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2話 落ちこぼれとして捨てられました

「至急、勇者召喚に使用した古文書などをもう一度調べなおせ!」

「はっ!直ちに!」


 どうやらこちらの状況はあちら側も予想していなかったようで王様であろう人が部下に指示を出している。

 周りの生徒たちはまだ混乱しているようで静かだ。


「勇者様方、でよろしいかな。この状況を説明したいのでどうぞこちらに」


 王様が先導していく。

 周りにいる使用人たちに促されて続いていく。

 案内されたのは謁見の間であろうとても広い部屋だった。

 急いで準備したようで、まだ椅子を置いている最中だ。


「とりあえずそちらにお座りください」


 クラスごとに座り、校長などの代表者が前に座っている。

 そういえば大人数が召喚されたわけだが、地球での扱いはどうなっているのだろうか?少し気になるがいつか神様に聞けばいいだろう。


「それでは今から説明を始めようと思う。まず初めに私はサンゼルという。この国、ガーウェン王国で国王をしている。隣にいるのが第一王子のカイウェンだ。他にも私の妻である王妃と第二王女がいるのだが今は病にかかっておってな、部屋で寝ておるのだ。第一王女であるミーナリアは今は用事でここにはおらん」


 その後国王から説明されたのはなぜ召喚されたかとこの世界についてだ。

 なぜ召喚したかは、まずこの世界はヘニオンというらしい。そのヘニオンで魔物の凶暴化などによりいろんな国々で被害が多発していて、その対抗策として勇者を呼んだという。

 この世界についてだが、魔物という存在が世界中におりそれを冒険者などが討伐して生計を立てている。

 RPGにあるようなステータスがこの世界に存在していて、レベルが上がると能力値が上がり強くなれる。

 ステータスを見たいと念じれば見ることができる、などといった簡単な説明をされた。

 説明が終わるともう夜になっていたらしく国王の命でメイドたちがそれぞれ部屋へと案内される。

 100人くらいが普通に入れる部屋へと案内されたが、外から見てもそんな空間があるようには見えない。

 空間魔法とかあって空間を引き延ばしているのだろうか?

 早速ベッドに横になりステータスを開いてみる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

NAME:雨霧あまぎり あかつき

年齢:16歳

性別:男

種族:人族(異世界)

レベル:1

クラス:無し

状態:普通


能力値

体力:500/500

魔力:100/100

STR:50

INT:50

VIT:50

AGI:50

MND:50


固有ユニークスキル

$%&?=Lv%=


スキル

異世界言語Lv- 完全鑑定Lv- 無限収納インベントリLv- 


加護

創世神の加護 


称号

異世界の勇者 神と対話した者 神の加護を受けし者 異世界から召喚されし者 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 何故かは知らないが固有スキルが文字化けしていて調べることができない。ほかのスキルなんかは調べることができるのだが。

 『異世界言語』スキルは異世界の言葉や文字なんかを理解できるスキルだ。

 『完全鑑定』スキルはあらゆる物を鑑定することができるスキルだ。こうやってスキルの情報を見ることができるのはこのスキルのおかげらしい。

 『無限収納(インベントリ)』スキルは物の収納ができるスキルだ。入れれる物の量は無限で、入れてる間は時間が経過しないらしい。

 『完全鑑定』スキルで」周りの生徒を見てみると、『収納箱(アイテムボックス)』と『鑑定』というスキルを持っていて、固有スキルはそれぞれが別だった。

 俺が持っている『無限収納(インベントリ)』と『完全鑑定』は神の加護によって生徒たちが持っている2つのスキルが変化したものかもしれない。

 『完全鑑定』を使っていると、どうやら自分にも使えるようだ。『鑑定』と同じ設定で見れるようなので、試しにその設定にして自分に使う。

 すると、表示された内容は固有スキルや創世神の加護、神に関する称号以外が同じ内容だった。『完全鑑定』や『無限収納インベントリ』なんかも『収納箱アイテムボックス』と『鑑定』になっていた。

 スキルにそんなことができるものがない以上、これも神の加護の効果なのだろう。固有スキルがおかしなことになっている以外は、大変ありがたい。

 このままでは固有スキルがない落ちこぼれなどの扱いを受けるだろう。そうなって自由に行動がとれなくなる前にある程度情報を集めておいたほうがいいだろう。

 

 どうやら予想外のことがあったり、考えすぎで疲れていたらしく眠気がひどい。

 考え事はこの辺にしておいて寝ることにする。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 召喚された日から数日がたった。

 その間にこの世界の基本的なことや魔法なんかについて教えてもらい、訓練なども行っていた。

 俺の固有スキルについてもばれて、人を見下したい連中に目をつけられているが、基本的に妹の美羽と一緒に行動していたためか、あまり手出しはされていない。

 今は自分のベッドの上で魔法書なんかの本を書庫から借りて読んでいる。

 今日は自由にしていい日なので昨日から徹夜して読んでいて、眠いのを我慢していたせいかいつの間にか『睡眠耐性』を獲得していた。

 周りには自分以外誰もいない。皆、友達などに会いにいったのだろう。


「失礼します、紅茶をお持ちしました」


 メイドが紅茶を持ってきた。

 本を読んでいるのに、頼んでもいない飲み物を運んでくるのはおかしいと思い―――疑いすぎかもしれないが―――『完全鑑定』を使ってみる。

 すると、紅茶に睡眠薬が入っているのが確認できた。

 いつかは来るかもしれないと思っていたが、思ったよりも早かった。

 試しに『鑑定』設定で『完全鑑定』を使ってみると、睡眠薬は確認できなかった。

 飲まなかったら面倒なことになりそうなので飲むことにする。

 先に妹にこの状況について伝えるために手紙を書いて、届けてもらうようにメイドに頼んでおく。

 準備ができたので一気に紅茶を飲む。

 徹夜も相まってすぐに眠気に襲われ、体を動かせなくなる。

 しかしあまり意識まで持っていかれない。『睡眠耐性』のおかげかもしれない。

 少しすると、男の声が聞こえ始める。


「ようやくか。おい!さっさと運べ!」


 体を布か何かでくるまれた後持ち上げられ、どこかへ運ばれていく。

 さっきの声は確か、この国の第一王子だったはずだ。

 確かに訓練中などに訪れてきた際には、こちらに蔑むような目線を送ってきていた。

 しかも今は、国王が出かけておりしばらく帰ってこないらしい。

 そこを狙ってきたようだ。

 しばらく運ばれていると何かの上に乗せられ、揺れとともに動き始めた。

 多分馬車か何かで運ばれているのだろう。


 外の景色がわからないが、しばらくすると待ちあげられて地面に降ろされる。


「よしっと。ほら、さっさと帰ろうぜ」

「ああ。―――ってまずい!グランドベアーだ!」

「まじかよ!急げ急げ!」


 どうやら魔物が出てきたらしい。

 地面が揺れる大きな音と、馬の足音だけが聞こえてくる。

 少しすると音が聞こえなくなる。

 

「ふう、とりあえず逃げて行ったみたいね」


 女性の声が唐突に聞こえてきた。

 睡眠薬が切れ始めてきたようで、周りの様子を見ることができた。

 そこには3メートルはある巨大なクマと、横に浮かぶ、俺と同じくらい年齢の見た目をしている少女がいた。

 光り輝くような白金のような髪を持ち、年上のような雰囲気を出しながらもドジをしそうな感じで、巨大なクマがいるにもかかわらず少し見とれてしまっていた。


「私は光の大精霊シエラよ。それであなたはどうしてこんなことになっているの?」

「俺は雨霧暁です。えっと――」


 今までの状況を要約しながら説明する。

 

「なるほど、言われていた通りね。それとあまりかしこまらなくていいわ。普段通りにしゃべってくれたほうが話しやすいわ」

「わかり――わかった。それでここはどこなんだ?」

「ここ?ここは『迷いの森』よ」


 ここがハーリア様の言っていた場所のようだ。

 ちょうどいいので会いに行ってみよう。


「この森に神様に会える場所とかあるのか?」

「ええ、あるわ。今からあなたをそこに連れていくわ。あなたも行きたかったのならちょうどよかったわね」


 シエラが移動しようとすると同時に隣にいたクマが消えた。


「今のは?」

「幻覚魔法よ。見た目だけを映すの。下級では見た目だけだけど、上級以上になると感覚すらも騙せるらしいわ」


 そんな魔法もあるのか。いずれはいろんな魔法を覚えて新しい魔法でも作ってみたいものだ。


 しばらくシエラについていき、少し広い空間と洞窟が見えてきた。

 どうやらここがそうらしい。

 

「ふむ、この男がハーリア様のおっしゃっていた人物か。たしかに神の気配が少しばかり感じられる」


 いつの間にか目の前に銀色の毛をもつ巨大なオオカミがいた。


「うわっ!?」

「驚かせてしまったか。それは申し訳ない」

「まったくもう。普通の人があなたを見たら驚くに決まっているでしょうに、なにやってるのよ」

「どんな人物か気になってな。さて、少年よ。ハーリア様に会うのならついてくるといい」


 言われた通りについていく。

 それにしてもあの毛並み、とても気持ちよさそうだ。ぜひあの上で横になってみたいものだ。


「着いたぞ、ここだ」


 そこには神殿のような部屋と光り輝く扉があった。


「この扉を通ればハーリア様に会える。さあ、早く行ってこい」


 早速通ってみると最初にハーリア様と出会った空間と同じ見た目をしている場所に出た。

 そこには同じように椅子に座っているハーリア様がいた。


「早速来ちゃいましたね。申し訳ありません、大変なことになっていたようで」

「いえ、逆に追い出される形で城から出られたので自由に行動できるようになってよかったです」

「そういってもらえるとありがたいです。それではその状態を治したいと思いますのでこちらに来てください」


 近づくと手を握られた。

 すると体が光った。体の中で何かが変化しているような感じがする。

 しばらくそのままでいると変化しているような感じから力があふれてくるような感じに変わる。


「あ、あれ?」


 何か起きたようだ。

 体から白い光が出ている。

 それと同時に強烈な痛みが頭に発生した。

 我慢しきれずに叫びながら頭を抱えてうずくまる。


「ああああああああああぁぁぁ!!」


〈緊急時につき固有スキル『$%&?=Lv%=』の能力の一部使用を確認。スキル『並列思考』を獲得。出力不足を確認。余剰神力を使用し、並列意思を構築。スキル『並列意思』を獲得。所有者とのリンクを開始……完了〉


 不意に聞こえてきた不思議な声が聞こえ終わると痛みが消えた。

 どういうことかわからないがどうやら助かったようだ。


「ふう、何とかなりました。アカツキさんの固有スキルがあんな状態でも一部使用することができてよかったです。これで作業しやすくなりましたので次はその固有スキルをどうにかしますね」


〈固有スキル『$%&?=Lv%=』への修正を確認。余剰神力による補強を開始……完了。特殊能力アビリティ『万能身体』に進化。『万能身体』によりスキル『神力操作』『苦痛耐性』を獲得〉


「よし、終わりました。ってあれ?さらに能力の強化もされたみたいです」


 頭に響く声もそんなことを言っていたので試しにステータスを見てみる。

 

─────────────────────────────────────

NAME:雨霧あまぎり あかつき

年齢:16歳

性別:男

種族:人族(異世界)

レベル:1

クラス:無し

状態:普通


能力値

体力:500/500

魔力:100/100

聖力:100/100

神力:100/100

STR:50

INT:50

VIT:50

AGI:50

MND:50


特殊能力アビリティ

万能身体Lv-


固有ユニークスキル


スキル

異世界言語Lv- 完全鑑定Lv- 無限収納インベントリLv- 苦痛耐性Lv10 並列思考Lv- 並列意思Lv-


加護

創世神の加護 


称号

異世界の勇者 神と対話した者 神の加護を受けし者 異世界から召喚されし者 神の力を持ちし者 


────────────────────────────────────────────────


 たしかに固有スキルが消えて特殊能力が増えている。

 それにしても神力と聖力がふえているのはなぜだ?


「それは私が神力を使って干渉したからではないかと。干渉したことにより、身体が新しく獲得したスキルによって適応したのかと。あと神力は魔力と聖力を等しく混ぜ合わせることで出来るので、そのせいですね」


 それなら『苦痛耐性』は声が聞こえる前の激痛によるものだろう。

 あまりの痛さでレベルが10になっている。

 ちなみにスキルのレベルは最高で10レベルのようだ。


「これで問題を解決できましたね。もし何か問題が起きて解決できないようなときはこれを使ってください」


 ハーリア様から木でできた短杖を渡される。


「これを使えば私に会うことができます。使い方は杖に聖力か神力を流すだけです。神力の操作などに関しては外にいる方たちに教えてもらってください」


 後ろの扉が開く。

 ハーリア様にお別れを言い、白い空間から外に出る。


「どうやら無事に終わったようだな。……む?神力を得ているようだな」

「ああ、それで神力の操作について教えてもらいたいんだけど」

「よし、わかった。まあお主ならばすぐにできそうだがな。やり方は簡単だ。わたしがお主に神力を流し、それを感じ取るだけじゃ。その過程で操作の仕方についてもわかるじゃろう」


 神獣の銀狼から血液の流れのような力が送られてくる。

 これが神力なのだろう。


〈『万能身体』の効果により『神力感知』、『神力操作』のスキルを獲得〉


 早速使ってみるとさっきよりもはっきりと神力を感知できる。

 『神力操作』を使って神力を手に集めてみる。

 かなりのエネルギーを感じたので少しだけ手に残す。

 残した神力を使って魔法を使ってみることにする。

 たしか王国で聞いたのは、魔法はイメージを持って発動するもので詠唱はその補助をするものだということだ。

 試しに訓練で少し見た【火球ファイアーボール】を参考にして、射出・・する火の玉をイメージして魔法を発動してみる。

 発動すると、手のひらに10センチくらいの火球が生まれてイメージした通りに真っすぐ飛んでいく。

 射線上にある木にぶつかった瞬間、1メートルサイズの爆発に変わり、木の幹を炭に変えた。

 思ったことはただ一つ。どうしてこうなった。


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