神様は単純!?
九「私の名前の横に、何か書いてなかったかしら⋯」
九条は何かの恐怖におびえているようだった。
良「そんな気にすることじゃねぇだろっ」
俺は九条の肩を、ポンと叩く。
良「おっと、ゴミ捨ていってこなきゃ」
俺は時計を見て言う。
九「そ⋯そう⋯」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
さっき、九条の言った言葉がどうしても
気になった俺は、さっきの切れ端を
捨てずに持っていた。
良「あるわけ⋯ないよな」
そう言いつつも、紙を広げる。
すると、やはり何かが書いてあった。
これも消しゴムで消された跡がある⋯。
ん⋯? これは⋯
良「ドクロ⋯か?」
有里奈の考えていることは意味不明だ。
これは何を意味している?
俺はそのまま鞄にしまった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
良「これはどういう意味だ?」
俺は翌日の放課後、有里奈に聞いてみた。
有「これ? 計算用紙だけど? 」
良「はぁ? これのどこが計算してるんだ」
有「あたしにとっては計算なの!」
良「なんのだよ」
有「人間観察」
良「え?」
そーいえば、自己紹介の時にも
「人間は嫌いですが人間観察は大好きだよ♥」
などということを言っていたような⋯。
満面の笑みで言うことじゃないけどな⋯
じゃあ、学校に来てまだ1か月もしてないのに
すべてわかるってのか?
じゃあこれは⋯相関図のようなものか?
有「君がショック受けないんだったら、
全部話してあげてもいいよ?」
良「なんだよそれ」
有「多分、人間観察をする限り、九条ユウリは
ピョン介のことが好きだと思うのさっ」
良「は?!」
驚きで言葉が出ない。
あの真面目な九条が?
良「どうしてそうなるんだよ」
有「好きでもない人に、あんなにまとわりつくかな?
それに、言葉が重いの! いちいち何を言おうか
考えてるって感じで⋯ もう、じれったいっ」
こいつは人間の心理だけはわかるのだろうか?
いや、わかってないだろう⋯
なんせ俺の嫌がることすべてを喜んでやりかねない。
良「じゃあなんでドクロを書いたのさ?」
俺の言葉に有里奈は困ったような顔をする。
有「気分だよ」
良「⋯いつもそんなことしてるのか?」
有「うん」
有里奈は下を向いて答えた。だから俺は
良「やりすぎるのも良くないが、
ま、頑張れよ」
と言っておいた。
すると、有里奈もいつもの満面の笑みで
有「うんっ」
と笑った。単純な奴だ⋯w
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
俺は、この間の言葉を撤回しようと思う。
良「そんなことに頑張るな!!!!!」
有里奈にあったらそう言おうと思う。
⋯
俺は朝、登校した際に、掲示板にこんな張り紙が
張ってあったのを見つけた。
それは俺そっくりの人物画が書いてあり、
その横に吹き出しがあり、
「俺の名はピョン介だっ!! 覚えてねっ♥」
などという台詞を勝手に吐かせているではないか。
そして、その張り紙の右下に小さく
[作:宇佐美良介推進部部長 神埼]
と書いてある。あいつの仕業だってことは
こんなのを見なくてもすぐにわかるが⋯!
この絵が本当に上手いことは確かだ。
が、しかし、俺はちっともこんなことに努めろなんて
一言もいってねぇぇぇぇぇ!!!!! それに、
宇佐美良介推進部ってなんだよ! 勝手に何でも
「推進部」ってつけりゃいいってもんじゃねぇよ!!
⋯
こんな張り紙のせいで、俺は廊下を通るたびに
「あ、ピョン介だー」
「あの絵にそっくりだね」
「誰が書いたのかな?」
「神埼って書いてなかったっけ?」
「えーすごいー」
などという会話を聞かされる。
そんなことを言う愚民たちに言おう!!
あいつはちっともすごくない!!
以上だ。