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~雪花来訪~


月夜。


風は冷たく。星は満天に満ちる。


そしてそんな月夜の元に草花が生い茂る草原。

そこには4人の冒険者が居た。


「いやぁ。今回も大勝だったな!」


と、周りの三人より少し大柄な男がリーダーと思わしき青年の背中を右手で叩く。


ーガチャンー


男のそれで、青年の鎧が鳴く。


「いっ!?痛いですよっ!確かに今回の冒険は儲けが大きく、結果も上々でしたけど!なんでそんなに背中を叩くんですかぁ!」


背中を叩かれた青年は叩かれた背中を気にしながら男に少し怒り気味に言葉を放つ。



その隣では銀髪蒼眼の騎士の少女が、もう一人のメンバーである魔導士の女性と共に、男と青年のやり取りを見ながらクスクスと笑う。



平和な夜。

ふと騎士の少女は言葉を溢した。


「こう言う日常が、ずっと続くと良いですね。」



……







こんにちは。レイカです。


はい?何やら前置きみたいなのがあった。ですか?

さぁ?私にはちょっとそう言うのは分かりかねます。もし、皆さんが私と違ってその前置きみたいなものを聴いたり、見ていたりしたのなら。


多分。

それはつかの間の夢だと思います。

それか…これから起こるかもしれない何かの前触れ?か。


「ふむ…。ビックラーの甲羅とゼルノーズの花弁が足りなくなりそうですね。」


取り敢えず、現在(いま)の状況をいつも通りに話しますね。


現在、ホープさんは帽子を作るのに必要な素材とその残数とにらめっこをしている真っ最中。私が士官学校の訓練と課題を終え、お店に来た時から既にブツブツと喋りながら店内を歩き回っています。


しかも、今回は「私服」で店内に居る。


は?

「いつものピエロ姿」が彼の「私服」ではないのか。ですか?いや、それは第一話であったでしょう!もし知らないのであればお教えしますので第一話にお願いします!


ともかく、今日のホープさんは真面目そのものと言う、オーラが出ている…。と言うわけです。


「…レイカさん。何故珍しくピエロの姿をしていないのか。と思ってませんか?」


と、ホープは突然レイカに言葉を投げかける。


「は、はい。何でですか?それに私が来た時からずぅ~っとアレコレ数量管理とかして。いつもは「その場の気分とノリで行きましょうかぁ~っ♪」とかふざけながら無視してるのに。」


「……何か、嫌な予感がするので」


「嫌な予感?」


うん。私はホープさんの提案とか普段の行動とか、そもそも出会った時から既にその「嫌な予感」じみたものは味わっているのだけれど。


「何か…こう、ですね。例えるならば…あー。そう。真冬の荒れた海のど真ん中。船で航海中に海竜に襲われ船が転覆。寒く冷たい海の中に放り出されるみたいな。そんな悪寒を感じるのです。」


「な、なんか酷く物騒と言うか。恐ろしいですね。その例えからして。」


しかし、確かに。

こうして話しているホープさんの顔をよーく見ると。かなり青くなっている。更には時々、歯をカチカチと鳴らしていたりしてる。私にはよく分からないが、ホープさんは何かを予期して、その何かを恐れているんだ。


「あぁぁ…こう言う時、ロイドさんとか、そう言う人。冒険者さんが居たらすぐにでも頼ー」


「呼びましたか!」


ホープさんの独り言に反応したのは私ではない。

他の誰かの声だ。でも、知らないわけではない。


少し前に聞いたことのある声が外から聞こえた。


「はい?」


ホープさんもその声に聞き覚えがあるのか、元々青くなっていた顔に新しく「ひきつる」が追加された。どうやら先程から気にしていた「嫌な予感」「悪寒」の原因が本当に来たらしい。


ーバンッ!ー


そして扉は開かれた。


「今日は居ますね。クロウ。」


「あ、ああ…来てしまった…バレてしまった…此処がっ!」


ああ、やっぱり。

入ってきたのは銀髪の女騎士。名前はそう…


「スノウさん。いらっしゃいませ!」


…「レイス=スノウリッタ」。数日前に私が店番をしていた時に此処へ訪れた人だ。


「まさか、パーティーを解散してから連絡が取れないと思っていたら…帽子屋になってるとは。」


スノウさんは見せに入ってくるや否や、大きく溜め息を突きながらホープさんの目の前まで早歩きでやって来た。


「…ど、どうもぉ?」


歩いて距離を詰めてきた相手にカタカタと震えながら両手を前にして「それ以上は」と意思表示をするホープさん。


珍しい。本当にビクビクしてる。


しかし、スノウさんはそんなビクつくホープさんのことは気にせず。あっさりとホープさんの目の前に立った。


「何で。」


「……」


「何で。あんなに楽しんでた冒険者を辞めたんですか。クロウ。」



え。冒険者?ホープさんが?

驚く私を置いて、スノウさんはもう一度「何故」と言葉を続けた。そんなスノウさんの様子は少し寂しそうに見て取れた。


「それは、言えません。」


対するホープさん。

何かあったのは恐らくとして、スノウさんの質問に答えたくないのか。質問を拒否した。


「.......」


その後。総員少し沈黙。


だが、その沈黙に耐えきれず、私は此処で口を出した。


「あの。ホープさんが冒険者だったって…本当なんですか…?」


内容は以上だ。

いきなりだったから頭がそこまで回らなかったのもあるが、それ以前にホープさんが元冒険者だったと言うのが、地味にショックだった。でも、このままでもあれだし、気まずい沈黙回避として言葉を出した。


スノウさんの返答は「その通り」だった。


「マジですか。」


「マジです。ギルドなどは無く。基本はPTでしか活動せず。本当にどの組織にも所属していないものの、冒険者達の集まりの何処よりも稼いでたものよ。それに、そこのホープ。元は私の居たパーティーのリーダーだったのよ?」


「ならなんだってそんな変な格好で帽子屋なんてやってるんですか。」


「....」


ホープさんは肩をすくめて頭を掻いた後、さもめんどくさそうな顔をする。本当に話したくは無いらしい。かなり嫌そうだ。


「それを話すにはまだ必要なものがありません。」


ホープさんはそう言ってスノウさんに背を向け、またブツブツと呟きながらカウンターへ戻るとダンと肘をソコに突き、頬杖を始めた。


「それは、なんなんですか。」


と、カウンターへ頬杖を突いたホープさんにスノウさんは問いかける。


「まずは何か買ってもらえます?」


少し不満そうに返すホープさん。

スノウさんは「その前に」と反抗しようとしたが、


「お店で情報を聞くにはその分の対価とマナーと言うものがあるんですよ。スノウさん。」


としかホープさんは返さなかった。


でも、確かにお店としては情報を渡す前に何かを買ってもらうと言うのはよくある。実際、此処から近くの商店街の果物屋とか。そこら辺に来た冒険者さん達はまず何か一つ買っている。


まぁ、普段のホープさんはこう言うことはしなかったが。


それだけ話したくないのか。


「分かりました。では何かしら買いますよ。」



…取り敢えず。

スノウさんは帽子を買うことに決めた。



その後はなんと言うか、言うに表しにくい空気だった。元々威圧感のしていたスノウさんはともかくとして、ふて腐れた様な態度を取り続けるホープさん。


(気まずい…)


私はその空気に、

漬け物石に押さえられた樽の中のきゅうりみたいに押し潰されそうになっていた。


それに


「「チッ」」


こうやってたまに二人が舌打ちをしあっている。


やりにくいし居づらいに決まってるだろう。


だが此処は帽子屋。

これでもお店なのだ。どうにかしなければ。


「あの。スノウさん。」


まずはこの空気を生み出したスノウさんに話を聞いてみる。


「その…何か心当たりとか無いんですか?」


「心当たり…ですか?」


「はい。過去にスノウさんとホープさん達が何をしていたのか。それが知りたいと思って。」


聞くと言っても帽子の事ではなく、過去についてだ。ホープさんはそもそも話す気は無いだろうし、ならばその仲間だったと言うスノウさんから聞き出す方が余程効率が良い。


それに、何故過去の話を嫌うのか。スノウさんから話を聞ければそこも分かるはずだ。


「要するに冒険の話を聞きたい。ですか。」


「はい。」


「長くなると思いますよ。」


「…どのくらいでしょうか。」


「私たちが子供から大人になるまで。大体10年くらいの期間冒険してましたからね…。話すにも日を要するのではないかと。」


流石に難しい。か

それに、そこまで話してもらうとなるとスノウさんが疲れてしまうのは明白だ。


「うーん…」


私は唸った。


「はぁ。では長くなりそうな話をするスノウさんにはこれがお似合いかと思います。」


どうするか悩む私と何処から話そうかを考えていたスノウさんに呆れたのか、ホープさんはカウンター付近の棚から一つの帽子を持ってきた。


「なんですかこれ。バイキングがよく被ってるやつ?」


その帽子はいまの私の言葉の通りのデザインをしていた。左右から2つ。角の生えた丸い帽子。正面の真ん中にはカメラのレンズみたいなものが付いている。


私とスノウさんはこの帽子を見て、お互いの顔を見る。


「ヘンテコというか…これ。」


「似合わないですよね。鎧の上にこれとか。仮にレイカさんが被ったとしても制服とこれは流石に無いと思いますが…。クロウ。」


「2000Gです。」


「話聞いてますかっ!?」



(しぶしぶなれどスノウさん、帽子お買い上げ中)



「そちら、「思いダストン帽」です。」


こうして、スノウさんが帽子を買った後に。

ホープさんはようやく帽子についてを話し始める。

(と言うか、買った後に名前と機能の説明って酷すぎやしませんかね。ホープさん。)


「こちらの「思いダストン帽」はその名前の通り、被った人の「記憶を思い出させる」機能があります。さらに。その思い出したモノ。はたまた大切な思い出。それらをそのレンズから映像としてそのまま見ることが出来る「記憶映写」機能がついてます。」


「.......」


今さらだけど。


何気に凄いの作ってるよね。ホープさんって。

ネーミングは相変わらずだけど作っているものはどれもしっかりと役に立つ帽子だし。と。それはともかく。要するにこれでスノウさんの記憶を映像として見れるようになるわけだ。


「よいしょ…」


スノウさんは思いダストン帽を被る。


すると、何やらメニュー画面みたいなものが開いた。DVDとかの画面みたいなやつ。


「め、メニューですかこれ。」


「はい。そこで見たい記憶や思い出を選択して見るんです。選択の仕方は自分で"考えて"選ぶか、帽子の角、どちらかを回して選び、角を押し込むと決定。再生します。」


自動選択と手動選択に対応かぁ。

地味に作り込んでるなぁ…。


ーブゥンー


ひとまず、スノウさんは「冒険の記憶」を選択して再生してくれた。


映像が流れる。森だろうか。鬱蒼とした雰囲気で、黒い霧みたいなモヤが見え…。んん?あれ、此処って


「死神森ですか?これ。」


「おや。レイカさんも行ったことがあるんですか?」


案の定。この前行った場所だった。

と言うか、映像にしても私からすれば楽だけど、皆さんからしたら凄く長くなりそうです。



…続く

眠い目を擦りながら最初の方を書いてますのでなに書いてるか分からん。

(おいおい)


ちなみに思いダストン帽はドラ○エのダストンキャップみたいなやつを想像してもらえば。


取り敢えず、

この続きは近い内に出します。

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