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~嫌な予感は当たるもの~


レ)「はぁ…はぁ…っ!」


駆ける。駆ける。街を駆けていく。


嫌な予感は私の背中を押してくる。


学校の正門を出てしばらく。

私は広いオルレニアの街を走り、教会へと向かっていた。


曲がり角を抜け、商店街の外れの通りへと出る。


ホ)「おや?レイカさん、今日はー」


聞き覚えのある声が耳に届いたが、今はそれどころではない。適当に大声を上げて返事を返す。


レ)「ごめんなさい!話なら後で!」


ホ)「ちょっとぉっ!? ってそっー」


驚いたような声がして、それに続いて何か叫ばれたような気がしたが、既にそれなりに距離が開いたせいか。聞こえなかった。



(~街の教会~)


レ)「…ふぅ………。」


走りに走って目的地に辿り着いた。


私は走って乱れた息を整え、ゆっくりと教会の扉へと近付く。そして、そのままそれに手を伸ばした。


瞬間。


ーバチッー


レ)「イッタっ!?」


伸ばした手が扉に触れた時だった。

電気が走るような音と共に私の手にも痛みが走る。


レ)「何!?」


突然の事で何がなんだか分からないが、私は触れた扉に視線を向ける。すると、先ほど私を攻撃したのであろう電撃の残りが扉を這うようにして四散していった後、消えていった。


もう一度。と私は再度手を伸ばすが、「あまり良くない」と思い止まり代わりに石を扉に投げてみた。


ーバチッ!ー


レ)「!?」


嫌な予感の通り。投げた石は勢いよく弾き飛ばされてしまった。


レ)「結界…でもなんで?」


早速立ち往生を強いられる。

どうやら見る限り扉には結界が張られているらしい。無論。このままではいけないのは体で感じている為、私は剣で結界を攻撃してみる。しかし、これもまた効果は無し。刻一刻と時間は過ぎていく。


レ)「どうしよう…。」


ホ)「おぉ~い。ナーニシーテールーンデースーカー?」


レ)「!」


どうすることも出来ず、扉の前で立ち尽くしていた私に後ろから足音と共にホープさんの声が聴こえる。どうやら追ってきたらしい。私はホープさんの声がした方を向いた。


ホ)「ふぃー!やぁーっと追い付きましたよ。」


レ)「ホープさん! …って、何で追いかけてきてるんですか。お店は?」


ホ)「臨時でお休みですよ。マァーッたく!話を聞かずにレイカさんが走ってっちゃうもんですからぁ。慌てて追いかけてきたんで~すよ。」


私の方に駆け寄って来たホープさんはやれやれとボヤキながらこう話してきた。


しかし「臨時休業」って。

普段休み無く殆どの日にお店を開けているホープさんが、今日はお店を閉めている…?何故?


レ)「臨時休業?何で?」


私はすぐに何故今日はお店を開けていないのかと聞いてみる。


ホ)「いやぁ。先ほどセリスさんから連絡が入りましてねぇ。」


レ)「え?」


ホ)「"来た"そうです。」


レ)「来た?何がです?」


ホ)「彼女が反応している以上"セレストの魔物"しか有り得ないでしょう?」


レ)「あ。」


ホ)「そう言うことです。しかも困ったことにその魔物。「魂喰い」の種らしくてですね?ま、レイカさんの行動から見るに、そちらは何となく察して動いていた感じでしょうか。何にせよお見事です。」


なんと。

どうやら嫌な予感と言うものは本当によく当たるらしい。ホープさんの口からさらりと魂食い(ソウルイーター)の話が出てきた事に私は目を丸くする。


となると…尚更不味い。このまま立ち往生している場合じゃない。早くしないと街が危ないじゃないか。


レ)「……っ」


ホ)「此処に来た時にレイカさんの行動から確認しましたが、扉には結界が張られていて、立ち往生を強いられている。と言うことで宜しいので?」


レ)「はい…。」


ホ)「ふむ。今のレイカさんの剣も弾くとなるとわりと強力な結界のようですねぇ?」


レ)「一体どうしたら…。恐らく中には此処の担当のシスターさんが居るハズなのに…。これじゃあ…。」


ホ)「…あ。そうですレイカさん。貴女「パワースラッシュ」は使えます?」


レ)「え?ええ。まぁ。使えますよ?第一その技は剣の腕を鍛える上で最初に習う技ですし…。」


ホ)「なら結構。ちょっと試してみて貰っても?」


そう言いながらホープさんは指で教会の方を示す。

どうやら「パワースラッシュ」で教会を攻撃しろと言うことだろう。


レ)「は、はい…!」


私はすぐに剣を抜き、教会の扉の前で構えた。


レ)「「パワースラッシュ」ッ!」


力を剣に溜め。一気に放つ。重く鋭く長物が振られる音が辺りに走った後。私の剣は扉に当たる。


レ)「……っ!うわっ…うひゃあっ!?」


が、あえなく私は結界に弾き飛ばされた。


ーゴロゴロゴロゴロ…ズザァァァッ!ー


レ)「いっ…ったぁ…」


ホ)「うひゃはははははは!バカですねぇ~!」


レ)「おい。クソ店主。」


その私を見ていたホープさんは手をパチパチと叩きながら大笑いをした。


ホ)「ひー!うふはははは!」


レ)「笑うなーーーっ!」


ホ)「いや。っふ!失礼失礼。まさか"扉"に攻撃するとは。」


レ)「いや!やれって言ったのホープさんじゃないですか!」


ホ)「はははは!いや、誰が言いました?私は確かにやれとは言いましたが"扉"じゃないですよ?」


レ)「え?」


ホ)「攻撃するのは"壁"ですよ。"壁"。」


レ)「あ。」


ホ)「ぶっは!ますますスノウ(ゴリラ)に影響を受けてきたようで。普通に試してみてダメだったのにまた力ずくで当たる辺り、脳筋ですねぇ。お二人とも。今ので教会を殴れと言われたなら普通考えて別の部位とかを殴るでしょーに。うふっ。ふふふふふ!ぶはははは!ひーっ!お腹痛い!」


レ)「にゃぁぁぁぁぁあっ!」


バカにしてくるホープさんへの怒りを込めつつ。

私は叫びながら再度「パワースラッシュ」を放つ。勿論、標的は"壁"だ。


ーガラガラガラガラガラガラッ!ー


ホ)「ビンゴ!」


教会の壁に大きな穴が音を立てて出来上がると同時。ホープさんはパチリと指を鳴らした。


レ)「…本当に崩れた……。」


ホ)「やはり。壁には結界を張っていなかったようで。お相手様も相当バカのようで助かりましたね。」


レ)「なんかそれ…含みがあるような。と。それはともかく。何で分かったんですか?結界が張られているのは扉だけだって。」


ホ)「いやぁ。此処に来て最初に見たレイカさんの行動で生じた電撃のようなモノがどこまで走っていたのか。それを見ておいたんです。で。電撃みたいなものが走っていったのが扉の端までだったので大体そこくらいですかね~?と目処をつけただけですよ。」


何気に凄い冷静だ。と私は感心する。

まぁ、性格に少し難があるので評価は少し下がるけれど。ほんと。バカにしてくるのが無ければいいのになぁ。


ついでに。


ホ)「結界の範囲は大体"一度殴ってみて反応している所"を見れば見定められるはずです。」


と、アドバイスを貰った。



さて。それはさておき。

私とホープさんは教会に作った穴から中へと入っていく。


ホ)「…………遅かったようで。」


レ)「………………」


教会に入った私達の視界。

そこにはバラバラになった椅子や燭台などと言った荒らされたと見られる状態が映る。


辺りを警戒しながら奥へと進む。

入れないよう、扉に結界が成されていた以外。外から見て何も異常は無さそうだったのに対し、中はそれと真逆でボロボロ。


レ)「…これ。大分酷いですよ。」


ホ)「ですね。少々やり過ぎているかと。」


レ)「シスターさん、大丈夫かな…。」


ホ)「……!」


ホープさんが突然先行する。


レ)「ホープさん!待ってください!」


急いで着いていく。

散らかっている教会。さらにはピエロの格好で動きにくそうなのに、ホープさんは恐ろしく速い。


ホ)「居ました。ですが…」


レ)「ま、待ってくださいって…何が居たんですか…?」


木片や所々崩れた瓦礫を避けながら何とか追い付きホープさんに声をかけ、私は彼の視線の先を見る。


レ)「……ぁ。」


ホ)「…………」


その先に移ったのは。ボロボロにされ、かなりの出血をした状態で倒れた此処のシスターの姿だった。


レ)「ああぁぁぁああぁああっ!」


ホ)「落ち着いて!まだ生きてます!」


取り乱した私を制し、ホープさんはシスターの状態を確認する。


レ)「すみません…騒いじゃって。」


ホ)「この状態です。いきなり見てしまって騒ぐのは仕方ありませんよ。」


ホープさんはそれから。

慣れた手付きで回復魔法をシスターにかけつつ、何処からともなく包帯を取り出し止血作業をする。


次第にシスターの肌色が良くなってくる。


レ)「凄い…。」


ホ)「冒険者してた頃はよくやってましたから。戦場で死にかけの人を見つけ、こうして治したり。ね。」


レ)「あの。私にも何か手伝えることってありますか?」


ホ)「いえ。このシスターさんを見つけた時の状態からして事が事です。重傷につき素人はあまり手伝わない方が無難です。」


レ)「す、すみません…。」


もっともだ。と、ホープさんの発言に私は俯く。

そして応急を行う彼の背中を見ることしか出来ない自己の無力に腹を立て、歯噛みする。


ホ)「謝ることでもないですよ。最初はそれが普通ですから。」


レ)「……」


ホ)「ですが、やれることはありますよ。」


レ)「!」


ホ)「この人の傷の入り方を見る限り、相手は「魂喰い」です。ヤツらは一度手を着けた相手を少しずつ追い詰めるのが好きですからね。これがまだ生きていると気付けばまた此処に現れる事も十分に有り得ます。ですので警戒を。」


レ)「…はい!」



(そして20分後…。)


シスター)「うっ…」


ホ)「目が覚めましたか?」


シスター)「…ええ。すみません…。何処のどなたかは存じませんが助かりま…ピエロ?」


ホープさんの応急手当が終わり、しばらくしてシスターが目覚めた。しかし起き抜け一番にピエロを見た為にちょっと凍り付いた様な反応をしている。


まぁ、その気持ちは分からなくもない。


私もあったから。


その後、私達は起きたシスターに話を聞いた。


ホ)「成る程。此処最近で様子のおかしい人が増えている事に気付いた貴女は敢えて周りに知られないよう個人で動いていた。と。」


シスター)「はい。そもそも1ヶ月程前から3日か4日おきに夜な夜な"外傷の無い死者"が1人ずつ出ているようで。蘇生のためによくそれが運ばれてきたんです。」


レ)「もしかして、その蘇生された人って。何かぼぅっとしてたり?」


シスター)「…はい。そうなんです。蘇生した人は…もれなくそんな感じになっていまして。」


ホ)「それで、先ほども言ったように、街に魔物か周りには敢えて知らせず、これを調べていた。と。」


シスター)「…ええ。そして今日の昼過ぎにこれが「魂喰い」のものに似ていると目処を立てた時に。襲撃に遭いまして…。」


ホ)「ふむ。」


彼女の話から。

魂さえ残っていれば蘇生が出来る故の油断か。それとそれが行われる頻度が多少間があるのもあるのだろう。街で噂になっていないわけだ。と私は考えた。


全体的に見て、この世界は「一つの命が軽く考えられている」とも言えるのかもしれない。


シスター)「大体…こんな感じでしょうか。」


ホ)「最後に襲撃者の姿は見ませんでしたか?」


シスター)「すみません。黒いローブとフードは見たのですが…あとはそれで隠れていて。」


ホ)「そうですか…。」


シスター)「あ。けど攻撃される直前、「貴様は"エサ"だ。」と男の声で…。」


ホ)「……ッ!」


シスターがそれを口にした瞬間。冷たい風が教会に吹いてくる。


ホ)「不味い…やられた!レイカさん!」


私はホープさんの声に驚きながらその場に伏せる。


ホープさんは突如物凄い勢いでシスターを庇うようにしながら伏せた。


そして、ホープさん達が伏せた直後。風は勢いを増し彼等の頭上を横一線に突き抜けた。


そう。"突き抜けた"。


教会の壁に一直線の穴が空く。


レ)「ホープさん!シスター!大丈夫ですか!?」


シスター)「大丈夫です…!」


ホープ)「チィッ!面倒なことになりましたね!」


?)「ハッハーッ!惜しいな!あと少しだったか?」


レ)「!?」


知らない声が混じっていることに気付いた私は声のした方を見る。


そこには教会の美しいステンドグラスがある。が。視界をそちらに向けた刹那。それは風と共に外から押し破られる形で粉々にそれ砕け散った。


割れたガラスがキラキラと散りながら私達の方に落ちる。幸い。これには全員ケガを負わなかった。


?)「少し様子見し過ぎた!やはり早々にそこのピエロをなぶる方が良かったか?」


砕けたガラスの在った場所。宙に浮く形で声の主らしい者は居た。


話にあった、黒いローブとフードの男。


?)「まーいいや。今からの事はそこの綺麗なお嬢さん方喰いながらでも考えますかね!」



いきなりの邂逅…。驚きを隠せない。


けど、今は驚いて動けずにいる場合じゃない。


……来る。


私はその男を睨み付けながら、剣を構えた。




…続く。

次回は…多分1月3日から書くことになります。


今回はかなり書いたなぁ…。

新年初投稿+長め。


取り敢えず!明けましておめでとうございます!

そして今後とも私の趣味小説を宜しくお願い致します。


ついでに、恋愛とはありますが基盤がRPGですのでマジに少しずつしか進行しませんのでそこは気長に待っててほしいです。お願い致します…!

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