天国から地獄へ!?
俺は明日から中学生なんだ!!!
俺は独り、自分の部屋でニヤニヤしながら
制服を着る自分の姿を映しだす鏡を見ている。
「可愛い子とかいるかな~♥」
そんなこともひそかに楽しみにしながら夜を過ごす。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
入学式当日。
俺は奇抜なチェックのシャツに
黒のネクタイ、かっこいいジャケットを羽織り、
あまりほかの学校にない制服に身を包んでいた。
というより、制服が気に入り入学してきただけなんだが。
「望月⋯同じクラスだな」
望「まじか! よかったぜっ」
「そうか??」
俺は、親友の望月と話していた。
どんな女の子が居るかな。とか
万年彼女無しの俺が言えることじゃねえが。
すると、後ろから誰かがちょんちょんと、
背中を突いている。
「ん? なん?」
「じゃま、そこどいて」
それは顔も声も可愛くて、小柄で
スタイルのいい完璧な少女が立っていた。
なんで俺の後ろに? 運命か? 俺は
「悪いな、俺、背、でかくて」
といい、一歩後ろに下がった。
しかし少女は
「違うもん!」
といい、睨みつけてくるではないか。
怒らせちゃったかな⋯
「どうしたんだよ? そんなに怒って」
「どうしたのじゃないよっ!
君のせいなのに、ほらどいてよ」
少女は俺の身体を突放し、
手に持っている何かを見ていた。
「方位磁石? なんでそんなものを⋯」
確かに少女の手には赤い印がついた針が
ぐるぐる回っている方位磁石を持っていた。
「ほら、ここにたつと、決まってぐるぐる回るの、針が。
だから、ここは、世界の中心なのっ♥
いまあたしはそんなところに立っているんだっ」
その少女は意味不明なことを言った。
「北極じゃないんだから…;
中心なわけないだろ?
せめて赤道近くに行ってから――」
「いっておくけど、北極でもぐるぐる回らないもん。
もちろん南極も」
うぜぇ!! めっちゃくっちゃうざいぞコイツ!!
なんだコイツは! これが噂の不思議ちゃんってやつか?
なわけねぇよな⋯ぜんぜん萌えねぇし⋯!!
「あのなぁ、いっておくけど
お前が思ったことすべてが事実なわけないんだ。
それぐらい中学生にもなってわかるよな?」
「わかんなーい、あたし、人間は嫌いなんだ♪」
こうして俺は確信した。
こいつは不思議ちゃんなんかじゃない、
変人の域に達していると!!
するとその変人自己中意味不明少女は口を開く。
「あんた名前何よ」
「良介⋯」
「苗字」
良「宇佐美だけど?」
「じゃあこれからうさピョンって呼ぶね!
めんどくさいからピョン介でいいかな?
あー、でも、ピョンくんでいっか♪」
へ⋯?w
勝手に話を進めてんじゃねぇぇぇ!!
つーか、お前に俺のあだ名を決める権利はないだろ!
良「お前は?」
するとその少女はにっこり笑い、
「神」
その一言だけ残し、どこかへ去って行ってしまった。
これが俺たちの出会いだった。
もう、この時点で俺の人生は狂っていたといっても
過言ではなかった。俺は後に知る。
この少女はあまりの奇人っぷりを見せるのである。