表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

ダイヤモンドの人形 『5』


この話からカイトと杏南の距離がグッと近付きます。

個人的にはこの位が調度心地いいんですけど……。


ザアアァァ……

シャワーの音がやけにうるさい。

うぅ…なんかやだなぁ…夜。

だってウィンドの部屋遠いし、ジャーマンさん用事とかで街に行っちゃったし…。

ヤダけどしょーがないか、そこしか部屋無いもん。

キュッ

シャワーの栓を締めてもなお、水音が聞こえる。


「あ、雨?」


外は滝のような雨が降っている。

屋根から細い糸になって落ちてくる雨の雫。


「…夕焼け見えてたのになぁ」


ゴロゴロッ


「キャッ」


雷もなり始めた。

ゴロゴロっガッシャーン!!!


「きゃあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜」


服を着ていたので猛ダッシュで浴室から飛び出した。



カイトはスタンドライトだけを点けて本を読んでいた。

ゴロゴロ……


カ「あ、雷?」


シャッ、とカーテンを開けるとガラスの表面を雨が伝っているのが見え、遠くで雷が鳴っているのが聞こえた。


カ「…そうか、砂漠ばっかり歩いて来たからよくわかんなかったけどもう7月か」


「……ぁぁぁぁああああ〜〜〜〜〜〜!!」


悲鳴が近付いてきた。


カ「な、何だ?」


バタン、とドアを開けると悲鳴を上げながらのアンナが走り込んできた。

そいつは猛スピードで部屋に入ると、ベッドに飛び込んで布団を引っ被ってしまった。


カ「……何やってんだよ(呆」


ブルブル震えているそいつの肩に手を置く。

ビクッと肩が揺れ、小さな悲鳴が漏れた。


(細ぇ肩だな…)


元々小柄だなと常々思っていた杏南の身体に触れてみた事はなかったので(つーか女性を見る機会も無かったから…)、初めて触れた女性(それとも女の子?)の感触は新鮮なものであった。


カ「大丈夫かよ、おいっ!」


「…や……怖い……」


ふぅー、何言っても無駄みたいだな。

こういう時って何をすればいいんだっけ?

誰かー!ジジィでも教えてくれ〜!!


カ「オレ眠いから寝るぞー、隣で眠られたいのかー。……もー知らねーぞ、寝るからなオレは」


縮こまって震えているアンナの隣に潜り込んだ。


…………。


…………。


…………。


……………くそっ。


細くこまかく震えている小柄な身体を、後ろから、ギュッと抱きしめた。

今度も彼女はビクッとしたが、抗おうとはしなかった。

仄かな暖かさを抱きながら、雷が止むまで、雨が上がるまで、朝が来るまで、そうしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ