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~幕間の物語 悪食 ~

「ぐっ…!」


「ロイドさ…ッ!…がっ!?」


ロイドとレイカが一人の男に吹き飛ばされる。

それも、まるでオモチャの人形のように。

ゴロゴロと二人は地を転がり、最後に彼らの背後にて様子を見ていたホープによって支え止められる。


ホープはいつもの「道化」の姿ではなく。

「かつてその身に纏って旅をしていた頃」の装備に身を包んでいた。


そして彼の視線は静かに二人を吹き飛ばした者へと向かっていた。


「まさか、貴方のような方が"彼"と同じ出身の者とは。」


呆れ気味にホープは口を開く。

そこから出た言葉は軽蔑と怒り。その両方が混じっていた。


「うるさいよ。だってこれは"ゲーム"だ。僕は好きなようにやって、好きなように世界を征服するんだ!モブは黙って僕の経験値になれよ。」


ホープ達が相対しているのは"子供"。

12~13程か。全てにおいて未熟そうなその少年の発言からは"幼さ"や"愚かさ"が滲み出ている。


歪んだ笑みを浮かべながら少年は、自らが手に携える剣を振り上げる。すると、その刀身に禍々しく邪悪な気が発生する。


「あはははははは!お前ら終わりだぁぁぁぁ!」



狂った笑い声を上げながら、少年は剣を振り下ろし、3人を無き者にしようとする。



がー



「…失礼ですが、終わるのは貴方です。」


「へっ…?」


そのホープの言葉の後。


少年の視界は"真っ二つ"に割れた。


「ギャァァァァアアァアッ!」









(時遡り、少年の始まり)



~聖魔境国セレスト~



この国はホープ達の居る国とは違い、人と魔物の争いが頻繁に繰り広げられている。


争いの火種は大体セレストの地に古くから住み着いている多くの「悪霊」や「魔霊」である。


セレストの地に暮らす人々はそれに対抗するため、悪霊達と同様に、古くからセレストに存在している多くの精霊等から協力を得ながら、己達の手で様々な魔法を作り上げる。


この魔法を人々は悪霊達への対抗策とした。


セレストで生まれた魔法の威力はどれも凄まじく、強力な力を有する悪霊や魔霊と十分に渡り合えるものである。 


故に、セレストの人々は年々彼らへの恐怖や脅威の念を忘れていくこととなる。


だが、順調こそ崩壊の前兆と言うものか。


セレストは"ある過ち"から崩れることになる。




少年は通り魔によって理不尽にも命を落とす。


が、その死と同時。

暗い視界に現れた清らかな光によって魂を導かれる。


少年は何を思ったのか、慌ててそれを追いかける。


「ん…。んぅ…ここは…」


目が覚める。

目が覚めた少年は辺りを見渡す。


そこは美しく、壮大なステンドグラスの窓が一面に張られた綺麗な場所。そして周りにはゲームで見るような"僧侶"とか"魔法使い"みたいな服を着た者達が自分を囲むようにして立っていた。


「おお、遂に成功したぞ!」


一人が歓喜の口を開いた。


「これが勇者か。子供だが成功したのは確かだろう!これで我々は長きに渡る戦いに終止符を打てる!」


そしてそれに続いて一人。


「やった!やったぞ!」


また一人。


「もう安心だ!」


また一人。


この時、まだ少年は周りの状況が飲み込めず、そのまま案内されるまま、事を話されるまま、流れに流されるがままだった。


して、問題は此処からだった。


少年は自らが喚ばれた意味を伝えられた後、早速悪霊共との戦いへと駆り出される。


結果は完勝。

気が付けば自らの圧倒的な力で目の前の敵を一掃していた。


かつ、彼は気が付いた。


敵を倒せば倒す程、自分が強くなることに。


「殺した者の出来ることが出来る」ようになっていることを。


喚ばれた際に出来るようになったのか。だがそんなもの今はどうでもいい。


"まるでゲームのよう"だ。と。


そして少年は思った。


「あの時僕がされたことを、今の僕なら簡単に出来るかもしれない。」


少年は此処で狂う。


「何故だ!?何故!ギャァ!」


「ウソよ!こんなぁっ!」


悪道に走る事になる。


殺して、殺して、殺した。


手始めに自分を喚んだ者達を。


次はそこに居合わせていた者達を。


次は


「ギャァ」


次は


「ガハッ…」


次は

ーグジャッー

次は

ーグヂャッ!ー

次は

次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次は次次次次次次次次次次次次次次次次次次次次次次次次




殺した。


そしてその感想。


「楽しい」


その場の異常を察して素早く逃げた者達以外、彼は皆殺しにした。


赤く。血に染まった戦場。

その中心にはヘラヘラと笑う"外道"。

何もかもを自分の欲の為に"食い物"とした怪物。


「へひゃっ!へはっ!うぇははははひゃはははははぁはぁぁぁっはぁっはははは!」


彼は人の恐怖を、悲鳴を自らの"ゲーム"とした。





これはまだ邂逅へと至るには遠い物語。


…続く

幕間の物語 ~悪食~


彼の名前は登場する時に明かします。


奴は結構鬼畜です。

ですが確実に罰は受けてもらいましょう。

その時までは長くなりますがお待ちください。

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