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サトの家

タイトル通りサト家のお話

サトは帰宅した。

リビングに明かりが灯っている。両親のどちらか、もしくはその両方がいるのだろう。

サトは恐る恐るリビングの戸を開けた。


「帰りのあいさつくらいしろ」「…………」

ソファに座って新聞を読む父は無愛想にそう言い、台所で洗い物をする母は何も言わなかった。

「ただいま」

サトは一応あいさつを口にするが、両親からは何も返ってこなかった。


「また獣の所に行っていたのか」

獣とはリコのことだ。両親はリコのことを毛嫌いしている。

「獣じゃない。リコの所にいってた」

サトはイライラしながらそう答えた。リコのことを悪く言われて父親を非難する気持ちが高まる。だが、いつものことだから今回特別に激昂することはない。


「何度も言っているだろう。あいつらは人の作った社会を破壊する。危険な存在なんだ」

父は、いや、父だけでなくサトの両親は同じことを繰り返し主張してきた。

獣人は危険だ。獣人は人とは相いれない。獣人を人と認めるな。

そのようなことをサトが生まれてから何度も何度も繰り返してきたのだ。サトが洗脳されなかったのは奇跡のようなものだろう。

その前にサトがリコと出会って獣人とわかり合ってしまった。そのため、両親はサトを獣人と仲良く接する危険分子として認識してしまい、親子関係は崩壊してしまった。


サトは親子関係を修復しようと尽力したことがある。

しかし、両親は獣人を迫害する組織に参加するほどの人至上主義者である。当然その組織では獣人を人とは認めていない。

両親の信条は固く、妥協点を見出すことはできなかった。


「あいつらを野放しにしておけばいずれ人類を脅かす存在となる。お前はそれでもいいのか?」

父は何度目ともしれない主張を口にする。

もちろんサトの心には何も響かない。

「父さんも一度リコたちと出会ってみればいい。きっと考えが変わるはずだよ」

サトの方も過去に何度も繰り返してきた答えを返す。

互いに全く歩み寄る気がないため、この押し問答に意味はない。

サト家の家庭に再び温かさが戻る気配はなかった。

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