神様から不幸の贈り物!?
望月は話を始めた。
望「俺と神埼は、塾が一緒だったんだよ。
受験コースだったっけな?
だけど、神埼は一週間もしないうちに
やめたんだよ。それで一躍有名さ。
そーいえば、塾でも「神」ってなのってたよ?
変人さで話題になってたなぁ⋯。」
やはり、変人は養殖ではなく天然なんだな?
あれほどに変人だったら、やっぱり有名になるよな⋯
「だけど、ピョン介くんもお神ちゃんと仲良いわよね」
九条ユウリが、覗き込むような感じで話に入ってきた。
良「そのピョン介ってなんだよ。
大体、有里奈が勝手に
ピョンってつけたんだ」
九「いいじゃない、可愛くて^^
あたしはそーいうのつけられると嬉しいわ」
勝手に喜んでろよ⋯俺は別に嬉しくともない!!
「じゃ、俺が広めるわ!!」
良「やっ、やめろ竜牙!! お前にそういうことさせると
俺の未来が閉ざされるだろ!!」
横山竜牙が逃げるように走って行った。
続いて、俺も追いかける。
クラスのみんなに「ピョン介」なんて言われたら
俺は次の日から消滅するだろう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その頃、有里奈はノートに何かメモしていた。
九「何やってるのかしら? お神ちゃん」
すると、有里奈の手は止まった。
有「計算。」
有里奈はそう呟き、また手を動かし始める。
しかし、どう見ても計算してるようには見えない。
ノートには「ピョン介」という文字が書いてあり、
そこから一直線が引かれ、そこには「望」と書いてある。
キーンコーンカーンコーン♪*.+
チャイムが鳴った。
ユウリはじーっと見ていたが、よくわからず、
自分の席へと戻って行った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
俺は竜牙を追いかけながら教室へと戻ってきた。
竜「俺を捕まえられなかったから、
言っちゃうもんねー」
良「待てよ!!」
竜牙は足が速いのにずるいだろ。
⋯ったく⋯有里奈のせいで、俺の人生の歯車が
音を立てながら壊れていくだろ⋯。
追いかけるのを諦めた俺は、席に着いた。
有里奈がノートに何か書いている。
良「お前、何やってんだ?」
俺がそう言うと、有里奈は慌ててノートを閉じた。
そして、ノートの1枚を破ると、
くしゃくしゃにしてゴミ箱へ投げ捨てた。
良「意味わかんねーのっ」
と、同時に教室にセンコーがやってきた。
先生「神埼さん。早く座ってください。」
あのセンコー、有里奈の名前だけは
覚えてんだよな⋯。まぁ、有里奈のことだから
校内の先生だったら、苗字ぐらいは知ってるだろうな。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
俺は昼休み、掃除をしている。
⋯ったく⋯学校来たばっかなのに
掃除当番と給食当番は決めるって
どーいうことだよ⋯
おまけに、
九「ピョン介くん、ゴミ捨てにいってきてくれる?」
何かと面倒くさい九条とも一緒になっちまった⋯。
良「はい、わかりましたー」
俺は適当な返事をして、ゴミ箱を持って
教室を出ようとした。
が、ゴミ箱をひっくり返してしまった。
九「あれ? ピョン介くんったら、なにやってるの?」
九条はくすくすと笑っていた。
すると、九条やそのほかの掃除当番のみんなが
ゴミ箱から出てしまったゴミを拾ってくれた。
「あとはピョン介に任すわ」
掃除当番の一人がそう言うと、みんな
また自分のやることを始めてしまった。
が、九条だけはその場に残り、手伝ってくれた。
すると、
良「なんだこれ?」
くしゃくしゃになっていたノートの切れ端を
俺は拾い見つけた。広げてみると、
そこには「九条」とうっすら残っていた。
多分、あとから消しゴムで消したのだろう。
九「あら? それ、お神ちゃんのじゃないの?」
九条も覗き込んできた。
良「え? これ、有里奈のか?」
「九条」の文字から矢印が引っ張ってあり、
その先には⋯。
良「俺!?」
「ピョン介」と書いてあった。
あぁ、いけないいけない⋯!
「ピョン介」に反応しちゃだめだ!!
俺はもう一度くしゃくしゃにして捨てようとした。
九「ちょっとまって!!」
九条が叫んだ。いったい次はなんだってんだ⋯。