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リコはライオンにサトはトラに

まずは導入部分から

リコとサトは昔ながらの幼馴染で日本の同じ高校に通っていた。

だが、二人は対照的な性格をしていた。


――――どうして俺とリコはこうも違った人間性を得てしまったんだろう。

サトは教壇に立って話をするリコの姿を見てそんな憂いを感じていた。


サトは自らの容姿や性格にコンプレックスを感じていたのだ。

体の線は細く、顔も小さくて女の子のように丸みを帯びている。小さい頃に何度女の子と間違えられたか数えればきりがない。

少しでも男らしくなろうと短髪にするも、ボーイッシュな女の子だと思われることがしばしあった。

決定的であったのはその声だ。声変わりを待ち望んだのも中学時代まで。なぜか声変わりが訪れることはなく、甲高い女性的な声が残ってしまった。そのせいで今でも女の子に間違えられることがある。


「というわけで、まずは文化祭の出し物を決めましょう!」

リコの凛々くも朗々とした声が教室中にこだました。

彼女は級長としてクラスを取りまとめる役割を担っている。


リコの見た目は大和撫子然として男子からの人気も高かった。

長い後ろ髪を一か所で結び、顔の両側から長い前髪も垂らしている。その髪型はまなじりの下がった優しい見た目の彼女にはとてもよく似あっていた。

彼女が女の子らしい見た目をしていることは、サトにとってはまだ幸いなことであった。


――――彼女はクラスに溶け込んで皆から慕われている。なのに僕は男子の中でさえ溶け込めていないんだ。

サトは自らの心中で自らを攻撃していた。自虐的になってしまうのは彼の悪い癖であった。


「文化祭の出し物は劇に決まりました! 次は役を決めましょう!」

リコの朗々とした声でサトは我に返った。彼が心の世界に入り込んでいる間に話し合いは進んでいたみたいだ。

誰がどの配役になろうとサトには関係がない。どうせ彼が選ばれることはないのだから。

そう高をくくって適当に話を聞いていた。


「主役のライオンは私、そしてヒロインのトラはサトに決定しました!」

ぱちぱちと教室中に拍手が巻き起こった。

サトにとっては予想外にも予想外な配役となり、一瞬何が起きたのか理解できなかった。

――――何で僕が。

この半年クラス内で静かに過ごしてきたサトを選ぶ者などまずいないはず。

なのに今確かに役の一つにサトが選ばれた。

話を聞いていなかったから何が起きたのかわからない。リコが指揮を取っているから冗談などで選ばれたわけではないのだろうが、そうなるとますます謎だ。

なぜ選ばれたのかをリコに聞きたかったが、彼女は教壇上だ。サトにはここで前に出ていく勇気はなかった。


その後も話は続き、サトの配役も確定的なものとなって話は終わった。

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