このまま何も変わらなければ
初投稿なので、あたたかい目で見ていただけると大変ありがたいです。
「中1から好きだった。俺と付き合ってくれ」
俺が告白した相手は目をぎょっと開き、驚いた様子だった。
近本詩織。俺が中学3年の今に至るまでずっと好意を寄せてきた女の子だ。他にも良い女の子はいたが、この子を初めて見た時だけ鼓動が高鳴った。
(これが恋か。) そう思った。初恋だ。
そこから、俺なりに努力を重ねて仲良くなった。
2年と少しの間、俺の心の器の中に注いできた気持ち伝えるなら今この時だろ、好きだって。
そんな俺の想いとは裏腹に彼女の口からでた言葉は
「え、、私付き合ってる人がいるの」
ズキッ!!なんか心の音がした。
う〜ん、仕方ない。いけるかなぁとか甘い考えを持ってた自分をどつきたい。もっと情報収集しとけばよかった。勢いで案外なんとかなるかなって付き合ってるやついるなら俺みたいな人間選ばねぇよ。
と、ここで終わればどれほど良かったか。
「あれ、本当に聞いてなかったの?」
「え、何を」
「私が付き合ってるの───」
とりあえず気まずいこの場から離れた。彼女が言った名前を聞いた時フラれたことで傷ついた心はより一層ぐちゃぐちゃになった。土日はこの痛みを抑えるのに費やした。
翌日、月曜日の登校日だ。そして、俺はあの名前の本人の元へ向かった。家は知っている。だって、
こいつは、
「よっ、湊」
「翔太」は俺の親友だ。少なくともこないだまでそう思っていた。でも親友と思ってたのは俺だけか。
伝えたいこと話したいことを思いの丈をありのまま言った。
このあと俺はどうやって帰ったのかあまり覚えていない。気分はなんだか虚無って感じだった。
学校にはもう行ってない。行かない。
義務教育を残り少しで放棄した。
そんな生活を1ヶ月ほど続けていた時に、聞いてしまった。というより、聞こえてしまったと言う方が正しいのか。親が俺のことで言い争っていた。
「湊があんなことになっているのにどうして何もしていないんだ!!」
「?!」
普段口数の少ない父の大きな声に驚いた様子の母。
「そ、それを言うんだったらいつも家にいないアンタの方が何もしていないだろっ!!」
「何っ!家を養うために出張に行ってるんだぞ!!...それに私はいつも家にいる君が何もしていないことについて言っているんだ」
「っ!!...何もしてない訳じゃない。聞いても疲れただとかもういいとか。」
あれから俺は母親に何を聞かれても詳しい事情は言わなかった。ただ全部のやる気がなくなっただけとだから、学校には行かない。高校には行くとだけ言って。
「それを何とかするのが君の役目じゃないのか!」
母親の言い分に納得いかない父が再び声を荒げた。
「高校には行くつもりって言ったんだ。辛いことがあったなら休ませてあげようとか思わないの?」
「君がそうやって甘やかすのがいけないんじゃないか!湊がロクな高校に行かなかったら責任を取れるのかい」
「それもあの子の人生だろ!親なら見守ってあげるくらいしなよ!!」
この辺りで俺の気分は悪くなったので、この言い争いの結末は知らない。ただ、母親から父の話を聞くことは2度となかった。
今思えば、なんとなく状況を察した俺はこの時から余計に人が分からなくなった。1番身近にいた家族さえも理解できない。優しかった父もいなくなった。心がきしむ音がした気がした。
専業主婦だった母親が働き出したのは、そのすぐ後だった。急にどうしたんだと尋ねても、
「アンタが気にすることじゃないよ」
はぐらかされるばかりだった。そして俺は母のこの言葉が無理をしてる時の口癖だったことを知っていたのに、知らないフリをした。
なぜならば今はもう何もわからないのだから。
高校受験の翌日、母が死んだ。
俺の目に涙が流れることはなかった。父の居場所はわからず、母は死んだ。この事実だけが頭に残る。
今度は確実に壊れた音がした。
「大丈夫?湊くん」
葬式が終わり1人たたずむ俺に声をかけてきたのは俺の叔母さんで母の妹である。
「...はい、大丈夫です」
俺はできる限りの作り笑いを浮かべた。今の俺にできることはテキトーに繕うことだけ。周囲の空気を悪くしたい訳じゃないからな、でも関わり合いたいわけじゃない、、、
「そんな顔してる人は、大丈夫じゃないと思うよ」
「そう、、ですか?普通ですよ」
俺はもう分からない。俺は一体どんな顔を作っているのか、、
俺は叔母さんに預けられることになった。
父は離婚してるし、母方の親戚の世話になるのは当然と言えば当然なのか。
「高校では上手いことできるのか、俺」
1人でカレンダーを見つめながら言った。叔母さんとは普通に話せたが、高校ではどうなるか。
一応俺は高校に合格し、明日が入学式だ。
そう考えて、怖くなった。他人と関わるのが、、