夢−序章−
夢をみた
夢ではわたしに誰かが囁きかけていた
〔ハヤクココカラダシテクレ……〕
禍々しくて、どすぐろいものがあちこちに溢れていた
カ「おいっ、おいっ!起きろ!」
「ん〜、何だーカイトかよー、もーちょっと寝させてくれたっていいじゃんよ〜」
布団を頭の上まで引っ張りあげてモゴモゴ言った。
カ「お前が魘されてうるさいから起こしたんだ、悪い夢でも見てたのか?」
「あー…、大丈夫大丈夫。って、何で聞こえんの?隣の部屋なのに」
カ「オレは他の人より耳いいんだ、それより大丈夫ならいいけど何かあったら言えよ」
カイトは腑に落ちない顔をして出ていった。
「…つーか何でアンタ私の部屋に軽々しく入ってくんの!?」
カイトの後ろ姿にツッコミをしたけど、聞いてないっぽかった。
あの理不尽なウィンドとの戦いからまた一週間が過ぎた。
その間中ずっと同じ夢を見ていた。
あの夢を誰かが見させている。
そう思うようになっていた。
ま、しょうがないやと割り切ってシャワーを浴びに浴室へ歩いていった。
ウ「遅い」
「しょうがないじゃない!誰かさんと違って寝癖がついたままここに居るような真似はしませんから」
カ「何だとぉ!寝癖がつく髪が無い人だっているんだぞ」
「それとコレと全然話が違うじゃない!」
ウ「まあまあご両者、ケンカはそこまでにして今は食事をする時じゃぞ」
プリプリしながら食パンにマーガリンを塗っているとカイトがウィンドに次の行き先を聞いているのが聞こえた。
カ「そろそろ次の街へ行くだろ」
ウ「ああ、ちょっと気になる場所を幾つか回りたいと思っとるんでのぉ。アメリカの南の方まで行くかもしれん」
「えーまたぁ?」
カ「しょうがないだろ、これが仕事のようなものなんだし。で、何時出発?」
ウ「午前10時に部屋の前、いいな」
「はいはい」
「とか言って一番遅れんのってウィンドなんだよね……」
カ「だな。オレが出てきた時じーさん悠長にトイレ行ってたからな…年取るとトイレが近くなんのか?」
ウ「おおすまんすまん、流し方がよく分からんかったんでのぉ」
カ「はい!嘘!」
泊っていた旅館を後にし、新たなる旅に出たウィンド一行。
その先に待っている者たちとは…!
…と、この作品では意外と真面目に書いている作者でした(おいおい……汗)。