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~曇天の下で曇る心~


ー夜ー


パチパチと乾いた音を立てながら集めてきた枝達が燃え、辺りに光と熱を撒く。


そしてその周囲を囲むように、4人は各々用意した椅子代わり物を置いて腰を下ろしていた。森の中、だだっ広いこの場所、焚き火を囲んでただ静かに。


「おぉぉぉ……ん」


辺りが静かなので、遠くに居る魔物の声すら響いて聴こえてくる。無論、焚き火から出る音も、耳には大きい音の様に聴こえてくる。


とは言っても、焚き火の音は周囲に居る彼らしか聴こえないだろうが。何せキャンプファイヤーのようには大きいものではないのだから。



ロ)「静かですね。夜の森って。何かこうしてると高校時代とかで行った林間学校とか思い出しちゃうなぁ。」


静かさに何か不安を覚えたかのように、ロイドが口を開いた。


ス)「林間学校…?」


聞き慣れない言葉を発した彼へ。

スノウを始めとする他三人の視線が集まる。


ロ)「あ。林間学校って言うのは…。確か数日間学年全員で森とか山の麓とかにある施設に行って自然とかについて学ぶ行事で…」


ス)「要するに遠征とかそう言うの?」


ロ)「うーん。まぁ。」


ス)「森に行って実戦を兼ねた魔物の討伐訓練とか…野営とか。」


ロ)「俺の居た世界には魔物は居ませんよ…。けど、方向性は合ってるのかな?取りあえず、草花について調べたり、森や山を歩いて回ったりして。夜は学年全員で集まってキャンプファイヤーをしたりする感じです。っても、前の事だしあんまり覚えてないんですけどね。」


セ)「森の中、大人数でお祭りみたいなことをするんですね~。何だか楽しそうです~。」


ロ)「そこは人によるかもですけど、俺は楽しかったですよ!」


サ)「……でも。私達が今やってるこの会話もそれっぽいよね。囲んでるのはキャンプファイヤーとか…そう言うのじゃないけど。」


サンドラがポツリと呟く。

その言葉にその場で話していた4人は顔を見合わせ「あ」と声を漏らして笑う。



と。此処からは俺が話すとして。

俺達はしばらく今みたいな感じで話していたんです。主に俺の過去の話とか、俺の世界には何があるのか。とか。そう言うものをしてたんです。


で。

しばらくそれが続いて夜が完全に更けた頃。


サ)「ところで…」


ロ)「ん?」


サ)「ロイドと私が家から出ようとした時…何で鍵が閉まってたんだろう。」


サンドラがあの洋館の玄関の鍵についてを持ち出してきた。


ロ)「あ。そう言えば…確かに。テンプレ過ぎてうっかり忘れてた。」


我ながらうっかりどころかマヌケな答えだ。

そんな間抜けな答えを俺はサンドラに返し、彼女の方を見て「気になる?」と続ける。


サンドラはそれに対し首を縦に振り


サ)「気にならないわけないじゃん。むしろそれを気にしてなかったって言うのがむしろ不思議過ぎるわ。」


俺にツッコんできた。


ロ)「はい…。ごもっともです……。」


ド中のド正論。投げられた言葉。

それを素直に受け止めるしか出来ない俺に

「頼りになるのかならないのか…」

何て言いながら軽い苦笑してサンドラは腰掛けていた椅子から立ち上がった。


サ)「スノウのお陰で今こうして出て焚き火を囲んでいるけど、普通なら洋館を探さないと解決しないものよね。あれ。」


ロ)「……まぁ。勝手に玄関のドアが開かなくなるのは普通に有り得ないし、何かあるのは確実だよね。」


セ)「そもそも、ロイドさんが居るか確証もないのに洋館の玄関を正面から結界ごと破壊するのもどうかと思いますけどね~。」


ロ&サ)「……?」


ス)「あ、あれは…普通に飛ばした先に在ったこの森に入って、掻き分けられた草木の痕跡を辿って着いた所が此処だっただけで…。そこで結界が張られてるなら……何かあると思うでしょう…。」


ロ&サ)「「ちょっと待った!」」


ス)「?」


ロ)「えっと…その。結界って?」


セ)「いけないいけない。お話し忘れてました~。てへ。」


サ)「……はぁ。報連相のほの字もないって。新入りの私でも不安になるわ…この先。ともかく。それについて聞いてもいい?主に結界の構造とか分かる限りで良いから。」


サンドラの頼みにセリスさんは笑顔でやんわりとした返事で答え、1つ呼吸をした後、真剣な趣で話を始めた。


セ)「此処に来た時の話は既にスノウさんが仰っていた通り。ロイドさんが飛んでいった方角へ走って居たところ、この森に着き…その先にあった痕跡を辿って私達はこの洋館に着いたわけですが…。目にした瞬間僅かながらに"歪み"を感じまして。」


ロ)「歪み?」


セ)「はい。歪みと言うのは空間魔法を用いて術者が指定した場所を遮断…もしくは封印したりした際に発生するものでして。これは魔法によって生じる魔力の壁が周りの空間を内側から押し出し、逆に壁より外の空間は壁の内側に向かっていこうとする。この時、何でしょうか…例えると"油と水を同じコップに入れた時に出来る境界"を側面から見る感じとか、"両手を合わせてお互い押し続ける"感じでしょうか。此処に来た際、僅かながらにこの洋館の周りが揺らいでいるように見えた…と言うことです。」


ロ)「えっと…」


セ)「つまり、洋館の周りの空気が少し変だった。みたいな感じです。」


ロ)「……わ、分からない…。」


ス)「無理もないわ。空間魔法は他の属性魔法とかと言ったモノよりも複雑だもの。」


サ)「今は空間魔法について詳しく説明するのは置いておいて。その結界、作られたのは内部からのものか、外部からのものかって言うのは分かりますか?」


セ)「分かります。」


サ)「本当?ならそれを」


セ)「結界は洋館の外部から張られていました。種類的には禁固の類い。禁固程度であれば脆いですし、殴って破壊するのも容易ですからね。それに、張るのも時間はかかりませんからロイドさんがあれの奥でサンドラさんと出会って怪物と交戦になるところで容易が出来る筈。」


サ)「つまり…誰かが私達のことを見てたってことになるわけか…ありがとう。」


セ)「いえいえ~」


ロ)「………………」


見てた。と言うよりは俺が跡をつけられていた。

と言うことだろう。思い返せば跡をつけられる位の隙は既に見当が着くくらいにはしている。挙げるならこの森に着いた時とか。この洋館に来た時。


俺は頭の中で考えを巡らせながら、先まで自分達が居た館に視線を送る。2階の窓から黒いアイツがのそのそと歩いているのが見えた。


セ)「ひとまずスノウさんが空けた穴は修復しておきましたので、彼らが出てくる事はそうそうないと思います~。」


洋館に視線を送り、中を気にしている俺が気になったのか、セリスさんが玄関はもう大丈夫と教えてくれた。


見ると、うん。確かに玄関は直っている。


それもピカピカに。


………………。


俺は悩む。

何にと言うと、やはり今見ているこれだ。

閉じ込められたことと言い、あの怪物と言い。此処には何かがある。元々はサンドラの家だが、もしかしたら住んでいた彼女すら知らない事が出てくる可能性は十分ある。


正直調べない訳にはいかないだろう。


だけど、それに反して俺達には時間が無いのも事実。此処でいつまでも時間を潰してしまうと合流がズレる。


……どうするか。

俺は洋館から視線を焚き火に移し、炎を見つめながらこの先の行動を考えるのだった。






(一方、少しばかり時は遡り夕暮れ時。レイカ&ホープサイド)


ロイド達が森で行動、合流を果たした頃。

ホープ達は渓谷地帯を抜け、その先の村に足を踏み入れていた。


ホ)「大方、覚悟は出来ていましたが……やはりこうなっていましたか。」


レ)「…………」


しかし。

そこは既に荒れ果て、人々の活気など無く。

道行く者は誰もが顔に暗い影を落としていた。


と。言うわけで


お久しぶりです。レイカです。

何かこれを言うのも大分久しぶりな気がするなぁ。


…あ。そんなことより。

現在私とホープさんの二人はあの渓谷を出て村に来たわけなんですけど…。


ホ)「建物も所々破壊されているものが在りますねぇ。魔物対策の結界も半壊と言うか、見事に破壊されてるじゃないですか。」


今若干めんどくさそうに愚痴を溢したホープさんの言う通り。此処は敵の攻撃を受けたのかボロボロでした。


幸い、人は居るものの…


村人)「……」


見ての通り。

皆さん生気が無く、物凄く静かに歩いているだけ。


様子を見ていて気が滅入る、と言うか……辛い。


ホ)「ほら。何してるんですかレイカさん。宿はすぐそこですし早く行きますよ。」


レ)「は、はい…っ!」


周りの空気に当てられ、自分も気が落ち込んでいた私にホープさんが声をかけ、先に行こうと催促を送る。私は慌てて先を歩くホープさんの背中を追いかけ村の奥へと入っていくのでした。


ホ)「やれやれ……何やら嫌な臭いがしますし。あーやだやだ。」


同時、ボソボソと彼が何かを呟くのを感じながら。





……続く

37.7℃の発熱。

またやらかしました…。少し休憩がてら今回は予定押し込み短めです。すみません。


32話はいつも通り水曜日くらいから…かな?


ひとまずこれを読んでくれている人達はどうか体調お気をつけてください。

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