十三歳の性事情
美哉と橘香が中学を卒業し、伊吹の侍女になるべく東京にある国立侍女育成専門学校へ進学した為、伊吹は山奥にある大きな屋敷で、祖母の心乃春と侍女の美子と京香の四人暮だけの暮らしが始まった。
伊吹はこの世界においては希少な男性である為、中学へ通う必要はない。
本来、教育を受ける必要もないのだが、伊吹の亡くなった母親である咲弥の希望で、幼い頃から屋敷で勉強を続けている。
教師は主に美子と京香だ。二人はそれぞれ美哉と橘香の母親であり、とても美人。
十五歳の娘を持つ母親であるとはいえ、二人とも未だ三十代半ばである。
伊吹はこの世界へと転生する前は二十九歳だった。
そんな伊吹からすれば、三十代半ばなど十分に性の対象となる。
そして、伊吹の肉体は十三歳であり、バキバキの童貞だ。
若さを持て余した伊吹が、お色気むんむんの美人に勉強を教わる。もうこれはアダルトビデオの中の世界であると言っても過言ではない。
(おねショタだ!!)
しかし、残念な事に伊吹は死ぬまで童貞であった。死ぬまで童貞を捨てられなかったような男が、幼馴染の母親に手を出すなど出来る訳がない。
それでも、性欲は募ってしまう。勉強を教わる際は必然的に身体の距離が近くなる。
美人から香る体臭が伊吹の鼻腔をくすぐり、脳へ突き抜けて本能を刺激するのだ。
精子工場の稼働は最大へと引き上げられ、すぐにでも射精する事が可能な状態となる。
身体はいつでも種付け可能な体制を整えるが、心はそうではない。
幼馴染の母親に手を出すのはマズいと自制心が働く。また、自分が生まれた時から世話をしてくれている侍女に手を出し、拒絶された場合の事を考えると、吐き気を催すほどの恐怖を感じる。
伊吹の居場所はこの屋敷だけなのだ。拒絶された後の人生を考えると、とてもそんな危険を冒せない。
ではどうするのか。もちろん自慰をして発散し、身体を鎮める他に方法はない。
自慰をする。年頃の男子であれば当たり前の行為であり、日に二度三度と行ってもおかしくない。
しかし、伊吹はそんな当たり前の行為さえ、満足に出来ない状況に置かれている。
男性が希少な世界において、世の女性は男性を一人きりにはしてくれない。
美哉と橘香が屋敷にいた頃は、伊吹は二人に挟まれて寝ていた。
そして今は、伊吹の寝室には心乃春のベッドが運び込まれ、同じ部屋で寝ている。
心乃春がいない間に寝室でオナニーしたとしても、ゴミ箱のゴミを捨てるのは美子と京香だ。
寝室のゴミ箱に入れずとも、全てのゴミ箱は必ず美子と京香の目に入る。
トイレに籠れば美子と京香に体調が悪いのかと心配される。
一人で外出する事など許される訳もなく、近くに男性が一人で入れる漫画喫茶やネットカフェも存在しない。
そんな伊吹が唯一勝ち取った楽園。それは浴室だ。
美哉と橘香と共に入浴をしていたが、今は一人で入浴する事を見逃されている。
心乃春と美子と京香が入浴の世話をすると申し出た際、伊吹は一週間お風呂に入らないという暴挙に出る事で、一人で入浴する権利を勝ち取ったのだ。
問題は、浴室へオカズを持って入る事は出来ないという事。
必然的に、オカズは記憶や妄想が頼りとなる。
(今日のオカズは何にするか……)
勉強する時間、そして武術の稽古をする時間以外は、伊吹は基本的に自由に屋敷の敷地内を歩く事が出来る。
屋敷の防犯がしっかりしているのと、山奥の田舎なのでよそ者が近付けばすぐに分かるからだ。
美哉と橘香の裸を思い出してオナニーをする事もあるし、美子と京香の体臭を思い出してオナニーする事もある。
男性な希少な世界において、エロ本やアダルトビデオのような男性向けの性的興奮の為の娯楽などない。
伊吹以外の男性は、あまり性に積極的ではないからだ。
(最近美子さんと京香さんの裸も見てないしなぁ)
美哉と橘香が十歳になった頃から、大人達は伊吹の入浴の世話を二人に任せてた。
これは美哉と橘香の侍女としての育成を目的としていたのはもちろんだが、主に伊吹が女性に対して忌避感を持たせない為である。
伊吹が美哉と橘香の裸に慣れておけば、少なくとも二人との性交が問題なく行われるだろうと考えたのだ。
もちろん、伊吹にそんな気遣いは全く不要だったのだが。
(せめて侍女服の上から視姦するか)
今の時間なら、美子か京香が洗濯物を干している時間だろうと考え、伊吹は庭へと向かった。
思った通り、京香がシーツを広げているのが見えた。
「ちょっとお邪魔しますね」
「あら、いかがなさいました?」
「ちょっと人恋しくなっちゃって。まだみぃねぇときぃねぇがいない生活が慣れないみたいです」
隠れてこっそり京香の身体を視姦を舐め回すように見つめるのも良いのだが、もし自分の姿を見つけられた時の言い訳をするのを嫌い、伊吹は自分から声を掛ける事にした。
「そうですか。お茶になさいますか?」
「いえいえ、お仕事の邪魔はしたくありません。
ここにいるだけですから、気にしなくて大丈夫ですよ」
「すみません、すぐに終わらせますね」
京香が伊吹に背を向けて、テキパキと洗濯物を干していく。
伊吹はその後ろ姿を舐めるように見つめる。橘香と同じくストレートの黒髪。うなじが見え隠れし、色気を感じる。
(ブラジャーの紐が見えた! 珍しいな、ラッキーだ。
おおっ!? パンツの線が浮かんで見える!
せめて何色か分かれば良いのに……)
侍女服はしっかりとした生地で、太陽光に透かしたとしても中が透けて見える事はない。
しかし、腰を屈めるなどすると下着の線が見える事もある。
そして、この世界の女性は男性に性的な目で身体を見られるとは思っていない為、比較的無防備だ。
仕える主に対してお尻を向けない、だらしない姿を見せないという理由で気を付けはするが、服の上から下着の線が見える事までは考慮していない。
(あぁ……、シーツで身体が見えない)
京香はシーツの向こう側で洗濯物を干している。シーツに京香の影が映し出されるが、それに興奮するほど伊吹は上級者ではなかった。
「次の籠を取りに戻りますが……」
「気にしないで下さい。ここで山でも眺めていますから」
伊吹の返事を聞いて、京香が小走りで屋敷へと戻って行った。
(シーツの向こうで何を干してたんだろう)
伊吹は気になって、先ほどまで京香がいた場所へと向かった。
(これは……!?)
そこには、シーツで隠すように干されたブラジャーやパンツがあった。
(このベージュの揃いとグレーの揃いは美子さんと京香さんだ!!)
美子も京香も割と胸が大きい。一方、心乃春は慎ましやかなので心乃春のものではない事は一目瞭然だ。
オカズに恵まれていない伊吹と言えども、血を分けた祖母の下着で興奮したくはない。
(触ってもバレない、よな? まだ時間はあるか?)
考える時間も惜しかった。伊吹はそのグレーのパンツを手に取って、鼻に押し付けて力いっぱい息を吸い込んだ。
(ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)
目がチカチカとし、全身の血が股間に集まっているのではと錯覚するほど瞬時に勃起した。
今手で触れれば、すぐに射精してしまうだろう。それほどに固く、反り返っているのが分かる。
濡れた感触、洗濯洗剤の香り、つるつるとした手触り。決して派手で色気のある下着ではないが、性欲をそそる見た目をしていない分、気後れせずに堪能する事が出来る。
(カップ数は、カップ数はどこに書いてある!?)
美子か京香か、どちらのブラジャーか分からないが、伊吹はひっくり返してタグを探す。
(あぁもう、もどかしい!)
いつ京香が戻って来るか分からない。カップ数を確認するのは諦めて、ベージュのブラジャーの内側を鼻に押し付けて吸い込む。
(ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)
鼓動が早くなり、こめかみに血が流れている音が聞こえてくる。
(これで挟んで思いっ切りしごきてぇぇぇ!!)
そんな事をすれば一発で終わりだ。そう分かっているからこそやりたくなる。
(こっちのベージュのパンツも! グレーのブラジャーも!!)
全ての下着の匂いを身体の奥底へと取り込んだ後、伊吹はゆっくりと下着から離れる。
そして両手を腰の後ろに回して前屈みになり、ゆっくりと庭を歩いて回る。
「伊吹様? 腰を痛められたのですか?
まるでご老人のような歩き方をされていますが」
次に干す洗濯物を持って、京香が戻って来た。
「いえ、どこも痛めてませんよ?
空を見上げていたら眩暈がしたので、ちょっと下を向いているだけです」
「それはいけません!!」
痛いほどに勃起して、真っ直ぐに立っていられない伊吹は適当に答えたのだが、その言い訳を真に受けた京香が洗濯籠を放り出し、伊吹を抱き締める。
「屋敷の中に戻りませんと!」
伊吹が倒れでもしたら怪我をすると、自らの胸に伊吹の顔を押し当てて京香が介抱する。
伊吹は先ほどまで顔に感じていたゴワゴワした感触よりも、ムチっとしてホワっとし、瑞々しい香りを発する京香の胸の感触を感じて、本当に眩暈を引き起こしてしまった。
「美子さん、美子さーん!!」
その後、京香が呼んだ美子の手も借りて、伊吹は寝室へと運ばれた。
「今日はお風呂は止めておいた方が良い。ご飯も寝室へ運ぶから安静にしていなさい。
良いね?」
「いえ、おばあ様。僕はお風呂に入りたいんです。今すぐに入らせて下さい!」
(あの柔らかな感触が残っているうちに!)
この日は何とか元気である事を三人に認めさせ、伊吹は入浴を勝ち取った。
そして五回もオナニーをして、あまりに長い間出てこない伊吹を心配した三人に浴室へ突撃される事となったのであった。




