ガチポルノ 第28話 〜壊滅〜
青年は大きく目を見開き、愕然とその光景を見つめていた。
兵士は皆、口から奇妙な煙を吐き、絶望を遥かに超越したような苦悶の表情を浮かべている。ある者は自らの喉を、ある者は自らの腹を剣で開き、その両手で必死に胎内から何かを掻き出そうとしている。
全身血だらけのある兵士は救いを求めて、うつ伏せで寝ている上官をひっくり返す。しかし、彼に顔はなかった。頭から股間にかけて大きく空いた穴からは内臓がぐつぐつと沸騰し、煙が立ち込めていた。絶望した兵士はバランスを失い、上官の胸元へ顔から倒れ込む。
「む、むぐうううううううう!!!」ジュウウウウウウ!!
兵士の顔は上官の胸元で"消化"され、やがて声帯まで溶かされると大人しくなったが、未だに足はバタ足のように空を切っている。
「女の喘ぎ声で打ち消され聞こえなかったが……この悲鳴、一体いつから!?」
ある者は椅子に座ったまま遠くを見つめて動かない。だが、やがて血の涙を流し始め、両眼球も流し始めた。そして最後に、少しづつ煮えた脳味噌を流し始めた。
「おとう……さん……?」
「おねえ……ちゃん……?」
彼は海馬を流し始め、大切な記憶を一つ一つ失っていく。
「やだ……なくなる……」
「おかあさん、…やだ…、いなくなる……おれのなかから……」
口をパクパクと動かす。
「ぜんぶなくしたまま おわりになりたくない……」
「……」
「あれ……」
「おれ……だれ?」
彼は無のまま無を迎え、絶命に至った。
「ウィンドル……様……」
何処かから男の呼び声が聞こえた。
師団長の青年は、セックスじゃない方のテントの横に設置されたキャンプファイヤーのさらに横で四つん這いになっている兵士を見つける。
「大丈夫か!!僕だ!師団長のウィンドルだ!これは一体……!!?」
ウィンドルは彼の背中を擦り、介抱をする。
「ッッッゴポゴポポポポポポポッッッ!!!!」
途端に男は目、口、耳、そして鼻から一度に、人間の気道の直径では到底通すことのできないような量の血を吐き絶命する。
ジュウウウウウウ!!
「ッッッ!!!!」
瞬間、ウィンドルはその音に気づく。
死に間際の彼が吐いた血が、ウィンドルの右手の甲冑を溶かしていたのだ。
ウィンドルは素早く剣を抜き、腕より先の甲冑部分を円形に切り取り、手へのダメージを防いだ。
「"溶かす能力"……間違いない、〈暗殺者〉の能力、〈デス・スペルマ〉だ―――!!だが、いったいどうやって!?見張りだって置いていた!いくら射精したとしても、我々にバレずに6000人、一人一人精液をかけていくなど不可能な筈だ!!!」
ウィンドルは先ほどのセックスじゃない方のテントの横に設置されたキャンプファイヤーの上に焚べられた鍋に気付く。
「……これは!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
パカラッパカラッパカラッパカラッ
「どうですか?国王軍は追ってきてますか?」
いいや、大丈夫だ!俺たちの作戦が功をなしたな!
「さすが〈救世主〉様です!まさか、あんな事を思いつくとは!」
そう―――今から1時間ほど前―――
つづく




