「諸事情により、この部活に入部します」!?
と、思っていたものの、結局は、
「このままではうさ部は右肩下がりになる」
などという、有里奈による有里奈のための
言い訳を真に受けてしまい、
首を縦に振ってしまった。
まったく…自分のしたことが…
まず、うさ部がどーなろうと俺には関係ない。
ということを今更思いついても遅かった。
もう有里奈がポスターを掲示板に張り初めて
しまったからだ。今更何もいいようがない。
最近となっては、部長は副部長やその他諸々の
部員たちに、「入部させてください!」
という声もあるようだ。だが、俺の部員制限により、
すべて断るように彼らの脳にはマニュアルされている。
だが今のところ、うさ部のいいところがわからない。
ふと思い、俺は部員に聞いてみる。
良「なんでうさ部に入ったんだ?」
すると、真っ先に有里奈が反応した。
有「え? あたし?」
良「有里奈には聞いてないw」
すると、穂奈美が椅子の上で
キィーという音を響かせながら
穂「俺は…なんか暇して
ゲームやりたかっただけ~」
などという。
良「だったらコンピュータ部(通称:こんぶ)
にはいればよかったんじゃねーのか?
こっちはほとんどゲームするだけ
だって、望月が自慢してきた^^;」
穂「あっちじゃパソコンの台数が限られてるし、
こっちのほうが気楽だし…♪」
良「やっぱそーいう理由かよw;
じゃあ雛塚さんは?」
すると、雛塚さんがハッと驚くようにして、
こちらへ振り向く。
雛「私は…穂奈美君についてきたんです。
私、不器用で何もできなくて…
それで、穂奈美君が誘ってくれたので^^」
良「へ~、仲いいんだな」
俺は穂奈美に少しばかり嫉妬した。
良「で、お前は?」
俺は瀬戸に問いかけると、
相も変わらず低いトーンで答える。
瑠「本を読みたくて。でも
今年、文芸部が廃部になってしまいました。
だったらここで本を読めばいいかと思い…」
文芸部か…現代じゃあ、人も減ってくるよな…。
ま、こんなうさ部も、
俺がいなくなりゃ、即廃部だろうな。
すると、黛は次は自分の番だというように
目を輝かせながらこちらを見ている。
良「お前は…興味はないが聞いておこうかw」
黛「はい! 僕は宇佐美さんを一目見た瞬間
カッコい――」
良「もーその辺でいいかw」
まーつまり、本気で俺の推薦だのなんだのしようと
してるやつは、1人しかいないってことだな。
ま、そのほうが気楽でいいか。
しかし、みんなサボりをしようとしてるやつばかり。
こんなんで俺を推薦どころか、
部活維持すらできるのであろうか?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ある朝、俺が廊下を歩いていると、
向こう側から望月が走ってくるではないか。
望「おーい! 宇佐美!!」
なんだなんだ、朝から騒がしい。
こちらサイドについたころには、
望月は息を切らしていた。
良「どーした、望月。」
望「お前のうさ部の噂が、
この桜宮学園だけじゃなく、
他校にまで広まってんだ!!」
望月は、険しい顔でそういう。
良「へぇ~、で?」
望「隣の梅ノ宮学院にまで
及んでるって…」
良「梅ノ宮は…あのヤンキー校か…」
それほどヤンキーが多く集うというわけでもないが、
極端に恐喝やらなんやらをしてくる生徒がいるため、
ヤンキー校というイメージが定着してしまったのだ。
望「それに、桜宮と梅ノ宮はどちらとも優秀で
すべてにおいて対立している中で、
時折、桜宮の生徒に喧嘩を売ってくるんだ…」
良「そこに噂が流れたということは…」
望「梅ノ宮のヤンキーが喧嘩を
売ってくる可能性が大ってわけさ。
あいつらは人気者や目立つやつが
大っ嫌いだからなぁ」
良「そんな個人的な意見で喧嘩売られても
こっちは困るだけだってのに…」
望「とにかく気をつけろよ。
あいつら何しでかすか分かんないから」
良「忠告ありがとう、以後気を付ける!」
望月はそれだけ言い、去って行った。