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~談笑、転送、行動開始~


(帽子の希望屋 店内)


セリス)「これで大丈夫なはずです。」


と、セリスさんは自身が書き出した魔法陣の前で口にする。


その魔法陣の前には、先に言葉を口にしたセリスさんを始めにして、私とホープさん。ロイドさんにスノウさん。計5人が立つ。


ロ)「よっし!ようやくって感じですね!」


ス)「気合い十分。と言った感じね。けど今から行くのは敵の本拠地のある島よ。油断をしていれば命を落とすわ。」


ロ)「は、はい!気を付けます!」


セ)「とは言え島で一番危険な魔物が少ない、安全な最南端にワープしますから、そこまで肩肘張る必要はありませんよ~。」


ス)「あ。そ、そうなの?」


セ)「ええ。」


ホ)「プッ。アホのメスゴリラ。」


ス)「クロウ…貴方は…。」


転移用の魔法陣で私を除く4人は賑やかに会話をする。この様子を見て、これからの事を考えると…"緊張感が無い"。と言うのが普通だろう。だけど、緊張感が無いと言うのは間違いだ。彼らの話している何気無い会話は"緊張感"ゆえなのだ。


何故?ですか。


それは、まだ戦いを知らない私が言うのはあれだが、戦場…特に敵陣ではいつこの場に居る者の誰かが命を落とすか分からない。いくら蘇生が出来る世の中とは言え、死ぬかもしれないのだ。


レ)「……」


慣れている人だとしても、そうじゃない人だとしても。話の一つや二つくらい"普通"の話くらいしておきたいだろう。


ロ)「レイカさん。」


レ)「うわっ!?」


しまった。

考え事に集中し過ぎてつい黙り込んだままだった。それを心配されたのか、ロイドさんに声をかけられてしまった。


レ)「あ。えっと。何でしょうっ?」


急に話しかけられたの最後らへんのところで少し声が高くなってしまった…。


ロ)「……」


いきなり声が高くなったのに驚いたのか、ロイドさんは目を丸くしている。


いや、本当心配をかけた上に驚かせてしまって申し訳ないです…。ごめんなさい。


そんな意味を込めて、私は


レ)「あ、あぁははは…はは…」


苦笑いをして彼の方を見る。


ロ)「その、何か考えてました?」


レ)「あっ。えっと…その。皆談笑してるなぁ…とか、まぁそんな。うん。そんな感じです!」


ロ)「まぁ、俺の場合は緊張を誤魔化す意味もありますけどね。何より、事が事…ですし。流石にただそれを倒すって訳にはいかないと思うんで。」


苦笑いで誤魔化す私に、ロイドさんは素直に今の心境を伝えてきた。それと同時、ロイドさんは自分の事を「ちょっとビビリなのかも」と溢し、申し訳なさそうに笑った。


同じような立場、何よりもしかしたら"自分と同じ所で死んだ"人間かもしれない。それがこうして悪道へ身を投じたのであれば尚更、気分的に落ち着かないのだろう。彼の笑顔はいつも通りのモノに見えて、何処か張り付けたような顔にも見えた。


レ)「…私も行きますけど。その。あんまり無理とかしないでくださいね。」


ロ)「勿論。うん。勿論。」


レ)「何で二回も…。」


ロ)「あっ。えっとー。ホラあれですよ、何か感慨深いな~とか思っちゃって…。そう、心配してくれる人が居るのって……いいなって。」


レ)「…何ですかソレ。まるで親が居る子供みたいな。私、別にロイドさんのお母さんとかじゃないですからね~?」


ロ)「ははは!別にそういうので言ってたんじゃじゃ無いですけどね!全くレイカさんは意地悪だなぁ!」


二人)「「あはははははは!」」




そうして二人が笑う様子を見るのはホープとスノウ、セリスの三人。


三人は何処か懐かしいものを見るような眼差しで彼らを見ていた。


ホ)「準備が出来てほんの少し余裕が出来たのでこうして自由時間を設けたわけですが。初めての冒険の前だと言うのにああして二人で笑っていられるのは中々見所がありますねぇ。何と言うか、彼のことを思い出してしまう。」


ス)「ああ、彼ですか。あの豪快戦士。」


セ)「ライオさんですね~。彼は何事も挑戦あるのみだ~って笑いながら色んな所に首突っ込んでましたよね~。」


ス)「そうそう。すごく元気なマッチョでしたよね。当時の彼のテンションは今のクロウといい勝負。とは言え彼の今は知りませんが。」


ホ)「失礼な。私はあんな豪快で脳筋で快男児じみた男じゃないですよ。それにテンションが高いのは店を開ける時限定なんですよ?私は。その証拠に昔冒険してた時の装備引っ張り出してきてるんですよ?」


そう言うとクロウはかつて身に付けていた蒼い外套の付いた魔導の鎧を身に付け私に見せてきた。


ス)「あ。」


ホ)「あ。て。今更気付いたのかよ脳筋バカメスゴリラ。」


ス)「メ…メスゴっ…!? このっクロウ!」


セ)「まぁまぁ~。」


今更気が付いたのは私の落ち度とは言え、バカにされた此処で拳を上げてクロウを殴ろうとした私だったが、セリスが制止してくるので大人しく拳を下ろす。


そして、セリスは私を制止出来たことを確認すると、「そろそろ転送用意の最終調整をしてきます。」と言い残して部屋の奥に用意した陣の方へと向かっていった。


ホ)「……」


ス)「なんで急に黙ってるんですか。貴方らしくもない。」


ホ)「うるさいゴリラ。ちょっと考え事してるんで黙っててもらえます?」


ス)「またそう…。もういいですけど。なに考えてるのかくらいは教えてくれても良いんじゃないかしら?」


ホ)「聞きます?」


クロウは冷めた顔で私を向き、私に話を聞くか否かを聞いてきた。


ス)「ええ。」


勿論ここはYES。話を聞くことにした。


ホ)「いや、セリスさんはともかく、何でスノウ(ゴリラ)なんて呼んだんだろうって思ってまして。」


ス)「は?」


ホ)「冗談。」


ス)「はぁ…。もう。で?何考えてるの?」


ホ)「いや。少し。」


ス)「少し。なに?」


ホ)「教会で出会った敵ですが…セリスさんの存在を知らずながらにも探していました。」


ス)「それってつまり、セリスを狙ってこの前の町に来てた事になるわよね?」


ホ)「ええ。ですので今回の動きはどう取るのが最善かを判断しようとしていたところでして。」


ス)「そういうこと…。うん。何となく把握したわ。それで、今のところの考えはどうなの?チーム分けして2つにでもするの?」


ホ)「それは最初に考えていましたが…正直レイカさんは先程の戦闘で敵に目をつけられ、私の方も相手が相手とは言え意識はされているはずなので……」


ス)「なら無難にレイカさんと貴方は別々にして私がレイカさんの面倒を。クロウはセリスとロイドくんとで組めばー」


いい。とまで言いかけた私の口をクロウがそっと手で塞ぐ。そして突然口を塞がれ驚く私に対し、彼は軽く笑って見せると


ホ)「やるからには奇襲ですよ。顔を知られている以上組むのは彼女と私の二人でしょう。」


…と、スラリと言葉を発した。


ス)「はぁ?わざわざ顔を知られているのにその二人で行くってこと?一度撃退してたとしても二度目は流石に対策組まれてる可能性の方が高いのに。もしされてたらそれこそ駄目じゃない。」


ホ)「ふっ。確かにそれもそうですが、当時敵を相手に動いていたのはレイカさんのみであり、私はサポートアイテムしか出していませんのでまず種はバレていない。私の対策はほぼ皆無であるから心配はしない。もしそもそもの相性が悪ければそこはアドリブで埋めるので今気にする問題ではない。」


ス)「それならそれでいいけど…それでもレイカさんはどうなの?話を聞いた時に結構大立ち回りをして出すものは出したとか言ってたけど。」


ホ)「やですねぇ。問題はソコじゃないんですよ。問題は「知られているか」」


ス)「?」


ホ)「なーに。向かう先はどうせ全員セレストなんですから。敵の知った顔だけが"正面"に立てば敵は私達に集中しますし。そうなればまさか別動隊が居るとか考えられなくなるはず。戦力をどれだけ割いてくるかは知りませんが、確実に注意がこっちに来る…。そしたら貴女方が入りやすくなるでしょう?」


ス)「要するに囮?」


ホ)「YES」


何ともまぁ決断が早いリーダーだ。

私は呆れながら「うまく行くはずですよ」と笑うクロウを見て笑い返す。


…「上手く」なんてまだ決まってもないのに。彼と居ると騒ぎながらも安心してしまう。10年以上の付き合いから来る慣れだろうか。この変なところで自信がある男への。


ス)「そうだ。ねぇクロウ。」


ホ)「ん?」


ス)「今度もし良かっ


セ)「みなさーん!転送場所の設定および調整終わりましたよ~。」


一同)「「!」」



自由時間が終わる。

私達はまた魔法陣の前に集まる。


セ)「はい。今から転送を開始します。飛ぶところはこのお店から北の大陸の最南端です。そこは魔物が少ない場所ではありますが、もしかしたら今回の討伐対象の手によって環境などが変化している可能性もありますので警戒をしてくださいね~。」


一同)「「了解!」」


セリスさんからの注意事項を聞き終え、私達は全員魔法陣の中に入る。最後に私が魔法陣に足を踏み入れた時、陣は大きな白い光を発しながらその機能を発揮した。





まばゆく身を包む光が消え、視界が変わる。

私は閉じていた目を開き、周囲の景色を確認する。

そこには


灰色の草原、紫色の川、不気味に変形した木々があった。更には薄緑色の霧が周囲を覆っている。


レ)「…此処は……」


初めて見る光景につい引き腰になる私。

そんな私の後ろから声がかけられた。セリスさんだ。


セ)「此処は北の大陸の最南端。「さまよえる霊魂の草原」です。」


レ)「何か…凄くおどろおどろしい所ですね…。」


セ)「ですね~。ですが~」


ホ)「此処は前に来た時と変わりませんねぇ。どうやら敵の手が着いてないらしい。ラッキーです。」


ス)「よし。皆、周囲確認が出来たなら、そろそろ行動開始。此処から二つにパーティーを分けてセレストに向かうから、クロウに内容を聞いて。」



こうして、私達のセレストへの冒険は始まった。

初めての事ばかりで肩に力が入って緊張しているが、皆が居る。


大丈夫。必ず目的を果たして皆でオルレニアの街に帰るんだ。


私は心の中で自分を発起させ、気合いを入れるのだった。




…続く

最近やりたいことが多くなってきて大変。

一つ一つ積み上げたいけどそう言うのは中々難しいですよね。


それはさておき、次は今週の土曜から書き始めます。予定では日曜日辺りに出す予定です。

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