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ダイヤモンドの人形 『3』

ブローズ家は元々ここら辺では特に大きな農家だった。


それがある時王様に呼ばれ、それが元で伯爵の位まで登りつめた。


ジャーマンより15代前の当主、レオナルドは強くたくましい若者だった。


彼は幼い頃から騎士の訓練をし、騎士になった。


また隣国との戦争に大きな貢献をして、一時ひととき大臣まで一気に駆け上がった。


大臣を退くとき、王様は今までの苦労をねぎらって彼にひとつのダイヤモンドを贈った。


そのダイヤこそ人形の目であり、海に消えた『ホープ』の片割れであり、全ての元凶だった。



「…さま、お爺様、もっとお話を聞かせてよ」


「ん、おお、話すとも。どこからがいいかね?」


レオナルドが死んだ時、少年だったジョンはもう老人になっていた。

毎日レオナルドから聞いた手柄話を孫に聞かせ、自分も懐かしく思う。

あの頃はブローズ家も力があった。

黄金時代と言っても過言ではないかもしれない。

しかし、ダイヤの魔の手はすぐそこに迫っていた。


「……王様からの贈り物のダイヤモンドをレオナルドはブローズ家の家宝として大切に伝えた。それがこれ、ピンクダイヤモンドの『タイムローズ』だよ」


ジョンは柔らかな濃紺のビロードに包まれたそれを孫に見せた。

カーテンの裾から零れる午後の気だるげな太陽光にダイヤはキラキラと輝いた。


「うわぁ…ねぇお爺様、コレ触っていい?」


ダイヤよりも目をキラキラさせた孫に懇願される。


「ダメダメ、これを触れるのは当主の男だけだ。女の子は当主にはなれないんだよ」


「ちぇっ、それじゃああたしいつまでたってもそれに触れないじゃーん。ねぇお願いお願いおねが〜い!!」


「しょうがない、特別だよ。この事はお父さんやお母さんには言っちゃダメだよ」


孫の可愛さに負けてしぶしぶ頼みを聞いてしまった。


「やった〜、お爺様大好き!」


首にむしゃぶりついて喜ぶ孫の顔を見ると、自分の犯す罪などあまりにもちっぽけになるのだった。

この後に起こる悲劇も知らずに……。



ハァ、ハァ、ハァ……

時は1時間前に遡る─────。


「なに、ミミィが居ない?どういう事だ!?」


ミミィとは昼間にピンクダイヤを触っていた孫の事である。


「申し訳ございません、シャワーに連れて行こうと着替えを持ちに行った間に……」


「くっ……わしも探しに行く、屋敷の人間を総動員して隈なく探すのだ」


ここんトコは先代から受け継いだリーダーシップってのが遺憾なく発揮される所。

ご多分に漏れず、ジョンもそういう体質だった。


「───ミミィ!ミミィどこだ返事しろ!!」


夜風が頬を撫でる。

庭木がその風にザワザワ不安げに揺れる。

吹き飛びそうな声を必死でだし、探索する。


ガサッ


「っ!ミミィ!?ミミィか?何所だ返事しろ!!」


ザザッ

ジョンが脇に退けた枝は妙に生暖かく、雨も降っていないのに濡れていた。

月明かりに照らされたそれを見たとき、ジョンの口から悲鳴が漏れた。


ミミィ・ブローズだったそれは頭を割られ、手首が取れかけ、心臓を一突きされていた。


その後、ジョン・ブローズも後追い自殺をした。


その騒ぎが元で、ブローズ家の家宝のダイヤモンドは呪われていると云い伝えられるようになった。


今年は受験生なので(言い訳か!)更新が一ヶ月に一度になってしまうかもしれません。

ご了承ください……。


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