ダイヤモンドの人形 『4』
「…へぇ〜、意外と豪華な家ですね」
杏南達一行はジャーマンに招かれ、ブローズ家に来ていた。
西洋風のその建物は映画に出てきそうな感じのつくりで、庭には噴水とプールがあった。
カ「いいなぁ…こんな家に永住したい」
「さあ、こちらです」
ウ・カ・ア「あ、どうも」
家の中に入るとまず目に飛び込んできたのは、何故か門松だった。
「?!…何で門松があるんですか?」
「この間私の甥がジャパンに行ってきたんです。それのお土産でして」
「……そん時きっとお正月だったんだろうな〜」
独り言感想。
「多分そうだったんでしょうね、えっとここの鍵は……あっ!」
ジャラララ………
白い大理石の上に、手垢がこびり付いた鍵が落ちる。
五感を擽られた。
なんだろ、この感じ。
「あ…すいませんすいません(汗」
「だ、大丈夫ですか!?はい鍵」
「どうもすいませんっ、鈍くさい者で……」
ウ「それは昔から変わっておらん様じゃの」
カ「そうとうな年代仕込みだなー、ジジィが言うって事は」
「………(汗」
何とも言い難い雰囲気〜。
「ではアンナさんがこちらの部屋、その隣がカイトさん、ウィンド様は…要望により浴室の隣です」
カ「それってどこ?」
「え〜と、一階の談話室の隣の部屋ですね」
「……遠っ」
カ「ここ2階だし……」
「ちなみに私の部屋は最上階の塔の上です、遠いですが…眺めが最高ですよ」
「え〜行ってみたい!どこですか?」
「こっちです」
そう言ってジャーマンが導いたのは、屋敷の西側。
螺旋階段を上った先は、ベッドと小さなクローゼットが置いてあるだけの質素な部屋だった。
「わぁ〜、すっごい綺麗な景色ー!!」
夕日が差す丘にはポツンポツンと羊が群れを成している。
それを追う羊飼いと犬。
わぁ……おとぎ話ちっく〜。
「そろそろ戻りましょう、夕食の時間です」
男性陣はぞろぞろと階下へ降りていったが、私だけは日が落ちるまで見詰め続けていた。
「わあぁぁ……しゅてき〜」
カ「うまそー」
ウ「金かかっとるな〜」
「さぁさぁどうぞ、おかわりもいっぱいあります。……え?なに?」
それぞれが思い思いの感想を述べている時に、ジャーマンの執事が彼に耳打ちをした。
「何だってぇ!?…あぁ、すぐ行く」
カ「どうしたんスか?なんか急用でも?」
「すいません、私は街の方に行って来ます。朝までには戻ってこれると思います、わからない事があれば執事に聞いてください」
「はーい」
この家の当主はそそくさと部屋を出て行った。
あれっ?
今日の夜居ないの?