序章
後ろを振り向いたそこには、黄色い目の怪物がいた__。
僕は、幽霊体は存在すると信じている。それは何故かって?僕が__だからさ。
小さい頃から僕は、霊感が高かった。周りの大人たちには信じて貰えなかったけれど。霊は、僕の周りにいつもいた。
それなのに僕は霊が怖かった。どうしても好きになることが出来なかった。おかしいでしょう?
それでも嫌いだった。それは、いつも僕の周りに『あいつ』がいたから。黒く変にてかった凸凹の皮膚に、見る者を吸い込んでしまうような黄色い目の『あいつ』が。
僕は、『あいつ』が周りに被害を及ぼさないかと冷や冷やしていた。だって『あいつ』の好物は人だったから。いつも心臓が止まる思いで過ごしていたんだ。しまいに僕も喰われるんじゃないかってね。
今日は、その『あいつ』の話をしようと思ってここに来たんだ。僕以外の人と『あいつ』との体験談をね。
あぁ、怯えなくても良いよ。『あいつ』もそんなに馬鹿じゃない。無造作に喰うわけじゃないからね。
でもね、一つ覚えておいて。
ここで見た話は絶対に忘れてしまうこと。『あいつ』は人に正体を知られるのを嫌うからね。だから、覚えてると喰われちゃうかも知れないね。『あいつ』が嫌がっちゃうからさ。
確認するね。ここで聞いた話は……絶対に忘れてね。これは絶対だよ。勿論、僕のこともだよ。
じゃあ、話を始めようか。
その時、部屋の電気は蠟燭だけになった。