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~通り名と変な噂~


ーキーンコーンカーンコーンー


午後の授業が終わり、ホームルームも終了。

一日の日課が終わったと言うことで、いつものごとく聴き慣れたチャイムが鳴った。


「今日も終わった~。」


「今日何する?」


「そう言えばウチ新しい魔術本買ってさ!」


放課後になった途端。

教室はムクドリの集会の様な勢いで賑わい始めた。皆が話している内容は多分誰もが話すような"普通"のモノだ。買い物とか、新しいアイテム。武器とかの。


それはひとまずとして。

私は机の横に掛けていた鞄と剣を手にして教室を出た。


これから向かうのは勿論「帽子の希望屋」である。

まぁ。毎度のごとく行けばろくなことがないのが大半だけど。楽しいには楽しい。


生徒)「あ!レイカ!今日もバイト?」


レ)「あ、あー。うん!バイトだよ。」


廊下に出てすぐ。横を通りすがった一人の男子に声をかけられた。顔は知ってはいるけど、名前は覚えていない。なんなら他のクラスの人だ。知らないでもさして問題にはならない。


? じゃあ何で私の名前は知られてるのか。ですか。


ーうーん。それはー


生徒)「実戦闘技術試験、学年トップがバイトとかまでする真面目ちゃんって…。スペック高くないかなぁ…。どうしたらそんなになれるんだよ~。」


レ)「あっ、あっはは…。いやぁ…何と言うか…。」


現在。

私はこの士官学校にて第3学年に所属しているのですが。昔からやっている日々の鍛練の成果か、第2学年くらいから戦闘技術に関してはトップに立つようになったのです。まぁ、その分同じ学年とからへんじゃ名前は通るわけで。こうしてよく話をかけられたりするわー


生徒)「ところで、そのバイト先って?」


へっ?


レ)「へっ?」


生徒)「いや、へ?じゃなくて。」


不味い。

いや、どっちでも良いのかもしれないけれど。

正直こう言う質問には毎度のごとく頭を抱えさせられている。


だって。あそこの店主が何より変な人なのだから。

毎度毎度のごとく何度も言うけど。何考えてるのか分からない。


…作る帽子は常に何かあるし。例えば、この前の「のっぺら帽」何て、気付いてしまえばどうと言う事はなかったが、気が付かなければ完璧な拘束手段になるし。


「風来帽」は言わずもがな移動方法としては優秀なものの、移動の勢いがジェットのそれなので何の準備もせずに触ったらまず驚くのは確実だし。何より


寒い。


なので使う時は外套とかを付けてから使ってます。


そして。


時たまにゲスな行動と発言をするし。

人目を気にせず常にピエロの姿で闊歩。

(なお「勤務中」に限る)


ついでに勤務中の人への接近の仕方とか。キモい。

何か「ダンシーホース(海の魔物)」みたいにうねうね近付いてきたりする。


多分此処まで省かれてるだろうからあれですが。

多分、詳しく記録してるのは第一話かな?


レ)「…ま、まぁ。ファッション?とかそんなの?あは、あははは…。」


生徒)「誤魔化されたかぁ~。ロッコツー。」


レ)「す、スミマセン…。」


生徒)「いやいや、ダイジョブダイジョブ!そこは人の自由だもんな。っと、俺も約束あるんだった!そんじゃ!」


レ)「あ、さようなら~!」


ともかく。普段聞かれる場合はこんな風に流したりしてる。


中にはしつこく聞いてくる人も居なくはないけど、その場合は。


レ)「烈掌!」


モブ)「ゴフッ!?」


レ)「しつこいです。」


モブ)「すびばせ…カフッ…」


と。スノウさん直伝の拳撃技(スノウのオリジナル)で気絶させてます。


……


え?ヒロインらしからぬ行動?


なんか、ごめんなさい。



因みに。


(そんな日々が続いて数日後…)



モブ1)「何か、バイトについてだけはどうしても教えてくれないんだよな。」


モブ2)「は?バイト…って。あー。あの「狂拳士」か。」


モブ1)「なにそれ。通り名?」


モブ2)「いや。バイトについて聞くといきなり気絶させられるからさ。しかも即。」


モブ3)「そう言えば当たりどころ悪くて死んじゃって教会送り(つまりリスポーン)になった人も居るよ。」


モブ1&2)「「はぁっ!?マジで?」」


モブ3)「それで何人か先生が話を聞きに行ったらしいんだけど。」


モブ1)「まぁ、流石に死人出ちゃあねぇ…。まぁ、近くに教会あるから蘇生出来るけどさ。」


モブ3)「その先生達も返り討ちにあったらしい」


モブ2)「いやなんで!?」


モブ3)「理由は言わずもがな。」


1&2)「あ…あ~」



…ちょっとした噂になってしまった。


ついでに、「マジ」です。


皆あまりにもしつこいものでついつい拳に力が入り過ぎてしまいました。


「はぁ…。」


きっとこれも日頃の鍛練の賜…なわけあるもんか。


全部ホープ(ストレスの大元)さんのせいですよ。



(~そんなことを考えているレイカを余所に。帽子の希望屋~)


ホ)「へっ…へぇっ……っきしょいっ!」


くしゃみをする店主が一人。今日も彼はピエロの服装で帽子を作っていた。




で。


ちょっと学校で恐れられる存在になってしまったのです。


とまぁ、日常。主に普段は語られていない私の学校での前置きと言うか、私についての小話はこれだけにして。


本題。


今日はその学校で起きた事から始まった出来事である。



(チャイム)~♪


(いつも通りに一日の全授業が終わり、放課後)


男子)「よっ!狂拳ちゃん!」


レ)「…その呼び方。一端の剣の使い手目指してる身としては何か悲しくなるからやめてくれないかなぁ……?」


男子)「ゴメンゴメン。いや、けどこんなになるまで行動してたのはレイカちゃん自身だし?」


そう言われるとぐうの音も出ない。


けどそれだけあの人について学校の人に話すのは避けたいのだ。面倒が過ぎる。


あわよくば余計な手間を起こしかねない。


男子)「まっ。いつもの事だから仕方ない。それはそうと最近レイカちゃん以外でも学校が騒いでるの知ってる?」


レ)「? なんですそれ。」


男子)「知らないか。じゃあ教えるわ。えっとこの「オルレニア国立士官学校」って、元々の国の風潮よろしく、色んな施設が学校内にあるのは知ってるよな?」


レ)「ああ。普通ですよね。それが何か?」


男子)「教会あるよな。一応学校専属のシスターさん付きで。」


レ)「……それも、まぁ。最近のあれこれで忙しくさせちゃいましたね。で、教会になにか?」


男子)「えっとな。お前に何人か教会送りにされてあっちに持ってかれた人…まぁ、さらっと言うなら被害者。そいつら何か最近様子がおかしいって噂立ってるんだよ。」


レ)「それって、蘇生してもらった人だけですか?」


男子)「そうそう。だからお前がワンチャン何か仕込んだんじゃないかとか。」


レ)「そんなわけないでしょう!?」


男子)「わーってる。わーってるってば!とにかく。蘇生された連中、何か最近ブツブツ呟いてたり、廊下でボケーっとしてるのが多いって話なんだ。だからさ?」


レ)「だから?」


男子)「お前。汚名返上の意味も込めて調べてみてくれよ。」



……と言うわけで、


レ)「まずは教会に行った人に今の噂について聞いてみた方が早そうだよね。」


私は学校で起きていると言うその噂を"一人"で調べる事になった。



モブ)「あぁ……」


いざ調査を開始して30分経たない内。廊下で窓をずっと見ている人を見つけた。


レ)「あのー。」


モブ)「…………」


レ)「すみませ~ん…聞きたいことがあるんですけど~。」


モブ)「ふぁ……」


隣に声をかけてみたが、話が出来ない。

たまに声を上げる程度でしか反応が無い。


レ)「……?」


試しに軽く肩を叩いてみたりしてみたけど、これも効果無し。虚ろな表情でただぼぅっと窓を見ているだけ。何かがそこにあるのかもと思わせられるくらいにひたすら"そこ"を見ているだけだ。



教師)「あー。」


レ)「…………」


女子)「にゃ……。」


レ)「此方も居た。」


結局、先程の人ばかり見ていても埒が明かないと判断した私はその後他の教室などを見て回った。



(オルレニア国立士官学校の教会入り口前)


レ)「………」


ある程度学校を見て回った後。私は教会の前でその足を止める。


…此処に来るまでに周辺を見て回った結果は収穫無し。


確かにぼぅっととしている人は所々で見かけたものの、話しかけることに対して反応すらしない。しかも肩を叩いたり、目の前で手を叩くと言った、普通は驚いたりする行動も全く効果が無かった。


返ってくるのは虚ろ顔で「あー。」とか「ふぁ。」と言う言葉にすらならない声ばかりだ。


ならば。



レ)「直接学校の教会に行ってみるしかないわけか…。」



私は教会の入り口である大扉に手を置き、押す。


ーギギギギギー


周囲に木で出来た大きなものがゆっくりと動かされる音が響いた。


私はそうして開いた扉を通り過ぎ、教会に入る。


学校の教会は街に在るものとほとんど変わらない。

姿形は普通によく見るものだ。


ついで。

その在り方もただ「万一に備えて」や「有事の際にすぐ対応出来るように」と言うだけだ。



シスター)「あら?レイカさんじゃない。どうかしたの?」


入ってすぐ。私を見たシスターが出てきて声をかけてきた。


レ)「すみません。ちょっと聞きたいことがあって。」


シスター)「聞きたいこと?」


レ)「それが…」


私は此処最近、学校で広がっている噂についてをシスターに話す。


シスター)「うーん。確かに蘇生した時点で少しぼぅっとしてたのは感じてたのだけど…。」


話を聞いたシスターはその違和感を感じた事以外は特に何も。と言った感じだ。まぁ、察してはいたけどやっぱり何もないか。


シスター)「ごめんなさい。けど確かにこうもぼぅっとしている人が増えているのは妙よね。いったい何が起きているのかしら…。」


レ)「…もしかしたら、被害って此処だけじゃなかったりするのかな?もしそうだとしたら、街の教会の人にも聞けはしそうだけど…。」


シスター)「なんでそう思うの?」


レ)「いや。これと言った根拠とかはないんですけど、噂って狭い所の方が回りが速いですし。もしかしたらこれと同じような事はもう街にも起きてるんじゃないかな。と。」


シスター)「成る程…ね。確かにオルレニアの街はかなり広いものね。その分噂が広がるのは少し時間がかかる…そう考えてるのね。」


レ)「はい。そんな感じです。」



私の考えにシスターは頷き、それに了解を返してくれた。


レ)「今の時点でシスターさんも知らないとなると、やっぱり魔物とかの線になるんでしょうか?」


シスター)「そうね。この国には特に人をぼぅっとさせるような魔物は居ないけど、突然変異したりしたのが…となると話は別よね。」


……「ぼぅっとさせる魔物」。

私は此処で喉に何かつっかえるような感覚を覚えた。

いや。素直に言うと…ほんの少しだけ。ほんの一瞬そうなのかもしれない。と考えたけれど。


何せ今回の被害者は経緯はどうあれどれも「蘇生された」人ばかりだ。それに、魂の抜けた肉体はすぐに教会に移動されるのが普通である。


と、なると。


レ)「蘇生される前…"死んでる間"に何かあった。と考えた方が良さそう。」


シスター)「……?」


レ)「例えば。図書館の資料で読んだ"魂喰い"…とか。」



「魂喰い」(ソウルイーター)

まぁ、名前の通り生き物の魂を食べる魔物だ。

とは言えそれだけではなく、特定の儀式を要する大規模な魔法で生贄を立てたりするものにもそれは当てはまる。しかし、後者については大半が禁忌として使用を認められていないのでまず無いと思っても良いだろう。



シスター)「要するに死んでいる間。被害者さん達は魂喰いに魂を食べられているってこと?」


レ)「はい。」


シスター)「けどそうなると普通に"死ぬ"わよね?あれは会えば魂を全部食べられちゃうわけだし。魂が少しでも残ってないと蘇生は出来ないわ。」


レ)「…そこが変なんです。」


シスター)「変?」


レ)「もしかして、"全部食べられてない"とか…。」


シスター)「あ。」


レ)「少しでも残っていれば蘇生は出来るんですよね。」


シスター)「ええ。もしかして…それで蘇生された人は不安定になって…ぼぅっとしている。」


レ)「流石に合ってるかは分かりませんけど。とにかく、私今から街の教会とその周囲を調べてみます。」


シスター)「分かったわ。なら私は少し他の教会に連絡を入れておくわ。」


レ)「ありがとうございます!」


シスター)「気をつけてね。」


私は大急ぎで学校の教会を出る。


…今起きているものが街でも起きていない事を祈りながら、私は走る。



何となくだけど嫌な予感がしてくるのを感じる。



天気は快晴だと言うのに何故だかモヤモヤする。



とにかく急ごう。

私はひたすら私に発破をかけて街の教会へと向かうのだった。




…続く

1週間ぶりの投稿。

大丈夫ですよ。モチベーション死んでるようで全然死んでませんから。


ただ、やることとやりたいことが多いだけです。申し訳ない。


「オルレニア国立士官学校」

まんまですがメチャクチャデカイ学校です。

学校に多くの施設が集まって出来ているために購買はコンビニとかだったり、一応簡易の装備品売場等もあります。


先の話になりますが今後も学校でのお話は出てくる予定です。


最後に。

今回は2~3部構成です。次回は今週中に書く予定です。

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