俺、12歳になる
「明日は12歳の誕生日か…」
セカンド・ブライアンはベッドに寝転んだままつぶやいた。
そう、明日から自分は商人の息子ではなく商人がとして働くことになるのだ。
今までは両親の手伝いでしかなかった仕事が、責任を伴うモノになる。そして同時に自分の店を持つこともできるようになったという事だ。
正直もう少し遅くてもよかった遊んでいたかったと思わなくもないが、働いた分お金が手に入るというのはでかい。
「それに早く会いたいしな」
俺は二人の顔を思い浮かべる。
第13王子サード、スラム街の少女ファースト
会ったことがないのに知ってるその顔、それは紛れもない自分自身。
俺は一つの人格、一つの記憶に三つの体を持っている。生まれた頃から変わることのないこの感覚、自分では不思議だと思ったことは無いが、普通の人にとってはありえないこと
小さかった頃にどの体でも似たような質問をしたもんだ。
どうして体は三つに分かれているのって、教育係だったり親だったり友人だったり、この質問をするとみんな変人を見る目で見てくるし、何を言っているの?と病院に連れていかれたこともある。
そうなれば嫌でも気づく、これは聞くべき事じゃない、聞いても相手も答えられない。みんな知らないことだと
だが俺はこうも考えた。これはチャンスではないか、利用できるのではないかとな。
俺は子供にしては大人びてる方だと思う
人の3倍の人生経験をしてるんだから当たり前といえば当たり前だが、それに俺よりいい教育を受けてる俺もいるおかげで貴族に対する話し方なんかも教え込まれてるし、俺が習ったことがないはずのエルフ語もマスターしている。
「ふぁ…どうせ何やってても明日には責任を持つべき立場になるんだ、もう寝よう…」
俺は未来に不安と期待を抱きながら眠りについた。