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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第二十章:種を蒔く

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月明かりの使者、オンラインサイン会

 なぎなみ動画、月明かりの使者公式チャンネルの生配信枠。


 ≪何が始まるんだろう≫

   ≪ライブではないってYoungNatterヤンナッターで呟いてたけど≫

     ≪何にしても見るしかないっしょ≫


 配信画面が切り替わり、テーブルに向かって座っている四人の人物が映し出された。

 全員の顔は画角から外されている。


『はい、配信が始まりました。

 俺はボーカルの慈音(じおん)


『ギターのアリス』


『ベースの真子(まこ)


『ドラムの凛子(りんこ)

 私達ぃ……』


『『『『月明かりの使者でぇーす』』』』


 ≪おーーー、何かの告知かな?≫

   ≪8888888888888≫

     ≪テーブルの上に置いてあるのってアルバムじゃない?≫


『すでにコメントで指摘された通り、これは二週間後に発売日を迎える月明かりの使者の特装版BOXです』


 慈音達四人が全員でアルバムを手に持ち、カメラへと掲げて見せる。


  ≪通常版はなさそうだね≫

    ≪サインが入ってるんだが!?≫

  ≪慈音様毎回指輪外しておられて気遣いにキュンとするわ≫

   ≪指輪の痕がクッキリと映っているのがまた良い……≫

       ≪ちょっと何言ってるか分かんないですねぇw≫


『お気付きの通り、サインを入れています。

 すでに段ボール数十箱分のアルバムに四人全員のサイン、もしくは誰か一人のサインを入れていっているんですが、手が疲れるし単純作業だから頭がボーっとするし、結構疲れるんですよね』


 ≪サイン入りBOX欲しい!!≫

   ≪段ボール数十箱分じゃぁ手元に来る確率はとてつもなく少ないな……≫

     ≪すでに書いた分って本当に本人が書いたのかしら……?≫

  ≪しーーーっ!!≫

     ≪真実を知る事が幸せな事とは言い切れないんだぜ??≫


『と言う事で、俺達がサインをしているところ視聴者の皆さんに見てもらって、応援してもらおうと思って生配信の枠を取りました』


 ≪頑張れ! 頑張れ!≫

    ≪さぁ残り一千万セット!≫

       ≪通常版はサインなしですか?≫


『はい、通常版はサインなしとさせてもらいます。

 俺達が不眠不休で全部にサインしたとしても一年以上掛かるので、ご了承下さい』


 ≪全部は無理よねぇw≫

   ≪みんなで見守ろう!!≫

     ≪何時間くらいサインする予定ですか?≫


『今が午後五時なんですが、四人とも明日の予定がないので、頑張って頑張って寝落ちするまでは続けようかなと』


 ≪予想以上に頑張ってくれそうで反対に申し訳ない≫

   ≪四人がサインし続けてくれればくれるほど手元に来る確率が上がっていく!!≫

    ≪あーしも明日休みだし最後まで見守る!≫

  ≪適度に休んで切り上げて、明日また続きをすれば良いのでは?≫

     ≪しーーーっ!!≫


『ではサインを開始します。

 出来るだけコメントには反応しようと思っていますが、手元に集中すると黙ってしまう事もあると思うのでご了承下さい』


 ≪はーい≫

   ≪了解です、頑張れ!≫

      ≪じゃあ私も勉強の続きしよっと≫


『ちなみに今手元にある特装版BOXは全部で二万セットで、ある程度はサイン済みです。

 ちなみに、予約はすでに受付終了しているので、今から申し込む事は出来ません』


 ≪仮に慈音様が二万回サインするとして、休憩なしで十秒で一サインしても二日掛かっても終わらないね≫

   ≪腕が上がらなくなりそう≫

      ≪ご無理なさらずに……≫


『俺以外のメンバー三人は手が商売道具だから、俺が一番頑張らないとね。

 はい、サインしました。手元に届くまでもうちょっと待ってね』


 カメラにサインが見えるようにアルバムを差し出す。

 慈音はコメントに反応しつつもその手を止める事なくサインを続けていく。


  ≪二万BOX分サイン入るなら低くない確率なのでは?≫

   ≪最終的な予約数は発表されてないな≫

      ≪0.1パーセントあるかしら≫

    ≪千人に一人なら希望あるね≫

 ≪十セット予約してれば1パーセント!! 勝ったな風呂入って来る≫

  ≪慈音様の右腕に注射した後の止血テープ発見≫

    ≪慈音様の止血テープになりたい人生だった≫


「ぶっ!!

 えーっと、誰か上に羽織る物持って来てー」


 ≪私も慈音様の止血テープになります!!≫

    ≪何のお注射したんですか?≫

  ≪もしかして何かの病気だったり!? 救急車いる??≫


「救急車はいりません。検査用に血を抜いただけだよ」


 慈音がスタッフが用意した上着を着ると、コメントで生着替えだと視聴者が盛り上がった。



「えーっと、今で一時間半か。サインするのって大変なんだな。

 みんな、ちょっと手を休めようか。簡単に食べられるものを用意してもらってるから夕食にしよう」


 慈音こと伊吹いぶきが伸びをする。

 つられて、アリスと真子と凛子もサインする手を止め、それぞれが身体を伸ばしたり手首を振ったりしている。

 配信に使っている(きょく)ノ塔、中会議室の扉がノックされ、侍女服姿のマチルダが軽食を載せた配膳車を押して入って来た。

 マチルダの顔はいつも通り隠していない。


 ≪真智(まち)ちゃんだ、お手伝いかな?≫

   ≪侍女服姿もかわええなぁ≫

     ≪おいおい天使かよ、てぇてぇなぁ≫


 コメント確認用のパソコン画面に流れる視聴者の反応を見て、伊吹は画面越しではマチルダの黒さが伝わっていない事を確認する。


 マチルダは四人の前に手が汚れないよう食品用ラップフィルムを巻かれたおにぎりや爪楊枝が刺さったウィンナー、玉子焼きなどの軽食を配膳していく。


「慈音様さえよろしければ、私があーんして差し上げますわ」


「なるほど、そしたら俺は手を止めずにご飯を食べられるって事か。

 じゃあお願いしようかな」


 ≪見た目はお人形さんでもやっぱり女なのね……≫

   ≪真智、恐ろしい子っ……!!≫

           ≪うらやま……≫


 伊吹が特装版BOXにサインをしながら、マチルダが差し出したおにぎりに向けて口を開いた瞬間、全ての電気が停電した。

 小さく悲鳴を上げ、マチルダとアリスと真子と凛子が伊吹に抱き着く。


「大丈夫、すぐに非常用電源に切り替わるはずだから」


 伊吹はそう言って皆を安心させようとした直後、室内の照明が付いた。


「外部からの攻撃の可能性があります。この場を動かないで下さい」


 宮坂(みやさか)警備保障の栗田(くりた)が部下に外の様子を確認しに向かわせる。


「イブイブ、外見る限り真っ暗や。

 ところどころ電気が点いてるんはここみたいに非常用電源があるとこやろ」


 マチルダが伊吹から離れて外を確認する。

 見渡す限りどこも停電しているようだが、車のライトとハザードランプで道がどこにあるのかが分かる。


「明らかに異常事態や」


 そうマチルダが言った直後、電気が復旧する。各自がパソコンやスマートフォンで状況を確認。

 栗田はインカムで呼び掛けて、外部からの侵入者等がいないか巡回するよう指示を出した。


 伊吹は美哉(みや)に電話を掛けるとすぐに繋がり、橘香(きっか)と共に無事である事が確認出来た。

 次に藍子(あいこ)へ連絡し、YoungNatterヤンナッターで生配信は状況が確認出来るまで中止する事を呟くよう頼んだ。


「どこかで地震等の災害が起きた訳ではなさそうです」


 侍女の一人から報告を受けて、伊吹は生配信を再開する事を決定、すぐになぎなみ動画の視聴者へ呼び掛けた。


「皆さん、生配信が途切れてしまいました。どうやら大規模な停電が起こったようです。

 皆さんのお住まいの地域はいかがでしょうか?」


 すぐに視聴者からの反応がコメントとして流れて来る。


 ≪こちらも停電しました@台湾≫

   ≪時計見てたけど十六秒間停電してた@北海道≫

     ≪怖かったけど副しゃ、慈音様の声が聞けて安心@ブラジル≫

  ≪え、もしかして世界規模?@イギリス≫

    ≪信号消えて焦った@アメリカ≫

       ≪結構長かったね@エジプト≫


「世界規模の停電……?

 とにかく、落ち着いて行動しましょう。何があるか分かりません、いつでも外に出られるような格好に着替えた方が良いかも知れません」


 ≪これが地震大国の男性か、うちの国の男性とは大違いだわ@シンガポール≫

   ≪十六秒間と言われればそれくらいだった気がする@カナダ≫

     ≪地震来たら発狂する自信あるわ@モロッコ≫


「ゆっくり深呼吸して、手元にあるサインペンに手を伸ばして、段ボール箱に残っている特装版BOXにサインをします」


 ≪それ慈音様だけではwww≫

   ≪落ち着き過ぎてて草≫

     ≪真智ちゃんも動揺してなさそうで偉いw≫



 それ以降、特に大きな災害はなく、停電も一度きりだったようで、伊吹達は朝方まで喋りながらサインを続けたのだった。

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