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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第十五章:新年

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ライブ後のおつとめ

 年明けライブとカラオケボックスの紹介を終えて、伊吹(いぶき)(しょう)ノ棟のカラオケボックスから一旦(えい)ノ棟の配信スタジオへ戻る。


「皆、お疲れ様」


「お疲れ様でした、お兄様。

 カラオケ画面にお兄様、じゃなくて「月明りの使者」が出演していて、視聴者が大変喜んでいるようでしたわ」


 乃絵流(のえる)こと多恵子(たえこ)が伊吹に駆け寄って来た。


「そっか、乃絵流達が頑張ってミュージックビデオを撮影してくれたお陰だね、ありがとう」


 伊吹は多恵子の頭を撫でてやると、嬉しそうに微笑んだ。


 ミュージックビデオは「月明りの使者」のCD購入特典映像の為に撮影されたものだが、カラオケの歌詞が表示される背景としてもこのミュージックビデオが採用されている。

 全ての楽曲分を用意している訳ではないが、これを見る目的でもカラオケボックスに足を運ぶ層も獲得出来ると考えられている。


 伊吹は多恵子に断ってその場を離れ、生配信が終わるのを待っていたバンドメンバーへ声を掛ける。


「カラオケボックスからの配信でも問題なく歌えておられましたね」


 アリスが複雑そうな表情で伊吹へ話す。


「カラオケと生演奏では気分が全然違うからなぁ。

 ちょっとしたアドリブが入ったり、その日の演出で演奏の仕方を変えたり出来るから、比べるもんじゃないよ」


 伊吹が笑いかけると、アリスは顔を真っ赤にしてしまった。


 伊吹は智枝(ともえ)から、「月明りの使者」としてデビューする前に、バンドの三人を寝室へ呼ぶかどうかを確認された。

 伊吹はアリスと真子(まこ)凛子(りんこ)がそれを望むなら、と答えた。


 智枝はそれぞれ一人ずつの意思を確認し、三人共もちろん望むと答えた為、伊吹は三人を集めて自分の考えを告げた。


 「月明りの使者」のデビューから一年間は活動を止めたくないので、寝室に呼ぶのはそれ以降にしたいと伝えると、三人はそれを了承。


 それまではバンドメンバーとしてプラトニックな付き合いを……。


「おいで」


 という訳ではなく、ただセックスをしないだけで、抱き締めるしキスもするという高校生のようなお付き合いとなっている。

 アリスは伊吹に抱き締められてキスを受け、耳元で君の代わりなんていないんだ、という囁きを食らって腰が砕けた。

 同じく真子、凛子もご褒美めいた抱擁とキスを受けて、囁きによって幸せそうな表情で床にへたり込んでいる。

 控えていた美子(よしこ)京香(きょうか)が三人を椅子へ座らせてやる。

 伊吹は三人にもう一度労いの言葉を掛けた後、スタジオの控室へ向かう。



「お待たせ」


「いえ、とんでもございません」


 小春(こはる)を含む少女達が立ち上がり、伊吹へと頭を下げる。

 伊吹の皇宮での結婚の儀に際し、巫女役を務めた十人の少女のうちの四人だ。


 定期的に伊吹の元へ通う事になっているので、伊吹が年明けの挨拶に皇宮へ赴いた際に心乃夏(このか)から小春達を連れて帰るように言われたのだ。

 学校の正月休みが明けるまではこちらで過ごす予定だ。


 伊吹が活動をしている間、ただ(しょう)ノ棟の客室で待たせておくのも可哀そうだと思い、客席を用意してライブを鑑賞させていたのだ。

 ちなみに、藍吹伊通(あぶいどお)り一丁目で働いている関係者であればライブを生で鑑賞する事が出来る。

 伊吹は近いうちにペンライトを用意するつもりだ。


「どうだった? 楽しめた?」


「はい! 『なぎなみ動画』で聞いた事があるとはいえ、目の前で演奏されているのを見るのは比べ物にならないと思いました!」


 小春達は皆が顔を高揚させ、とても良かったと伊吹へ伝える。


「そうか、喜んでもらえて嬉しいよ。

 いずれはどこかのフットボールスタジアムを貸し切って、大勢の前で歌いたいと思ってるんだ」


「まぁ……、規模が大き過ぎて想像出来ません」


 この世界ではあまり野球が普及しておらず、ドームという建物が存在しない。

 サッカーはフットボールという英国式の呼び名で普及しており、全国にスタジアムがある。


 ただ、スタジアムでコンサートをした事があるアーティストは未だいないので、スタジアムでライブをする前に音響機材の開発等が必要になる。


 伊吹はその事前段階として、まずは武道館ライブを実現させようと考えている。

 ただ、この世界には日本武道館が存在しないので、三ノ宮伊吹親王の名において「皇国武道館」の建設を指示するつもりだ。

 建設する土地を探すのと、建物の設計図を作る事から始めなければならない。


 実際の日本武道館はライブを開催する用に作られていない為、音響資材の設置がとても大変なのだが、皇国武道館は最初から「月明りの使者」のライブ開催が決定しているようなものなので、それも踏まえて設計図が引かれる事となる。


「そうだ、四人共『月明りの使者』の歌を聞いてくれているんなら、さっき僕がいたカラオケボックスで歌ってみる?

 来月から全国で開店する予定だけど、その前に試用してもらって感想を聞きたいからね。

 ……四人は気軽にカラオケボックスに通えないだろうから、うちに遊びに来た時は自由に使ってくれて良いよ」


 小春達が手を取り合って喜ぶ。

 皇宮内で暮らしているとはいえ、まだ二十歳にもなっていない女子にとって新しい娯楽を一足早く楽しめるというのは嬉しい事であるようだ。



 伊吹が先ほどまで生配信していたカラオケボックスの中部屋へ移動する。

 カラオケボックス自体は他にも小部屋、大部屋の合計三部屋用意してある。

 中部屋は六人程度の利用を想定しており、伊吹と小春達で五人。

 少女達が伊吹を害する事はないだろうという事で、伊吹は侍女も護衛も外に待機させ、中部屋に入った。


「何か飲む?」


 実際の店舗と同じようにオーダー用のタブレットが用意してあり、操作方法を説明しながら伊吹が注文をした。

 飲み物が来るまで、カラモクの操作方法を説明する。「月明りの使者」の百二十曲全て配信されており、その他の既存のアーティストの楽曲も歌う事が可能だ。

 

 伊吹の侍女により人数分の飲み物が運ばれて、テーブルに配膳し、侍女が退室する。

 実際の店舗と同じく、翔ノ塔に設置されているカラオケボックスにも監視カメラが用意されている。


「「あっ……」」


 伊吹が隣に座った夏子(なつこ)紅葉(もみじ)の太ももに手を置き、そっと撫でる。

 監視カメラが用意されているとはいえ、伊吹の行動を止める人物は、この藍吹伊通り一丁目にはいない。

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