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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第二十四章:伊吹教

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厨二病治療

 清華(さやか)の呼び掛けに応え、ホールの扉を開けて、再び瑠奈(るな)が入って来た。

 その恰好は先ほどとは打って変わり、ごく一般的なビジネススーツに身を包んでいる。


『VividColorsの広報を担当する事になりました、寺沢(てらさわ)瑠奈(るな)です。

 私はVividColorsに採用された後、実際に働くまでの間に、安藤子猫の集まりに参加する事になりました。

 VividColorsに採用された事で、私は選ばれた人間なのだと思い込み、安藤子猫の集まりを伊吹教と称したり、仲間を聖巫女と呼んだり、色々と突飛な発言をしてしまいました。

 新人研修中、私が副社長に扮した女性職員へ掴み掛った事は皆さんもご存知かと思いますが、そんな私を諭し、導いて下さった方がおられました。

 その方のお陰で、今こうして広報担当としてこの場に立たせて頂いています。


 皆さん、どうか私のように自己陶酔に陥り、神の名を騙って自分の価値を高く見せようなんて思わないで下さい。


 VividColorsは神だと崇めたくなるような人がいっぱいおられますが、崇めてほしいなんてどなたも思っておられません。

 ただただ安藤子猫と一緒に楽しい世界にしたいと思っているだけなんです。


 副社長が好きで、安藤家四兄弟が好きで、月明かりの使者が好きで、仲間内でどこが好きかをわいわいと語り合う安藤子猫でいて下さい』


 瑠奈は皆の前で今の心境を語り、そして深く頭を下げた。


『皆さん、あのような言動をされていた瑠奈さんも、VividColorsの手に掛かればこうなるのです。


 副社長の前では皆等しく安藤子猫である。

 そう思いませんか?』


 清華が最後にそう添えた後、ホール内は割れんばかりの拍手が瑠奈へ向けられた。


「うわぁ……、めっちゃ寒気するわ」


「これもマチルダの教育の賜物だね」


 清華と瑠奈の活躍をディスプレイ越しに見守っていたマチルダを、伊吹が茶化す。


 場所はいつも通り、(きょく)ノ塔の大会議室に設置されている伊吹教対策本部。

 潜入者が身に着けている複数の小型カメラから送られてくる映像がディスプレイに映し出されている。


「厨二病罹患経験者に任せて正解だったね」


 伊吹は藍吹伊通(あぶいどお)り一丁目内にて保護していた瑠奈の元へ、マチルダを送り込んだ。

 マチルダは前世で厨二病を患っていた経験があり、厨二病患者に良く効く治療法でもって瑠奈を正気に戻してやったのだ。


 マチルダが瑠奈に行った治療法は非常に簡単だ。

 瑠奈が話したり身振り手振りをしているのをカメラで撮影し、それを本人と一緒に観るだけ。

 自分が客観的に見て、どのような言動をしているのかカメラ越しに見せ、少しずつではあるが、自分がおかしな事を口走っている事を自覚させていく。


 さらに、なぎなみ動画やYoungNatterヤンナッターなどで活躍している安藤真智(あんどうまち)が隣に座って、映像の中の瑠奈が口走った事を繰り返し口に出して読み上げる。

 他人の、それも十歳の白人美少女の口から出る自分の異常な言葉はなかなかに瑠奈の心に刺さったようで、泣き喚きながらもう止めてくれと訴えるに至った。


 真智ちゃんの心をこれ以上汚したくないと話す瑠奈を見て、伊吹はとっくに手遅れだと呟いていたのは関係者のみの秘密となっている。

 なお、瑠奈は真智の本性には未だ気付いていない。


「イブイブがこました方が話早かったと思うけどなぁ」


「僕らにとって都合の悪い人に対していちいち腰振ってたらキリがないんだよ。

 伊吹教内部の統制を阿藤(あとう)清華(さやか)に、外部からの軌道修正を寺沢(てらさわ)瑠奈(るな)に任せれば、この後さらに大きな集団になったとしてもそれなりにコントロール出来るんじゃない?」


「後は例の華僑と繋がってるあのおばあちゃんがどう動くか、やなぁ」


 福乃(ふくの)からもたらされた情報により、研修施設を借りた資産家令嬢を本人にも気付かれずに操っていた老齢の女性が、東南アジアの華僑と繋がっている人物である事が判明している。

 その女性の息の掛かった女性達が伊吹教信者として扇動していたので、清華が前に立って説き伏せた後となっては、必死に信仰を訴えれば訴えるほど集団から浮いて見えるようになるだろう。


「何となく皆に持て囃されて大司教になった阿藤清華より、今の安藤子猫宣言した阿藤清華の方が支持を集めるんじゃないかな。

 宗教的な熱を持ってたのは本当に一部の女性だけだったみたいだし、趣味のサークルみたいなノリの方が気軽に参加出来るだろうから、また裏から手を回すってのは難しそうだけど」


 伊吹とマチルダの会話に、福乃が加わる。


「あのばあさんについては公安に任せよう。

 ちょっとでも尻尾を出せば、そこから芋づる式に関係者を引っ張れるだろうさ」


「例の華僑にまで辿り着いたら、次に引っ張られるのは福乃さんなんじゃない?」


 伊吹の茶化しに対し、福乃は笑って答える。


「そんなヘマする訳ないさね。

 まぁ、万が一私がお縄に付きそうになったら、治様が助けてくれるんだろう?」


『そうだな、考えておこう』


「いやそこは助けると言い切っておくれよ。

 これでも私は、VividColorsのパトロンみたいなもんだよ?

 データセンターだってこれから何棟も建て増しして行くんだろう?」


『俺様が資産運用を任されるようになってから、VividColorsの運用資産は三倍になったぞ』


「……えっ? この短期間でかい!?

 それってもう私はいらないって意味かい!?」


「ばあさんは用済み」


「止めろマチルダ、意味が変わってくる」

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