博物館にて
こんにちは
目が覚めると滑り台をしている最中だった。滑り台の中は真っ暗で何も見えない。しばらく滑っていると光が見えてきた。あの光が出口!!こんな長くて暗い滑り台さっさと抜けたい…
出口から出た瞬間私の体は空中にぽーんと投げ出された。
滑り台が付けられていた場所は空中。
「うわあああああああああああ!!!!!!!!!!」
混乱しながらスカートがひるがえらないようにしっかり抑える。あっ下に短パン履いてた。
下を見るとトランポリンがあった。あれに落ちれば…
空中でひたすらクロールをしてトランポリンに向って落下。私の体はトランポリンに乗ってもう一度高く跳ねた。
しばらくトランポリンで跳ねた後立ってみると足がふらついた。
辺りを見回してみると簡単に描けるような星やら虹からが壁に描かれていて電車のモノレールのおもちゃが置かれていてぬいぐるみが置かれていて…どうやら子供部屋のようだ。
ここには何も無さそうなのでとりあえず子供部屋から出てみる。
兎や熊の絵が描かれているドアを開けるとそこは結構な年季が入った博物館だった。
陶器、彫刻、剥製、絵画、銅像などの様々な作品が展示されていた。なんとなく変に思ったのはその作られたり描かれたりされているものは全てが生き物である事。とくに意味は無いんだろうけど…
しばらく展示物を見ていると窓の役割をしている大きなステンドガラスを見つけた。
外はどうなっているのかと猛烈に気になりステンドガラスに近寄って目を凝らした。
外は青空だった。しかし地上が見えない。浮いてる?しかし浮いてる感覚は無い。謎…
外の景色は諦めてまた探索開始。
それでも1階はだいぶ回ったし…2階に行くか…
2階へ行く階段を上がるとそこはプラネタリウムだった。大きな部屋の中心に大きな天体望遠鏡が設置されている。
天体望遠鏡を覗いてみたくて駆け寄って覗くと中は真っ暗闇だった。
「つまらん…」
天体望遠鏡から離れてもう一度部屋をぐるりと見渡す。プラネタリウムの壁には絵画が飾られていた。中世の貴婦人やら貴族やらが描かれている。
「どう?ミキの博物館!!」
女の子の声がして振り向くと天体望遠鏡の上に女の子が座っていた。なんでこの世界の人々は大体神出鬼没なんだ「今から現れるよー」位言ってくれれば言いのに
「ムスッとしてる。お気に召さなかった?」
「いやそういうわけじゃ…あれっもしかして君って…」
「そう!!ミキはこの博物館の館長なのよ!!!!」
それ聞きたいわけじゃなかったんだけど…でも会っていきなり「君孤児?」なんて絶対聞けないからな…
「うん…まぁ素敵な博物館だね。なんで飾ってあるものが大体生き物なの?」
女の子…ミキ?はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりと笑顔を浮かべて
「だって生き物って可愛いじゃない!!ちゃんと動くのよ!?お花みたいに動かないんじゃなくて動くの!!もうミキメロメロなのー♡」
動くから可愛いって理屈がわかんないけどちょっと頭おかしい研究者と同じ感覚なのかな?いやそうじゃないか。
「へ…へぇ…でも花も綺麗じゃない?花言葉なんてのもあるし…赤いバラしか花言葉知らないけど…それに花も呼吸してるし生き物っちゃ生き物?なのかな?」
「ながーいながーい話がながいよー校長先生みたーい」
ミキは耳に自分の人差し指を突っ込んで呆れた顔をしていた。
「つまんない理屈言うなんてやっぱり大人はつまんなーい」
大人という単語が少し気になったがこの子も初期ヒロトみたいな感じか…
「理屈っていうか…事実っていうか?」
「お姉ちゃんつまんないよ?私達はそうぞうに浸って楽しく過ごしてるのにおーかたーい」
想像に浸って楽しく過ごす…そんな楽しい事は素晴らしいな…
そこまで考えて首を横にふる。私はこんな感じの子供の邪な考えを正さなきゃいけないんだから。
「想像に浸るよりもさ…体を動かして遊ばない?鬼ごっことかサッカーとか…」
「うーん体を動かして遊ぶねぇ…」
ミキは少し考える素振りをして
「わかった!!じゃあお姉ちゃんが体を動かして!!!!」
「え?」
ミキの指パッチンで壁に飾ってあった絵画から貴婦人やら貴族やらがぬるっと出てきた。
「うわあああああ気持ち悪!!!!!!!!」
貴婦人はナイフを持ち執事は銃を持ち王様は手榴弾を持ち女王様は爆弾を持ち…全部で10体。これを全て倒さなきゃ…
10体全てが一気に向ってくる。私は薙刀を取り出して薙刀を構えながら一回転した。薙いだ元絵画達は腹から赤い絵の具を出して倒れた。「うぅぅ…」といううめき声を出している。怖い…
ミキはいつの間にか消えていた。後で捕まえないと…絵画達がうめいている間に1階へ逃げようと試みた。しかしやはり現実は甘くないようで。絵の具で服を真っ赤にしながら絵画達は起き上がって武器を私に向けてくる。
私は1度鉄のバリアを出してシンキングタイムに突入する事にした。
鉄のバリアで私の周りを360度囲んで守りを固める。拳銃の弾がバリアに当たる音が聞こえる。時間は無い。
悪い頭でたどり着いた答えはバリアを爆発させる事。もちろん自分はバリアの天上に穴をあけて脱出するつもり。絵画達はこのバリアを破ろうとしてバリアにひっついている。そこを殺る。…つもり
でも一秒勝負だ。脱出したあと絵画がすぐ反応出来ない位のスピードでバリアを爆発させなければならない。一応ボタン式。とにかく実行だ!!
私はバリアの壁を爆弾にして天上に穴をあけた。よし出なきゃ!!と思った時に絵画の手が穴を塞いでしまった。
速く出ないと破られる!!!!私は絵画の手を槍で貫いた。手がさっさと退いた瞬間を見計らって大ジャンプ!!バリアから出れた!!!!速くボタンを押さなきゃ…
無い。ボタンが無い。
バリアの中に置いてきた。
わたしのおばかーーーーーーーーーーー
こりゃダメだと思った瞬間、
爆発。
なんと絵画はバリアを壊す事に夢中になっていて私が脱出した事に気づいていなかった。しかもバリアが破られた時ボタンも作動して爆発が起きたと。
「ラッキー…」
もうラッキーとしか言えない超ラッキー
私は黒焦げになった絵画を踏み潰しながら階段を目指そうとした瞬間。
私の右腕が射抜かれた。絵画が2つほど生き残っていたのである。
嘘だろ…
しかもよりによって利き腕がやられてしまった。とにかくにげなきゃ…
2階はもうボロボロで崩れそう。
痛みに耐えながら階段を必死に降りていた途中で左足が打たれてそこからは転がり落ちた。1階に降りたけど…
私は目を疑った。疑うしかなかった。
1階にあった展示物全てが…
武装して私を狙っている。
あ…もうダメだ…
後ろは絵画がいるし前も横も展示物が狙っているし右腕はダメだし左足もダメだしそれ以前に私の生への活力がシャットダウンしそうだうわーあーあーかーみーさーまー(この間0.1秒)
展示物が私に向って一斉発砲した。
さらば。
「最後は塩ラーメンが食べたかった…
……ん?」
生きてる。主人公補正?それとも神様?
しゃがみこんでいる状態から顔を上げると私と同身長位の青年が立っていた。
青年が溜息をつくと同時に周りの全ての展示物が倒れた。
私があっけにとられていると青年がこちらにしゃがみこんで喋りかけてきた。
「こんにちは軍人さん。僕エダブル。今から君の手伝いとして来たんだけど…
どうやら大ピンチって感じだね」
読んで下さりありがとうございます