施設の1室にて
こんにちは
後ろは行き止まりで大人8人…でも前には30人の男がいる…拳銃持ちの、しかも人質2人助けなきゃいけない…どんな無理ゲーだよ…!!!!
くそっ思いつけ私!!何か良い方法…あああこんな時って特に思いつかない…
「どうした?降参か?」
後ろで男がにやりと笑って睡眠薬を取り出した。
睡眠?
「それだ!!!!!!」
私は2人分のガスマスクと閃光弾をすぐに作り出してガスマスクの1つをミキに投げた。ミキはキャッチしてすぐ顔に装着する。この間2秒。
「お前っやめ…」
「エダブルは自分でなんとかして!!!!!!!!!!!!」
私は男が反応する前に閃光弾のピンを乱暴に外して床に思いっきり叩きつけた。
その瞬間辺りが目を開けられないくらい眩く光って同時にガスが放出された。
あらかじめ改造しておいた閃光兼睡眠ガスの改造閃光弾グレネード。
効果は大。元々狭い部屋にいたからたちまちガスは部屋を包み込んで周りからバタバタと人が倒れる音が聞こえた。
「……二人共大丈夫?」
やっと周りが見えてきた。ガスマスクの目の部分がサングラスの様な感じになってたから目が潰れる事は回避できたのだ。
「ミキは大丈夫…」
ガスマスクを外して立ちくらみをおこしながらミキが立ち上がる。
周りの大人達は全員ぐっすりだったので心底安心…
「エダブルは!?」
超能力者だから大丈夫だと思って任せてたけどあの人そういえば吐いてたじゃん!!!!
「…だいじょぶ…生きてる…」
やっと見えた視界の先には結界を張ってグッドサインしてる顔色が悪いエダブルがいた。
「てか自分でなんとかしては勘弁して…あと怖い…」
「え?怖い?大人達は皆倒れたよ?」
「いや…ガスマスク付けてグレネード片手の人見たら普通怖がるでしょ…」
「あっそっか。」
そそくさとガスマスクを外してガスマスクとグレネードを収納した。
グレネードは一応余分に出しておいたやつ。
「とりあえず後は逃げるだけだね…よしミキ行こう…」
「ま…待て…」
擦れている男の声が聞こえた。向いてみると一番頑丈そうな男がこちらを睨んでいた。
「何?」
私は奪った拳銃を額に当てて更に睨みつけた。
「…お前ら…その子を…返すんだろ…?」
ミキが私の後ろに隠れた
「もちろん。警察も呼ぶよ。」
男は1度考えて、
「…最後にお前達が何者なのかを…聞かせてくれないか?」
エダブルと顔を見合わせた。正直自分が何者なのか曖昧になってしまっている。
2人で少し考えてエダブルが先に名乗った
「ヘンテコなヒーローだと思ってよ」
「多分何者でもない」
「……はい、はい。お願いします。
………良かったねミキ警察保護しに来るって。」
警察に通報してミキは無事保護され安全な孤児院に引き渡されるそうだ。
「……お姉ちゃんお兄ちゃん行っちゃうの?」
ミキが上目遣いでこちらを見てきた
「うん帰るよ。ここでお別れ。」
「じゃねミキちゃん!!お幸せに!!」
私達がもといた倉庫にあった転送装置の円盤に乗ろうとすると
「ごめんなさい!!!!!!!!」
ミキが大声で叫んだ。
「ミキお姉ちゃんとお兄ちゃんに酷い事しちゃって…ごめんね…」
どうやら反省しているようだ。偉い。
「大丈夫だよ。良かったよあの博物館。」
「将来博物館開いたらどう?連日満員かもね!!!!」
エダブルと顔を見合わせて笑った。
「反省してるならこの先大丈夫だよ。ほら胸張って!!!!」
ミキの背中を軽く叩いて円盤に片足を乗っけた。
「じゃあバイバイ!!」
「またこっちの世界来たらダメだよー!!!!」
泣き笑いしてたミキの顔を見ながら円盤に飛び乗った。
気づいたらベッドの上だった。こっちの世界に帰って来た途端に寝てしまったのだろうか…
横を見るとよだれを垂らして大口開けて寝てるエダブルが寝言で「勘弁してください…駅弁はもう充分です…」と言っていた。駅弁にどんな思い出が…
とりあえず3人程が一気に寝っ転がれそうな大きなベッドから脱出する。
何気にエダブルの足が私の弁慶の泣き所を確実にげしげし蹴っていた。
痛ぇ…
私はTシャツとゆるい短パンに裸足というラフな部屋着に身を包んでいた。
近くにパーカーがあったのでそれも羽織る。
部屋を見渡すとそこはビジネスホテルのようなしっかりした部屋だった。
ここあの研究所だよね?こんな部屋あったんだ…
ただでさえくせっ毛の髪が寝癖で大爆発してたので三つ編みに使っていたゴムを外して髪をまとめてポニーテールにしようとした…が、髪が多すぎて結べない。ゴムがはち切れそう…
丁度良いのがないか探すと机の上に大きなリボンがあった。飾りとして置いてあったがこの際さっさと結びたかったしリボンを取って髪を結んだ。
三つ編みに使っていたゴムは手首に付けた。…この格好完全に朝風呂後の日曜日ファッション…
あれっそういえばここって風呂無いのかな?風呂無いのはだいぶきついぞ…
部屋を探索してもそれらしきものは無い。諦めてスリッパを履いて部屋の外に出た。
部屋の先は馴染みのある資料だらけの廊下。相変わらず書いてある事が難しい…
するとエルとベルが廊下を走って遊んでいた。
「あー!!お姉ちゃーん!!!!」「起きたんだ」
エルとベルが私を指さしてこちらに向って走ってきた。
「あぁ…おはよう…私達寝ちゃってたの?」
「うん!!疲れてたのかな?帰ってきたときには2人とも寝てた!!!!」「運ぶの大変だった」
「あっそうだったの!?ごめんごめん…」
悪い事したな…
「…ねぇ」
「何?」「何でしょう」
「ミキがいた施設の事何か知ってる?」
ずっと気がかりだった。人身売買の子供をこき使っていた場所だからひっそりしたもんだと思っていたら突然あんな男達が30人も出てくるし廊下もしっかりしていたからなんとなく違和感だった。
「あーあそこねー!!あそこは娯楽施設だったのー!!」「子供を働かせてるのにも気づかれなかったの」
「娯楽施設!?裏社会っぽい?」
「うん凄い裏!!ひっそりしてるからワルな人しか来なかったんだよ!!」「2人が居た場所は極秘の場所だったから警備員がいたの」
「あ…なるほど…」
わかりやすい説明に関心していた。あっそっかこの子達見た目は子供だけど中身は妖精だった…どこの名探偵だよ…
「そういえばあの部屋どう?」「起きた時の部屋」
「さっきの部屋?凄い綺麗な部屋だったよ!誰の部屋?」
「お姉ちゃんとお兄ちゃんの部屋ー!!」「サクリアンドエダブルズルーム」
へー……
「私とエダブルの部屋あったの!?」
突然ありがたい!!!!
「うんしばらくこの世界に居座るからー!!」「居候」
なるほど…しかし準備したのはあの博士なのだろうか…
「あー起きたのか。おはよう。」
考え込んでいるとコーヒー片手に博士がのそのそと歩いて来た。
「あの部屋ってあんたが準備したの?」
「まぁそうだよ」
悪趣味だと思ってたこの人が実はこんな良い人だったなんて…!!!!
「君達にはもっと働いてもらわなきゃだからね。住み込みのための部屋も準備しないと。」
前言撤回。やっぱり嫌な奴だ
読んで下さりありがとうございます