~腐臭ただよう嫌な夜~
フクロウ)「ホー」
ー夜ー
(ホープ&レイカパーティー)
レ)「……………」
私は辿り着いた村の宿、その一室を借りてベッドで横になっていた。
此処に入ってまだそこまで時間は経っていないけれど、何もない分時間はのんびりと、長く。とても長く感じる。
カチ…カチ…カチ…
部屋の壁にかけてある時計が静かに、かつ堅苦しいリズムで時を刻む。
レ)「…ふっ…ん…と。」
体勢を変え天井を見る。
吊るされた明かりに虫が一匹。ヒラヒラとたかっているのが目に入る。
虫。
どうせ何も考えないでただ目に入った光をひたすら追いかけ回しているだけなのだろう。
夜の沈黙の中、静かな部屋で飛び回る虫に少し恨めしさを覚える。
が。
虫は虫。私が考えていることなんて分かるわけがないだろうし、一瞬鬱陶しいと言われたとしても彼らはさして気にするということはないのだろう。
虫だけに無視をされて終わり。
さて、と。
こんばんは。
いつもの私です。レイカです。
前述の通り、今は着いた宿で
レ)「うぁー。」
こんな感じにだらけながら時間を過ごしている感じです。
え?ホープさんは?
そりゃあ、別室に居ますとも。
何でも
(1時間前、宿の廊下にて。)
レ)「あの、何で2つ部屋を頼むんですか?私たちの場合数は少ないし、異性とかとは言えわざわざ人数を割くのは有事の際に危ない気がするんですけど…。」
ホ)「いえ。逆に個々に分ける方が我々の場合安全と考えまして。理由は、そうですねぇ。敵地があるとは言え人目に着くのは私たちのみならず彼方も同じですので、仮にこの村の住人がグルである場合を除いてになりますが派手な行動は取りにくいでしょう。一先ず固まり過ぎず、一室にて一網打尽やらされないように別々で行動するとしましょう。」
(ーそして現在ー)
と。言うわけで。
私はこうして1人一室を借りることになったわけです。
レ)「じー。」
窓を除いてみても今のところそとにこれと言った変化は無し。この国の状態はそもそもあれだが、何事もなく平和そのもの…ではないのだけど平和だ。
そう言えば、今頃ロイドさん達は何処で何をしているんだろうか。一応スマホで連絡は取れるはずだし、メッセージを此方から送ってみようかな?
そう思い、私はスマホを取り出してチャットツールを開く。開かれたツール画面にはロイドさん含む、私がこれまでに出会ってきた人達が一覧にいる。
レ)「…………」
ただ黙ってスマホの画面を動かし、ロイドさんのプロフィールを出す。「通話」、「トーク」。これらに移動するためのアイコンが出てくる。
しかし、そこまで動かしておきながらそれらに触れて使うのは…しない。
リスクがあるからだ。
こう言う道具は此方の都合が良くても彼方の都合が悪ければ場合によってその相手の足を引っ張ってしまう可能性がある。
あっちが万一に戦いの真っ最中であれば、出られるわけがないし、集中を妨害してしまう。
レ)「あー!やめやめ!寝よ!」
ダメ。もう疲れる。
色々考えるのはよそう。
私はベッドの毛布に入って身を丸め、頭には枕を被せる容量で乗せ、目を閉じる。
レ)「……」
そして、私は数分もしない内に意識が落ち、眠りへと入っていく。一直線に地面へ落下するボールのように。
(午前0時)
ホ)「さて。レイカさんは寝たようですし?そろそろ私の1人作戦の開始ですかね。」
ホープは寝静まった村の入り口で両腕を組んでその場に立っていた。どのくらい立っていたのかと言うと宿を取り、部屋を決めてレイカがそこに入ってからすぐだ。
要するに
軽く数時間ほど村の入り口で陣取っている。
端から見ればただの不審者だ。
実際常になのだが。
ホ)「ふむ。村に近づいてきた時分からずっと臭いはしてるんですがね。どうしてこうも何もないのか。」
辺りを見回し、再度何かに警戒をするように目を細め、村の外を見据える。
だが、視線の先を見て、それを続けても生暖かい風が隣を吹き抜けていくだけ。
ホ)「………なんだったか。これは…こう言うのは。」
違和感に対してまだ手がかりの手の字すら浮かばないこの状況に苛立ちと万一の事態への焦りが思考を巡り、それに電波するように体を震わせる。
ホ)「くそっ。何度か訪れた地とは言え敵地になった瞬間こうも面倒なことになるか!」
ーガン!ー
イライラと言葉を発し、普段は見せない癇癪を一人起こして村の入り口の門に蹴りを入れた。
その時だった。
蹴った所が僅かに揺らいだ。
そして絵本に出来た虫食いの痕の様な小さな穴が空間に空き、次のページが覗けるようになったように、その奥には少しばかり明るい壁が現れる。
ホ)「これは…。」
何かを感じると同時、その綻びの縁に手を添え掴む。
ホ)「ふっ……ぐ……っ………!おぅらぁぁぁぁ!」
ービリ…ビリビリビリビリッ!ー
まるで乾いた布を破るように。
ノートの一ページを破り取るように。
それを一気に引き剥がし、抉じ開け、中を明らかにする。
ホ)「……………!」
ードンドンドンドンー
何だろう。
部屋の扉を乱暴に叩く音がする。
眠りから無理矢理起こされた私はのそのそとその身を動かしながら扉のノブへ手をかける。
ーガチガチッー
ああ。
そう言えば鍵をかけていたんだった。
鍵を開けていなければ内側からだって扉は開くわけがないじゃないか。
鍵を開けるひねりに手を伸ばす。
鍵がー
ホ)「どらぁぁぁぁっ!」
鍵が私によって開けられようとした瞬間。
ホープさんが怒号と一緒に部屋の窓を蹴破って入ってきた。
レ)「うわっ!?な、どうしたんですか!?」
ホ)「後で話します。取りあえずすぐにドアから離れてください!ほら!」
レ)「え?」
ーバキッー
外側から強く叩かれドアが乾いた音を立てながら、顔一つくらいの穴を空けて壊れた。
壊れたドアの穴からおどろおどろしい顔がこちらを覗く。
?)「ヴァァァァァ」
レ)「ちょっ。これまさか…」
ホ)「イェース!ゾーンビッ!」
レ)「ゾンビっ!?」
ゾンビ)「ヴァァァァァッホホホホォォオオオw」
レ)「何か笑ってるみたいですけど、なんで宿にゾンビが!」
ホ)「いやはや驚きましたよ。私もついさっきくらいにコレに気付いたんですから。最初から騙されてた事に。ね。」
レ)「はぁ!?」
ホ)「部屋を取ってから私は外に出ていまして。ま、理由としては"臭い"からです。」
レ)「臭い…?それ、もしかして腐臭とかそう言う類いのものですか?」
ゾンビ)「うぼぉぇへーっへっへっへっ……ぼぎゃ!」
此処でようやく。
ホープさんはさっきから会話のとなりで笑っている変なゾンビに重いパンチをノールックでかます。
廊下へ吹き飛び、壁にものが激突する音が響く。
そして、ゾンビを殴り飛ばした当の本人は何事もなかったように話を続ける。
ホ)「ええ。最初に考えていた「村全体がグル」が妙な形で起こっていたようで。」
レ)「妙な形?」
ホ)「最初から在って無いようなものだったんですよ。此処は。」
レ)「……えっと?」
ホ)「まずは上へ。大軍を迎え撃つなら敢えて範囲が限定され侵入していくルートも予想が出来るところの方がいい。早く!」
ホープさんの発言に続いてドタドタとたくさんの足音が下から上がってくるのが聴こえてくる。
レ)「は、はい!」
私たちは部屋を後に、階段を一気に駆け上がっていく。こうして、私、私たちの長い夜が始まる。
…続く。
お久しぶりです。
ここ最近仕事が多く書くペースがかなり遅くなってしまいました。多分これからもしばらく。
次回の目処は…正直つきません!
本当に申し訳ないです。




