試験会場にて
こんにちは
「は?」
威圧も兼ねてもう一度聞き返してみる。
「わからなかったのかい?もう一度言うよ。君は生贄として派遣されたんだ。」
要するにこの男が言いたい事は
1.私は生贄という名の仕事人で子供を現実世界復帰させる人間としてこの世界に呼ばれた
2.私はヒロトみたいに子供達が創り出した架空の世界観を攻略して現実世界に子供達を戻さなければいけない
3.ちなみにその子供はあと8人
4.しかも子供が皮肉たっぷりに創った世界であるため超ハードモード
要するに私はまだ帰れない上に辛い世界をクリアしなければいけない…
…
「ふっっざけんな!!!!!!!!」
祭壇の床を思いっきり叩いて叫んだ。
「わけのわからない世界にいきなり連れて来られてその上キッツイ思いしなきゃダメって理不尽にも程があるでしょ設定とかもろもろ一気に説明して下さってありがとうございましたバーカ!!!!!!」
「まぁそうかっとならずに。」
かっとしない奴がいるか?イライラしながら男を話を聞く。ん?なんで攻撃しないのかって?それはこの祭壇からなんでか出れないからだよ…!!!!結界か何かかな?
「とりあえず君の役目を分かってもらえて良かったよ。仕方ないんだこういうゲームだからね。」
「ゲーム?」
ゲームは好きだけど今の状態がゲームなら今の私はゲームが大嫌いだ。
「まぁ君はかなり強い能力の持ち主だから大丈夫だろう。君自分の能力の詳細は知っているかい?」
「……いえべつに」
「じゃあ教えよう。君の能力名はズバリ"武器庫"だ。」
「ブキコ?」
もうちょっと「アルティメットサンダーボルトΩ」みたいなの想像してたけどめちゃくちゃ違った
「大体分かるだろうけど君の能力の力は武器の名前を脳内で出せばその武器が出てくるんだ。」
「…はぁ。」
便利っちゃ便利か。
「さーてじゃあまずは俺が考えた試験からクリアしてもらおうか。」
「え」
祭壇の床がパカっと開いた。私の体は綺麗に落ちていく。いきなり!?
「この試験で死んだらそれまでだからねーせいぜい頑張りなぁ……,」
最後の方の言葉がハエの飛ぶ音の様に小さくて聞こえなかったが大変な事を言っている事はわかった。この試験に失敗したら死ぬ。
「……ん?」
ふかふかのマットの上で目が覚めた。
…体に異常は無い。
とりあえず周りを見渡してみると周りはめちゃくちゃ高い高層ビルだらけだった。
天井の形からしてここは多分ドームの様な建物の中だと思う。見渡す限りビル、ビル、ビルでどこに何があるかもわからず途方に暮れていると後ろでビルを破壊する音が聞こえて振り向いた時には私の体は吹っ飛んでいた。
ビルの壁に体が当たってこれでもかという位の激痛が走って生まれて初めて吐血した。
必死に目をこじ開けると忍者の様な形のロボットが目の前にいてとっさに鉄のバリアを出した。
どうやらバリアも出せるみたいだ。
ほとんど賭けみたいなものだったがビンゴで本当に良かった…
ロボットがバリアを破るのに手こずっている内にバズーカを取り出した。
バリアが破られるのを待って破られると同時にバズーカをぶっぱなした。
今度はロボットが飛ばされてその後にスナイパーライフルを取り出す
長距離のライフルって事は知ってたしまず足がやられてここから動けないし…
がむしゃらに何発か打ったら4発命中。ロボットは爆発した。
すると突然白と黒の天使の子供が現れてその姿に見とれてしまい気づいたら体の痛みが消えていた。あの天使は回復専門キャラみたいな感じか!!!
「いやー助かったー…」
近くでまたビルの破壊音。ロボット1回倒すごとに治療してやるから全滅させるまで戦えって事ですねわかります!!!!!!
拳銃2個構えると虎型のロボットが襲いかかってきた。 すぐに打って右の前足をなんとか爆破。動きが遅くなった事で左の後ろ足を爆破。更に遅くなったので左の前足を爆破…こいつ弱くね?
もはや動いてないに近かったから頭を狙おうとすると両前足、左の後ろ足の部分がまさかの再生。
「再生するタイプかよおおおおおおおおおおおお!!!!」
水を得た魚ならぬ足を得た虎になったロボットは私に飛びかかってきてなんとか衝突は避けるものの私の右の後ろ足のけんがやられた。すぐに思いついた攻略法を試すしかあるまい…
大きめのグレネードを取り出してあの引っ張る部品を引っこ抜いてロボットに向って投げた。
ロボットに当たったと同時に大爆発を起こしついでにロボットも爆発した。
足を同時に爆破しないとダメだったか…
また白と黒の天使の子供が現れた。右足は治った。あと何体倒せば良いんだよ…もう無理…でもなんでか肉体的な疲労は感じなかった。この姿になってから…というかこの世界に来てから運動神経が確実に上がっている。上がりすぎている。ビルに叩きつけられた時だって普通なら死んでるし足のけんが切れた時も普通なら足自体持ってかれていただろう。
まぁここら辺は上げといてもらわないと流石に…
その後また拳銃を構えて待機してたけどなかなか現れない。終わり?
いや、終わって貰って全然良いんだけれど…
その瞬間私の前髪が切れた。前にあったビルに切れ目が入ってビルがゆっくり切れ目に沿って落ちていった。
ビルが完全に崩落して向こう側が見えた時に相手の姿が見えた。あれは…侍?
侍型のロボットは私の前に歩いて近寄ってきた。すかさず銃で打つも避けられた。銃弾を避けるって何者…あっロボットか
「ジュウヲステロ」
「え?」
「カタナヲモテ」
「…え」
「セイセイドウドウカタナドウシデタタカウノダ」
ちょっとワンテンポ置いて、
「うわあああああああああ喋ったああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「シャベルヨウプログラミングサレテイルンダ」
あっなるほどプログラミング…
てか刀同士でって…私の能力?みたいなやつってこれ飛び道具しか出せないんじゃ…
そんな心配はいらなかった。私の手にはしっかり日本刀が握られていた。
なんか刀って○○丸みたいな名前ついてるよね…名前着けようかな………五郎…
桜丸とか…うへへ結構かっこいい…
「ソレデハハジメルゾ」
「えっあっハイ」
侍は刀を自分の横に置いて正座して丁寧にお辞儀をした。そんな綺麗にお辞儀されたらこっちも何かやらなきゃと思ってとりあえず礼だけした。
立ち上がった侍は刀を鞘から抜いて鞘を投げ捨てた。
焦って私も刀を抜いて鞘を地面に置く。
「イクゾ!!!!!!」
侍は刀を構えて向ってきた。私は刀の扱いに慣れず片手に持っていた鞘で受け止めた。しばらく睨み合ってから鞘にヒビが入ったので侍の足を払って転ばせる。鞘はもう使えないな…刀を握り直すと侍はすぐに立ち上がって切りかかってくる。今度は自分の刀で攻撃を受けるけど絶対力負けする…
侍は刀に入れる力を強くして私の刀を飛ばして私は尻もちをついた。武器が無くなった私はもう半分諦めていた。侍の刀が私に向って落ちてくる。あぁ…スローモーションに見える…もうダメだと思った時私の顔面の目の前で侍の刀が止まった。そのまま侍は刀を地面に落としてしまった。
刀を落としたまま侍は両手で顔を覆って呟いた。
「女は切れん…」
その言葉が今一番の衝撃だった。
侍ロボットは人の心を持っていた!?!?
「スマナイワタシヲキッテクレナイカ」
「え!?いや正々堂々って言ってたじゃないですか!?!?」
「命令でオマエをコロソうとしテシマッタ自分がユルセナイノだ」
「え…無理です貴方みたいな優しいロボット切れません…」
「そうカ…」
侍は落とした刀を取って私に「離れろ」と命令した
私はとりあえず命令通りに離れてみた…その瞬間侍は自分の腹に刀を突き刺した!!!!!!
「え!?えっえ!?!?」
今一番の衝撃が更新された瞬間だった。
侍型ロボットは爆発した
自分で…
1人で呆然と突っ立っているとあの白と黒の天使が現れた。
「試験クリアおめでとうお姉ちゃん!!」「今博士の所に戻してあげる…」
まずは白い天使が話して後に黒い天使が話した。
「ん?あぁさっきので最後だったんだ…ねぇ君達何者なの?」
正体を聞くと天使達はお互いの顔を見てうなづいて、
「キュートなプリティ担当、白のエルザリード・サンザルア・ファイルザントファルイーゼだよ!!!!」
「クールビューティ担当、黒のベルザリード・サンザルア・ファイルザントファルイーゼ。」
「「私達は回復魔法使い、エンジェルーズだよ!!!!」」
「……さんざ…?」
「エルで良いよ!!白い天使エルちゃん!!」「ベルで大丈夫。黒い天使ベル。」
「君達名前長すぎない…?」
なんだそのキーボード適当に叩いてつけたような名前…
「まぁそれは置いておいて、髪がちょっと切れてるねー今直してあげる!!」「でもぱっつんみたいで可愛い。」「本当だ!!直さない方が良い?」
「いや直して。」
髪は女の命だ。ずっと保たせてきた髪型を今ここで崩すわけにはいかない…
「了解!!今直すねー!!」「修理ー」
エルが指パッチンをしたら私の前髪は元に戻った。
「あーありがとう。」
「どういたしまして!!」「博士の所に戻る?」
「博士…?あーあのメガネの男か…」
「そうだよ!!偉いお方なの!!」「天才」
エルとベルからしたら天才なのかもしれないけど私からしたら天災だ…
「それじゃあ帰るよー!!」「私達の手をにぎって。」
とりあえずベルの手を握ると体が浮いた。楽しい。
この試験会場からおさらばする事になれたがあの侍のことは忘れる事は出来なさそうだ。1つ寂しく残されている投げ捨てられた鞘が一層悲しくさせる
それにしても相手が10人位いたら鞘は邪魔だろうけど私1人だったら鞘を投げ捨てる必要は無かったんじゃ?
もう自分は死ぬから鞘に刀を戻す必要が無かったから捨てた?
疑問が残ったままボロボロになった試験会場を後にした
読んでいただきありがとうございます