黄金人間テクト君
あんまり小説とか書いたことないんで、大目に見てください。
第0話 プロローグ
「はぁ...はぁ...。」
ザーーーー!
人気の少ない都会の風景と暗い曇り空が、かなりマッチする。
「そっちへ行ったぞ!」
「はぁ...はぁ...はあーいつまで追っかけてくるんだ...あの人たちは...!」
雨の中、私はいつも通り、変な連中に追われていた。
長い時間逃げ走ったから、さすがに体力を消耗してきた。
今はいくつもある使われてるか使われてないかややこしいビルの角陰に身を潜めている。
耳を澄ますと、この大雨の中でも連中の声は聞こえてくる。
「...見つかったか?」
「いいえまだです、ですがまだ近くにいるはずです。」
「ああ、だが急げ、奴らのことだ、我々のすきをついて遠くへ逃げる気かもしれん。」
だが声は微弱ながら小さくなっていき、どうやら遠のいていることがわかる。
どうやら少し逃げ切れたらしい。
とりあえず一安心、一休憩だ。
地面は雨でびしょびしょだが、そんなことを気にするほど余裕ではない。
深く力を抜いてその場に座り込もうとするが...。
「はぁ...あーもう疲れたー!」[結構でかい声]
「?」
「あ。」
「今確かにあそこから声が聞こえたぞ!」
つい気が抜けてしまった。
「まずい...早くここから移動を...。」
足音も出さないよう、細心の注意を払って奥の暗闇に...。
だが。
カラン!コン!...コンコン!...コン。
後ろを見ておらず、近くの木箱の上に置いてあった空き缶にきずかなかった。
そして挙句の果てにそれを落としてしまった。
「しまっっった...!」
「間違いない、そこの角にいるぞ!」
「ぬぅぅぅ!」
とりあえず、走る。
ダッダッダッ!
「くぅぅぅ、せっかく逃げきれると思ったのにぃ!」
物音も関係なしに一直線に走り抜ける。
「今度こそ捕まえろ!」
「まだ追っかけてくるの!?あー私っていつもこうだ!肝心な時につい気が抜けてしまうぅぅ...!」
左、右、左、左、右、左。
いくつもある十字の細い道を蛇のように走り回る。
「前だってそうだ!隠れきれるかと思ったのに暗いからって近くにあった鏡に映る自分に驚いて悲鳴を...」
スカッ。
「?」
走っていて、ふと気が付く。
地面の感覚がない。
「...?」
スカッスカッ。
足でまさぐってみても、どこにも地面がない。
「...。」
下をゆっくり見てみると...。
そこに地面はなかった。
自分の今いる空中を中心に半径一メートルほどの穴が開いていた。
穴の中には、どこかの国の大都市を空から見上げているような景色が見えた。
と、そんなことを確認していると、さすがのアスリートでも時間の感覚が遅く感じるようになったとはいえ、限度ってものがあるでしょといわんばかりの時間重力に逆らって空中にとどまっているから。
「ッギャ!」
穴の中へ落っこちてしまった。
...。
「グ...グ...グ...。」
と思ったらまさかまさかのよじ登ってきた。
確かに半径一メートルの穴、端っこに手を付けて腕の力だけで上がってくるのは、まあできないことではないとはいえの事。
「ぬ...ぬ...ぬぅ...!」
本人もよくわからないが、とりあえず抵抗はしてみる。
「ふぅーーー!」
結構頑張っている。
おかげでもう上半身の三分の二は見えてきたが。
ウィン。
「あ...。」
穴が広くなった。
「アァァァ...。」
流石の流石に落ちた。
読んでくれてありがとう。