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第8話 ギルドマスターからの依頼

当作品を読んでいただき、ありがとうございます!


おかげさまで、各ランキングに入ることができました。

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「昨日の討伐報酬はどれくらいになってるかな? 途中で面倒くさくなって数えるの止めちゃったからな」


 ダイチが隣にいるミレーニア(メリー)に話しかける。

 二人は宿屋を出て冒険者ギルドに向かっている。


「いくらでもいいかな、私は昨日楽しい一日だったし」


 ミレーニア(メリー)は笑顔で答える。


「……おいおい、メリーの借金返済の為だぞ。真剣に考えてくれよ」


 少し呆れた様子でダイチがミレーニア(メリー)に告げる。


「だってダイチと二人でおでかけ楽しいんだもん、これならむしろ、借金減らなくても……」


 ついにミレーニア(メリー)は当初の目的を投げ捨てたようだ。


「……ったく、返済終わっても一緒に出かければいいだろ」


 やれやれと言った様子のダイチ。


「え!? ホント!! 今度はどこに一緒に行こうかな~! まずは海でしょ! それから東の魔法皇国『トリストパピコ』でしょ! いろいろ行きたいね~」


 朝からルンルンのミレーニア(メリー)だった。



■■■



 ダイチ達が冒険者ギルドの扉を開けると、中は冒険者達で賑わっていた。

 掲示板の前には依頼を選りすぐっている冒険者達が列をなしている。酒場も朝から活況なようだ。

 昨日は一つだった受付カウンターの窓口も、今は二つになっていて、それぞれに結構な人がならんでいる。


 「昨日、人が少なかったのは遅い時間だったからか」


 「そうみたいね」


 ダイチ達は話しながらカウンターに向かって進む。


 進む内に周囲の冒険者達の視線がダイチ達に集まってくる。


――――ガヤガヤガヤ


「おい見ろよ、あれが昨日グレアを伸した奴だぞ」

「あのヒョロっちい男がか?」

「馬鹿、女の方だ。あのグレアが蹴り一撃だったぞ」

「うへー、でもあれだけいい女なら蹴られてみたいかも」

「お前は見てないからそんなこと言えるんだ、あの蹴りは殺人熊以上だったぞ」

「赤い髪の方素敵ね、話に聞いた通りの強さなら私達のパーティーに入って欲しいわね」


 酒場からも掲示板の方からもダイチ達を見ながら、あれこれと話す声が聞こえる。

 

「一日経たずに有名人だぞ、メリー」


「苦手だよー、こういうの……」


 ミレーニア(メリー)がダイチの袖を引っ張りながら肩に寄り添う。

 その様子を見た男冒険者達のダイチを見る視線がキツくなった……。


「まあ、昨日の件を聞いてる冒険者は絡んでこなそうなのが救いか……」


 呟きながら、周囲の視線をスルーするダイチ。

 ダイチ達はカウンターに近付いたところで声をかけれれた。


「ダイチさん、メリーさん、おはようございます。お待ちしてました」


 ロングヘアーの受付嬢セレナだ。


「おはようございます、セレナさん。俺達はどうすれば?」


 ダイチがセレナに問いかける。


「ギルドマスターの所に案内しますね。二階になりますので、どうぞこちらへ」


 ダイチ達を案内するセレナ。

 ダイチ達はセレナについて二階に上がっていく。二階はギルドマスターの部屋等、特別な部屋ばかりとのことだ。


「ギルドマスター、ダイチさん達をお連れしました」


 セレナがドアをノックして、部屋の中に呼びかける。


「いいぞ、入ってくれ」


 ドアの向こうから、ドスの聞いた低めの声が聞こえてくる。

 セレナがドアを開け、部屋の中に入るダイチ達。


 ゆったりした広めの室内には落ち着いたインテリア。部屋の真ん中にテーブルがあり、それを挟むように向かい合うソファー。


 ソファーの脇に一人の男が立っている。

 白髪混じりの短髪に物腰の柔らかそうな表情だが、肉体は明らかに鍛えられてる事が分かる。現役の冒険者と言っても納得してしまうだろう。


「私はギルドマスターのギルバートだ。ダイチとメリーだな、ようこそ。とりあえず座ってくれ」


 ダイチ達にソファーを勧めるギルバート。

 ギルバートとダイチ達はテーブルを挟んでソファーに腰掛け、セレナはギルバートの背後に控えるように立っている。


「早速だが、まずは昨日の魔物の討伐報酬を渡しておく」


 ギルバートが脇からテーブルの上にゴトっと皮の袋を置きながら告げる。


「こちらで確認させてもらったが、殺人熊が十四体、狂走猪が十六体、灰色狼が八体で、討伐報酬の合計は金貨九枚と銀貨四枚だ。数え間違いは無いと思うが大丈夫か?」


 ギルバートがダイチに討伐数を確認する。


「大丈夫です」


 そもそも討伐数を正確には覚えてないダイチはすぐに了承した。


「うむ、中を確認してくれ」


 ギルバートが確認を促す。


「…………間違いなく」

 

 中を確認したダイチ。


「しかし、そこのセレナに聞いたが、討伐数もかかった時間も登録したばかりの冒険者の成果では無いぞ。いや……こんなことができる冒険者はうちのギルドに他にいるかどうか……」


 驚きを通り過ぎた呆れたような声でギルバートが告げる。


「メリーが凄いだけですよ」


 ダイチがギルバートに答える。隣で聞いていたミレーニア(メリー)が嬉しそうにダイチを見つめている。


「ああ、グレアの件も聞いたよ。すまなかった、お前たちは何も悪くない」


 ギルバートの耳にも入っていたようだ。


「気にしてませんよ」


 ダイチがミレーニア(メリー)の方をチラリと見てから答える。


「助かる。それで話は変わるのだが、お前たちに一つ頼みたい依頼がある。厳しい内容だから、話を聞いてから判断してほしい」


 ギルバートが真剣な顔でダイチに告げる。

 

「どんな依頼ですか」


 とりあえず内容を聞いてからと、ダイチ。

 ギルバートが説明を始める。


「この街から北の街道を徒歩で半日程まっすぐ行くと小さな村がある」


「はい」


 ダイチが頷く。


「その村が大蛇の襲撃を受け、今はその大蛇に居座られていると報告を受けている。そこでこの大蛇の討伐を依頼したい」


「村の現状と大蛇の詳細を教えてください」


 ダイチが話の詳細を尋ねる。


「村が襲撃を受けたのが昨日の昼間。突然の襲撃だった為、村人に何人か被害が出たようだ。無事だったものは街道をこの街に向かって避難してきた」


「はい」


「村人の生活基盤は村にあるから、村人達は村を取り戻して欲しいと領主に訴えた。しかし、領主は大蛇を討伐できる人員を動かすのが難しく、領主から直々にギルドに依頼が回されたのだ」


「領主軍が手こずる相手なのですか?」


 そこまでの強さなのかとダイチはギルバートに問いかける。


「報告から判断するに、大蛇はおそらく『バジリスク』だ。Bランクの魔物だがAランクに近いBランクと言われている」


「なるほど……」


 領主軍でも大きな被害が出るだろうと納得するダイチ。


「恥ずかしながら、今のこのギルドでバジリスクに対応できるパーティーやソロはいない……。俺が向かっても一人では無理だろう……」


 悔しそうに語るギルバート。


「王都にも救援依頼を出してるが、奴がいるのはこの街から徒歩で半日の距離。他の村や街道での被害を考えると早々に討伐したい相手なのだ」


 そう語るギルバートの言葉からは、ギルドマスターとしての責任感が感じられる。


「……なるほど。メリー、いけそうか?」


 ダイチが隣のミレーニア(メリー)に問いかける。


「余裕だよ、ダイチにカッコイイとこ見せちゃうんだから!」


 両手を胸の前で握りしめて笑顔で答えるミレーニア(メリー)


「というわけで依頼は受けるつもりです。依頼の報酬と、分かってる範囲でのバジリスクの特性を教えてください」


 ギルバートに依頼を受けることを伝えるダイチ。


 ダイチとミレーニア(メリー)はバジリスクの討伐に向かうことになった。

率直な評価・感想をいただければ幸いです。

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