エピローグ
「もう行っちゃうのぉ?」
蘭がたずねる。
それに応えるように、七穂は自分の背丈の半分ほどもある大きなリュックサックを背負ったまま首を縦にふった。
騒動から一ヶ月がたち、街はすっかり元通りとなった。
たったの一ヶ月。それだけで、以前よりもより強固に、華やかに作り直された。
それもすべてヒーローたちの協力があったからだ。こんなにも短い期間に街が元通り以上になったのは騒動の後に駆けつけたヒーローたちだけでなく『悪のヒーロー』だった『悟空』や『魔女』たちの協力もあり、それぞれがそれぞれの能力を発揮して街の復興に協力したからだ。
そしてこの一ヶ月。
短い期間だが、その間に七穂と『日食』の関係は完全な恋人同士の形へと昇華していた。
何もない平凡な日常。
助け合う日常。
お互いがいる日常。
目に見えるほどの速度で二人は近づいていった。
そして今日。
二人は、外国へと旅立とうとしていた。
世直しの長い長い旅。戻ってくるまでが、新婚旅行。
七穂の持っている財産すべてをこの旅と世直しにつぎ込むのだ。
「蘭ちゃん、元気で」
「うん。七穂ちゃんも・・・・・・幸せに」
あの騒動以降、半ばストーカー、半ばペットと化している『悟空』の頭をなでながら、蘭は途切れ途切れに言葉を返した。
「じゃあ、いこっか」
「ああ、そうだな」
七穂は『日食』へと笑顔を向けて、手を差し伸べる。
『日食』がその手をそっと受け取って。二人はゆっくりと歩き出す。
呼んでくださった方、ありがとうございました




