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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第二十章:種を蒔く

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凄絶震撼映像ヤバすぎ!『ろくろ首丸結び作戦』前編

 小さな事務所に三人の女性が腕を組んで座っている。

 一人は映像制作会社の監督で、もう一人は助監督。そして最後の一人はカメラマンだ。

 皆がパソコンの画面を見つめており、そこにはなぎなみ動画に投稿された映像がパソコンの画面に映し出されている。

 映像には、二人の制服を着た少女の背中が映っており、住宅街の狭い路地の奥、日本家屋を指差して話している。

 ここで映像は監督達が見ていた動画内容へと切り替わる。



 辺りは暗く、空の色から見て夕方頃だと思われる。


『ホントにここで見たの?』


『うん、あの家からにゅーって出て来たの!』


『確かに雰囲気はあるけど……、ねぇ?』


 映像を撮っている人物を含め、三人で行動しているようだ。


『今どきろくろ首って。まだ河童の方が信じられるよ』


『でも見たんだもん!』


 そんな言い合いをしながら、映像は路地の奥へと進んでいく。

 門扉を開き、失礼しまぁすと小声で言って入って行く。小さな庭を通って、家の玄関へ手を伸ばす少女。

 だが、鍵が掛かっているので開かない。


『ほら、簡単に入れる訳ないって。

 ろくろ首の映像を投稿したら副社長の目に留まってVividColorsヴィヴィッドカラーズに入社出来るなんて無理なんだよ』


『そんなのやってみないと分からないじゃん!

 裏口があるかも知れないからぐるっと回ってみよう』


 少女達は家の裏側へと回り、裏庭と縁側を発見する。

 ガラス越しに中を見ようとするが、あたりが薄暗くなっているので、確認するのが難しい。

 スマートフォンの灯りを点けて中を照らすと、何かが動いたかのように見えた。


『今何か動いたよね?』


『……ネズミじゃない?』


『私のスマホ画面ではよく分からなかったけど、何か動いたような気はする』


 さらに確認しようと、もう一人の少女のスマートフォンも灯りを点けて、二人で家の中を照らそうとする。

 が、完全に日が暮れている訳ではないので、家の中をはっきりと確認するのは難しい。


『ねぇ、もう帰らない? 時間もだいぶ遅いしさ』


『もうちょっと! あのろくろ首が撮れたらすぐに帰るから』


 二人がそんなやり取りしていると、また家の中で何かが動いたのが見える。

 ガラスの向こう、障子に映る影が動いたのだ。


『ねぇ、何か動いたよ?』


『ウソ、見てなかった』


『撮れた!?』


『撮れたと思うけど、ろくろ首かどうかは……』


 撮影している少女が二人に話している時、バンッ! とガラスが叩かれる音が響く。

 少女達がビクッと反応し、家の方を見ると、縁側のガラス戸に張り付くようにこちらを睨みつける女性の顔があった。


『『『きゃーーー!!!』』』


 そこから映像が激しく揺れ、ピントも合わず何が映っているのかも分からない。音も飛び飛びになっており、そしてそのまま動画が終了する。


 ここで、再び場面が映像制作会社へと切り替わる。監督は眉間に皺を寄せて画面を睨みつけている。

 監督の顔の下に字幕で≪映像監督:江藤仁美(えとうひとみ)≫と表示される。


「ろくろ首、映ってましたね。

 黒田さん、撮影兼編集担当としてどう思われます?」


 助監督がマウスを操作し、動画を巻き戻してガラス越しに首が映る場面で止める。よくよく見ると白く長い首が伸びているように見える。

 助監督の顔の下に字幕で≪助監督:及川保奈美(おいかわほなみ)≫と表示される。


「映像が粗いので、はっきり映ってますとは言い切れませんねぇ」


 助監督に尋ねられたカメラマンがそう答える。

 カメラマンの顔の下に字幕で≪撮影兼編集担当:黒田庄子(くろだしょうこ)≫と表示される。


「ハカヤロー! 黒田、お前それでもカメラマンか! 明らかに映ってんだろうが!!」


 監督がカメラマンに怒鳴る。いつもの事なので、助監督は何も反応しない。


「いやぁ、そうは言ってもですねぇ」


 カメラマンの煮え切らない態度に痺れを切らし、監督が机を叩いて立ち上がる。


「あー、もういい!

 及川、この動画を投稿した奴らに連絡取って、ここの住所調べろ。

 私らが直接乗り込んでろくろ首を撮ってやろうぜ」


「撮ってどうするんですか?」


「そんなもんなな動に投稿するに決まってんだろうが!

 なな動に投稿する、再生回数が増える、なな動から会社に金が振り込まれる、借金が返せる!!」


「えっ!? うちの会社借金があったんですか!?

 聞いてないですよ!!」


「聞いてないのは当然だ、何も言ってないからな!

 とにかく早く連絡しろ及川!!」


 怒鳴られた助監督は、ぶつくさ言いながらも監督に言われた通り投稿主へ連絡を取った。



「カメラ回しましたぁ」


 カメラマンの合図を受けて、助監督が口を開く。


「連絡をした及川と申します。こちらは監督の江藤、撮影をしているのが黒田です。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


 映像制作会社で流れた投稿動画に映っていた少女達三人が頭を下げる。今日は休日なので、少女達は私服姿だ。

 場所は少女達が撮影をした住宅街の路地。画面の奥には例の日本家屋が見える。

 少女達が撮影した時間帯よりも早いので、投稿映像ほど不気味な印象はない。


「一応君達があの動画を撮った時の事を説明してくれるかな?」


 監督の言葉を受けて、少女の一人、ろくろ首を撮ろうと言い出した少女が説明を始める。


「私の家がこの近くなんですけど、たまたまこの道を横切って、そう言えばこっちに曲がった事がないなって思って、何の気なしに奥まで歩いていってみたんです。

 で、突き当りの家の窓に、人の顔が浮かんでいるように見えて、じっと見つめたら首が長かったので、これは妖怪だと思ったんです」


「で、私達がその話を聞かされて、動画でろくろ首を撮影してなな動に投稿するからついて来てほしいって言われたんです」


「私は暇だったし、まぁ良いかと思ってついて来ました。

 撮影したのは私のスマホです」


 三人の少女と監督と助監督は、説明を続けながら路地の奥へと歩いていく。


「で、あれが例の家って訳か」


 日本家屋の前まで移動し、監督がしっかりと閉じられている門扉に手を掛け、キィーと音を立てながら開ける。


「あの……」


 少女の一人が監督へ声を掛ける。


「ん? 何だ」


「えっと、それって持って行くんですか?」


 監督の右手には金属バットが握られている。


「あぁ、ろくろ首って高いところに顔があるだろ? 殴ろうにも届かないかも知れんと思って持って来たんだ。

 これでバチコン殴って気絶させた後、ろくろ首の首を丸結びにしてやるところを撮影したら再生回数爆上げ間違いなしだろ!」


 監督が笑顔でそう言うが、少女達はかなり引いている。


「何だよ、お前達の投稿映像は偽物だったのか?」


「いいえ! ちゃんと本物です!!」


「じゃあいいや、行こうぜ」


 門扉を開けて小さな庭を通り、監督が玄関に手を掛ける。が、投稿映像の通り、鍵が掛かっており開けられない。

 監督が玄関のインターフォンをガチャガチャと押すが、何の音も鳴らない。

 監督は玄関を手でドンドンと叩き、家の中へと声を掛ける。


「すみませーん! 誰かいませんかー?}


 かなり大きい声で監督が呼び掛けたので、少女達は目を丸くして驚いている。

 お互いの顔を見合い、居心地悪そうに身を縮めている。


「私ら一応大人だからよ、声掛けましたってとこも撮っとかないとな」


 監督が少女達にそう言って、悪い笑みを浮かべる。

 少女達の顔は引きつっており、このまま撮影について行っても大丈夫か小声で話し合い出す。


「おい、帰るなら帰るでいいぞ。編集して字幕入れればいいだけだからな。

 裏庭はこっちか?」


「は、はい! そっちで合ってます!!」


 どんどん進んでいく監督の後を少女達がついて行く。さらにその後ろを助監督が歩く。


「ごめんなさいね、あの監督すぐに怒るから。

 本当に嫌だったり怖かったりしたら帰っても大丈夫だからね?」


「いえ、私が言い出した事なので、平気です」


 投稿映像の通り、監督達は裏庭に出た。

 ろくろ首らしき女性が張り付いていたガラス戸が映される。


「ここだな、音を立てて顔が当たったにしてはガラスにヒビが入ってねぇな。

 顔の油もついた後がない」


「ろくろ首の顔に皮脂って浮いてるんでしょうか?」


「あぁ!? 知らねぇよんーな事」


 金属バットを肩に担ぎ、監督がガラス戸に顔を近付けて屋内を覗き込む。そしてガラス戸を叩き、中に向けて声を掛ける。


「すみませーん! ちょっとお話を聞きたいんですけどぉ!! すませーん!!」


 少女達は身体を寄せて抱き合っている。今はろくろ首よりも監督が怖いというような態度だ。

 監督がガラス戸に顔をくっ付けて中を覗き込む。監督の頬の後がくっきりと残った。


「んだよ、本当に誰も住んでねぇのか?」


 ガラス戸をバシバシ叩いても、大声で呼び掛けても、何の反応もない。

 監督がさらに家の奥へ回ってみるが、裏口のような扉はなさそうだ。


「監督、ご近所さんに聞き込みしてみましょうか?」


「そうだなぁ、聞いてみてここが空き家だったら……」


「あっ!」


 監督と助監督が話し合っていると、カメラマンが声を上げた。


「何だ黒田、何か撮れたか?」


「あれ!」


 画面にカメラマンの左手首が映り込む。

 人差し指で差した先には、ガラス戸の向こうからこちらへ歩いて来る着物姿の女性が見える。


「何だ、住人いんじゃん」


 監督が金属バットを背中の後ろに隠し、作り笑顔を浮かべて住人と思われる女性へと声を掛ける。


「すみません、お話を伺いたいんですけど!」


 女性がガラス戸の鍵を開錠し、少しだけ開けて顔を出すが、何の声も発さずに監督達を無表情のまま見下ろしている。


「この家でろくろ首を見たという話を聞いて来たんですけど、あなたはこちらの家に住んでるんですか?」


 無表情だった女性の眉間に皺が寄る。


「もしもーし! 聞ぃこぉえぇてぇまぁすぅかぁー!?」


「ちょっと監督! さすがに失礼ですよ!!

 すみません、ちょっとお話を聞きたいだけなんですけどぉ」


 少女達は監督を止めたと思われた助監督が、同じく女性に取材を申し込んだ為にびっくりしている。


「どどどどうする!?」

「帰る!? 帰る!?」

「ででもでもでも!!」


 相談しているその声で、着物姿の女性が少女達に気付いた。


「きょえええええぇぇぇぇーーー!!」


 そして女性の首がにょろにょろと伸びていき、少女達へと向かっていった。

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