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時は少し遡り。奇妙なコンビが騒いでいる頃。
いつものように農作業をしている村人達の中に一人だけ異質な存在がいた。
いや、異質というのでは誤解を招くかもしれない。獣人のなかに一人の人間の少女がいただけである。
少女は周りの獣人と同じように汗水を垂らしながら作業に取り組み、周りの大人はそれを微笑ましそうに横目に見ながら自らも農作業をしていた。
そんななか、作業している獣人の一人が声を上げる。
「そろそろ休憩にしようか」
それを皮切りに村人達は次々と手に持っていた道具をその場に置きおもいおもいの休みたい場所で休息を取り始めた。
少女もまた例に漏れず道具をその場に置くと、ふぅと一息ついたのち木陰を目指して歩き出した。
その少女の名はアナ。後に創造者と破壊者の闘いに調停をもたらす裁定者となる存在である。
安定の短さ