっち見ないでね」


 シエラがフェリルに説得?されて仕方なさげに温泉に入る。

 フェリルは入り口から何かを持ってきていた。


「さて、温泉に入るといえばこれだな」


 そういってフェリルが出したのは酒だった。


「なぜ酒を?」

「なぜって飲みに決まっているだろう。アカツキもその力があるから大丈夫だろう?それにこの世界では15歳から成人だ。大体の奴らは飲んでいるからな」


 確かにこの特殊能力アビリティなら大丈夫だろうが…。


「まあ一度飲んでみろ」

「っ!?」


 強引に口に酒を入れられて思わず飲んでしまう。


〈『酒精耐性』、『毒耐性』を獲得しました〉


 手に入ってしまった…。

 フェリル相手に説得はさっきの会話で無駄だとわかってしまったのでおとなしく飲むことにする。

 アルコールなんかは耐性で何とかなるだろう。


「そういえば酒なんてどこで手に入れたんだ?」

「ん?普通に街まで買いに行ってるが?」

「街にいってるのか?」

「耳や尻尾は隠してるがな。まだうまく隠せないシアはここで留守番をしてもらってる」

「この近くの街っていったらどこなんだ?」

「お前がいた王都エレノアだ」


 俺がいたってことは、ガーウェン王国の王都ってことだよな。それなら妹を迎えに行くのに行きたいと思っていたからちょうどいい。


「街に行きたいなら案内するぞ?」

「いいのか?」

「森の外までになるがな」

「それだけでも十分ありがたいよ」


 その後話し合って行くのは一週間後になった。

 その間は役に立つ道具の用意などしていた。

 それによって様々なスキルを手に入れることができた。

 

◇◆◇◆◇


 街に行くまであと一日となった。

 準備もある程度終わり、今は少し休憩して散歩をしている。

 

 ──コレハキケンダ。

 

 みんながいる方向からとてつもなくやばい気配を感じる。

 その正体を確認するためにも気配を感じる方向へと向かう。


 そこにいたのはさっき感じた気配を漂わせているニャルだった。




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